【ヒロシのDeepな話】東京ダート1600メートルの「特異性」と「公平性」

2021.6.4 18:00更新

オメガレインボー

 東京ダート1600メートルは、JRAのダートコースで唯一1600メートルで行われる。それだけでも特異性は高いが、しかも芝のポケット(引き込み線上)にゲートが設置され、スタート後は内枠なら約150メートル、大外枠ならさらに30メートル余計に芝の上を走る特殊な設定になっている。しかも、最初のコーナーである3コーナーまでの距離は、最後の直線より100メートル以上長い640メートル。これも同じ東京コース、あるいは他場にはない長さだ。指摘し始めるとキリがないぐらい、東京ダート1600メートルというコースは特異性にあふれている。一番スピードが出やすいスタート直後に芝を100メートル以上も走るコースでJRAのダート最強馬決定戦・フェブラリーSを行っていいものか、個人的には以前から疑問に思っていた。それはともかく、実はこのコースは特異性によって、枠順や展開による有利、不利、あるいは偏りを軽減し、公平性を保っているという部分もあるのだ。

 新潟の芝千直を除けば、横一線のスタートから周回コースを走るのが日本の競馬だ。トラックバイアスがなければ距離損なく内ラチ沿いを走れる内枠が絶対有利で、他馬に邪魔されることなく終始内ラチ沿いを走るためには、前に1頭も置かず自由に進路を選べる先頭が物理的には一番有利に決まっている。実際、結果的に最初のコーナーで先頭に立っていた馬の単勝を買い続ければ、毎年収支はプラスになるという事実もある(これはホントです)。ただ、東京ダート1600メートルだけはその常識が通用しない。

 スピードに乗るには十分な最初のコーナーまでの距離。しかも、内枠より外枠のほうがスタート後の芝の距離が長いため、普通なら不利なはずの外枠のほうがよりスピードに乗っていきやすいうえに、キックバック(前の馬が蹴り上げる砂)という減速要素の影響も受けづらく、外枠の距離損はこの設定によって相殺できるうえにお釣りがくるぐらい。たとえ内でトップスタートを切れても、序盤でマイペースに持ち込むことは難しく、むしろ外枠の方が自分が望むリズムで先行しやすいという面もある。その後の1回しかない3、4コーナーのカーブは緩やかで惰性もつきやすく、最後の直線の長さはたっぷりの500メートル。多少大味な運びをしても、脚力さえあれば他場のダートコース以上に後ろからでも間に合ってしまう。

 外枠でもロスなく運びやすく、内枠は決して有利ではない。“ダートは先行有利”という一般的な金言も成立しない。それが東京ダート1600メートル。ここまで公平性が保たれているのも、特異性の強いレイアウトゆえだろう。

 土曜の東京ダート1600メートルは2Rと11Rの2鞍だが、馬券的に面白そうなのは11RのアハルテケSだ。特異性の高い舞台だけに、経験値も当然重要になってくる。この舞台で勝利実績のある馬は9頭もいるが、1分34秒9という持ち時計で他を一歩リードしている◎オメガレインボー。昨年10月の神無月Sでこのタイムをマークして勝った時はスピードに任せて逃げ切ったが、そのスピードを後半に生かすことを覚え、戦法に幅が出たのは大きな強みになる。前走・マーチSの上がり3ハロン36秒7もタフで直線も短い中山としては特筆もの。前日の雨の影響で速いタイムが要求される馬場状況も大きな味方になる。キックバックを受けづらい真ん中より外めの枠なら、コーナーで惰性をつけながら長い直線で存分に非凡なスピードを発揮できるはずだが、決まった枠順は16頭立ての5枠10番。このコースなら3連馬券の軸としての信頼性は絶大だ。

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松本ヒロシ(まつもと・ひろし) 関東エイト想定班 

舞台適性・近走

穴指向

馬単・3連単

プロフィル

1963年生まれ、京都府出身。小学校6年生のときに見たカブラヤオーの走りに魅了され競馬好きに。現在はフジテレビ系『みんなのKEIBA』、フジテレビONE『競馬予想TV!』に出演中。

予想スタイル

各馬の舞台適性、過去の相手関係を精査し、そのレースでの独自のランキングを算出。そこから「隠れ格上馬」を発掘することがヒロシ流穴予想のメソッド。