【火曜スペシャル】ゴールドシップと2年ぶり再会!今浪厩務員「子供でGI勝ちたい」

2021.8.31 05:00更新

今浪厩務員はゴールドシップとの2年ぶりの再会に感慨深げだった(撮影・三浦幸太郎)

 『火曜スペシャル』の第8回は、メディアミックスコンテンツ『ウマ娘 プリティーダービー』の影響で人気再燃中のゴールドシップ(牡12)と、現役時代に担当した今浪隆利厩務員(62)=栗・須貝=の2年ぶりの再会に密着した。ベテラン厩務員は、ゴルシの今、未来について心境をたっぷりと語った。(取材構成・川端亮平)

 『ウマ娘』をご存じだろうか? 正式名称は『ウマ娘 プリティーダービー』。競走馬を擬人化したキャラクター=ウマ娘が活躍するストーリーで、3年前にアニメ放送がスタート。現在はスマートフォン向けのアプリで、ウマ娘の育成ゲームが大流行している。中でも個性派としてひときわ人気を集めているのが、ゴールドシップだ。

 2012年に皐月賞、菊花賞の2冠を獲得し、暮れの有馬記念も制覇するなどGI6勝。一方で気難しく、調教中に他馬を蹴りにいったり、競馬ではゲート内で立ち上がって大出遅れしたり…。破天荒という言葉がぴったりで、勝っても負けてもファンに愛された。

 15年に引退後は種牡馬入りし、2世代目のユーバーレーベン(美・手塚、牝3)が今年のオークスで産駒としてGI初勝利。そんな“ゴルシ”と、現役時代に担当した今浪厩務員の、2年ぶりの再会に同行した。

 北海道新冠町のビッグレッドファーム。澄んだ空気と木々に囲まれた牧場が、今のすみかだ。午後3時。翌朝8時まで過ごす放牧場に出たゴールドシップに、今浪厩務員が声をかける。「久しぶりやなー!!」。ところが、ゴルシは青草をほおばるのに夢中だ。1分、2分…。時が過ぎる。引退後は毎夏、北海道開催中に会いに行っていたが、昨年はコロナ禍で断念したのが影響した!?

 「おーい、2年ぶりやと、忘れたか?」

 少し寂しげに発した言葉に反応したゴルシが、ようやく顔を上げて近づいてきた。柵越しに向かい合う。「元気そうやな」。返事をするかのようにゴルシが首を上下する。だが、ふれあいのシーンもつかの間、隣の放牧場にウインブライトが現れると、併せ馬のように走っていった。

 「だいぶ斑点が出て、黒くなったな。最近、白毛(ソダシ)を見ているから余計にそう思うんかもしれんけど」と、相変わらず気ままな元相棒に苦笑い。自身、『ウマ娘』アプリでゴルシを育成している同厩務員は、思わぬ人気再燃を喜ぶ。

 「(ウマ娘内でトレードマークの)勝った後の“ゴルシポーズ”は立ち上がったとき、ドロップキックは尻っぱねしたときの姿。よく特徴をとらえている」と目を細めつつ、「いいキャラだけど、競走馬として優秀で、種牡馬としても頑張っていることも知ってほしい」と力を込めた。

 3頭のGIウイナーを手がけた腕利きは、2年後に定年を迎える。

 「あいつの子でGIを勝ちたいな」。その夢を実現したときの口取り写真では、ゴルシポーズを決めるつもりだ。

 ●…ゴールドシップは6世代目となる今年の種付け(106頭)を終え、疲れを癒しながら越冬と来年度に向けてエネルギーを充電中。夏場は日差しが和らぐ午後3時から翌朝8時まで放牧地で“自由行動”。日中は馬房で過ごし、その合間に関係者の見学や、種牡馬プロモーションの撮影などを行っている。

 ビッグレッドファーム・蛯名聡マネジャーは「とても利口で、写真撮影で一番きれいにポーズを取ってくれます。みなさん、そのギャップに驚かれていますね」と意外な姿を証言。現在、一般見学はコロナ禍のため中止している。

 

 ●…ゴールドシップ産駒は2019年にデビュー。須貝厩舎所属で、今浪厩務員担当のサトノゴールドが初勝利を挙げた。同年のGIII・札幌2歳Sでブラックホールが重賞初V。同馬は翌年のクラシック3冠にフル参戦した。21年は、オークスで第2世代のユーバーレーベンがGI初勝利。また、第1世代のウインキートスがGII・目黒記念を制した。

 ビッグレッドファーム・蛯名聡マネジャーは「トップサイヤーの種付け頭数が150~200頭なのに対して、(ゴルシは)100頭前後ながら初年度から重賞、GIウイナーを出して、ポテンシャルは十分に示しています。これから楽しみしかないですね」と期待を込める。

 ■今浪 隆利(いまなみ・たかとし)厩務員…1958(昭和33)年9月20日生まれ、62歳。福岡県出身。名古屋競馬、北海道・優駿牧場での勤務を経て、JRA厩務員に。栗東・内藤繁春、中尾正厩舎を経て、2009年に開業した須貝尚介厩舎へ移籍。これまでゴールドシップ、レッドリヴェール、ソダシのGI馬3頭などを担当。