【セントライト記念】アサマノイタズラが豪快差し切り
2021.9.21 04:59更新

セントライト記念が20日、中山競馬場で14頭によって争われ、田辺騎乗で9番人気のアサマノイタズラが、後方待機からゴール前で強襲して差し切り。重賞初制覇を飾った。2着ソーヴァリアント、3着オーソクレースまでが菊花賞(10月24日、阪神、GI、芝・内3000メートル)の優先出走権を獲得。1番人気タイトルホルダーは13着に敗れた。
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展開の“いたずら”も味方につけて、伏兵がラスト1冠へ名乗りを上げた。東の菊花賞トライアルを制したのは9番人気のアサマノイタズラ。4コーナー11番手からの豪快な追い込み劇に、「正直(前の馬を)全部とらえてくれるとは思わなかった。能力の高さに驚かされました」と初コンビで鮮やかに決めた田辺騎手も開口一番、愛馬のガッツをたたえた。
レースは有力各馬が好位でひしめき合い、前半1000メートル通過60秒5のラップ以上にタフな流れ。「序盤からポジション取りが激しかったけど、参加してムキになってもいけない」と鞍上が冷静にチョイスした後方待機策が正解だった。出入りが激しくなった3角過ぎの攻防にも、われ関せずとばかりにじっくりと進出を開始。直線は馬群の外から末脚一閃だ。
「ゴーサインを出してからの反応がすごく良かった。きょうは正直、余裕残しの状態だったし、いい形で本番に行けると思う。今までも一線級と戦ってきて、いつ勝っても不思議じゃないと思っていたし、もう一つ大きいところを狙っていきたい」。想像を上回るパフォーマンスに、殊勲の腕達者から堂々の菊取り宣言も飛び出した。
「展開が向いたところもあったけど、うまくいった。やっぱり走るね」
今年重賞5勝目と絶好調の手塚調教師はこの日が57歳の誕生日。大きな夢も見られる最高のバースデープレゼントに「今までスタートして位置を取ろうとして、リズムを崩したところもあったのかもしれない。道中も引っ掛からないし、これだったら距離ももちそうだからね。田辺はウチの馬でよくヘグって(失敗して)いるから、今日は勝てて良かった」といたずらっぽくほほ笑んだ。
ユニークな馬名の由来となっている上毛かるた。“浅間のいたずら”に続く言葉は“鬼の押出し”だ。春の強豪を押し切る地力を身に着けた実戦派。コンビ継続で挑む菊の舞台も楽しみだ。(内海裕介)
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■アサマノイタズラ 父ヴィクトワールピサ、母ハイタッチクイーン、母の父キングヘイロー。黒鹿毛の牡3歳。美浦・手塚貴久厩舎所属。北海道日高町・前野牧場の生産馬。馬主は星野壽市氏。戦績7戦2勝。獲得賞金8570万2000円。重賞は初勝利。セントライト記念は手塚貴久調教師が初勝利。田辺裕信騎手は2018年ジェネラーレウーノに次いで2勝目。馬名は「浅間のいたずら」。