中央競馬:予想予想

2021.11.27 17:18

【居酒屋ブルース】日曜東京12R

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 【日曜東京12R・ジャパンカップ】

 「おめでとうございます」

 ひいきの居酒屋のカウンター席に座ると、琥珀ヱビスの生とおしぼりを持ってきたバイトの桃ちゃんが笑顔で話しかけてきた。

 なにがめでたいの?

 「なにをおっしゃる。マイルチャンピオンシップですよ。鈴木さんの言った通り、枠連の2-6で決まったじゃないですか」

 説明しておこう。

 11月17日、僕は熊田曜子の裁判の傍聴席抽選に臨むため地裁に行ってきた。少しは会社に貢献しようと思ってのことだったが、なんと13席しかない傍聴席が当たった。

 これも縁なので当選番号に注目。番号は5桁だったが、数字は「0」と「2」と「6」しかなかった。「0」は馬番にないから除外すると、残りは「2」と「6」。マイルチャンピオンシップで、2番枠はクリノガウディーで6番枠はケイデンスコール。枠だと2枠はシュネルマイスターとサリオスで、6枠はカテドラルとグランアレグリアだった。しかもリストバンドは6枠の緑色。

 6枠12番のグランアレグリアを本命にした僕は、枠連の2-6を追加で買っておこうと思ったのであった。

 「相変わらず、これまでのあらすじを語るナレーションみたいですね」

 初めて居酒屋ブルースを読んだり、先週読んでいないユーザーの皆さんに伝えないとね。

 「はいはい。そうしたら、なんとマイルCSが枠連2-6で決着。おめでとうございます」

 ところが、めでたくもないんだ。

 「どうして?」

 勝負馬券の1万円はすべて3連複だったので、3着に来たダノンザキッドがヌケだったから外れ。枠連の2-6を買ったときは3倍だったから5000円買い足したんだ。3連複は全て外れたけど、枠連で損失補填(ほてん)できたとホッとしていたら270円まで下がっていた。つまり1500円のマイナス。

 「鈴木さんらしい」

 笑いすぎだよ。でも、負けが1500円で済んだから良しとしないと、ってポジティブシンキングでいるよ。

 「殊勝な。鈴木さんらしくないですね」

 イヤミだね。

 「それにしてはしぶといですね」

 「サンスポZBAT!競馬」サイトの「ガチンコ収支バトル」2021年第4ステージ(10~12月)のことだね。

 「最新の第8週を終えて鈴木さんは、順位を1つだけ下げてまだ6位に踏ん張っています。8万円の資金で8万5700円の払い戻しがあって、回収率は先週より下がっても107%。実にしぶとい。とはいえ、回収率が100%を切るのは時間の問題ですが」

 やっぱりイヤミだね。

 桃ちゃんはどうだったの? 僕の「世代間優位説」をパクって、2着のシュネルマイスターを本命にしてたけど。

 「シュネルマイスター、グランアレグリアの2頭軸にダノンザキッド、ホウオウアマゾン、グレナディアガーズの3歳馬3頭に流した3連複を厚めに買ってゲット。いえーい!」

 大したもんだね。3歳のうちリプレーザだけ外してあるところが、またすごい。

 「配当はほんの1960円ですけど、270円よりはマシです」

 イヤミ3連発かよ。

 「それに『世代間優位説』は鈴木さんのオリジナルではありません。今年の3歳が強いのは競馬ファンなら誰でも知っていることです」

 はいはい。

 「これだけ強い馬がそろうと、今年の最優秀3歳牡馬はどの馬が選ばれるんでしょうね。年度代表馬になった馬かな?」

 3歳が年度代表馬に選ばれる保証はないよ。BCフィリー&メアターフを勝ったラヴズオンリーユーに投票する人は多いかも。予定している香港Cも勝てば、同一年に海外GI3勝の偉業を達成するしね。3歳に限ればシャフリヤールがジャパンCを勝てば有力候補になるし、有馬記念でエフフォーリアかタイトルホルダーが勝てば、どちらも有力候補になる。ユーバーレーベンだってジャパンCを勝ったらわからないよ。

 「てことは、有馬記念が終わるまで年度代表馬も最優秀3歳も読めない、と」

 うん。

 「鈴木さんが読めないのは勝ち馬だけじゃないんですね」

 失礼だね。

 「冗談です。今年はまだまだ楽しみな競馬が続くわけですね」

 そうだね。そろそろ予想に移ろうか。

 「そういえば、LINEの人はどうだったんですか?」

 3連単の大穴党だから「ま、大本命で、オッズもつかないですし、諦めがつきます」って。マイルCSが当たらなかったことより、WIN5を悔しがっていた。WIN4だったって。

 「それはお気の毒さま」

 どのレースを外したか聞いてみたら「みんながはずしたであろう3番目です」って。4番人気→1番人気→6番人気→1番人気→1番人気だったから、6番人気のダノンファストが勝った福島民友Cでつまずいたわけだ。LINEの人がWIN5を外して落胆しているときに僕は「きょうはダノンがよく勝つな」って思っていた。3場で1勝ずつしていたから、ダノンザキッドに印を回していなかった僕は嫌な気がしてた。

 「それはお気の毒さま」

 もう予想に移ろうよ。

 「ですね。今週はダービー馬が4頭も顔をそろえるジャパンCです。3冠馬3頭が対決した去年のジャパンCもすごかったですが、今年も注目です。コントレイルくんの引退レースだし。鈴木さんの本命は?」

 今週は桃ちゃん、僕の順番だよ。マイルCSは僕の本命馬が勝って、桃ちゃんのは2着だから。

 「そうでした。私のジャパンCの本命はシャフリヤールです」

 コントレイルじゃないんだ? 本命の理由はやっぱり世代間優位説?

 「もちろんです。ジャパンCでも強い3歳馬が馬券に絡みます。同じ舞台の日本ダービーで、秋の天皇賞を勝ったエフフォーリアを破っているんですよ。強い3歳世代の代表格を負かしているダービー馬に敬意を表すとともに本命の◎をささげます。この秋のGIはこれまで横山武史さん、ルメールさま、福永祐一さんの3人が席巻している感がありますが、マイルチャンピオンシップでは川田将雅さんが3強の一角を崩しました。これって、川田さんがラヴズオンリーユーでBCフィリー&メアターフを勝ったことで流れが変わったんだと思うんですよ。勝負事って流れが大事じゃないですか。だから川田さんに乗り替わったシャフリヤールに期待します」

 なるほどね。

 「鈴木さんの番です。本命は?」

 コントレイル。

 「だと思った。『ガチンコ収支バトル』でベストテンをキープするには、ここは負けられない一戦ですからね」

 そういうわけじゃないよ。東京が舞台なら最も堅い馬はコントレイルだから。東京では4戦して【2・2・0・0】(左から1着・2着・3着・4着以下)とオール連対で、東京の芝2400メートルに絞っても【1・1・0・0】。しかも2着だった去年のジャパンCは、レース週まで出走するかどうか迷っていた状態でアーモンドアイに次ぐ2着を死守したんだから、今年の強い3歳世代が相手でも引けを取らないよ。

 「でも、秋の天皇賞でコントレイルを負かしたのがエフフォーリアで、そのエフフォーリアをダービーで負かしたのがシャフリヤールだから、三段論法ではシャフリヤールが一番強いことになります」

 三段論法ではかれないのが競馬だよ、桃ちゃん。それに、そういうことならシャフリヤールを神戸新聞杯で破ったステラヴェローチェが一番強いことになるよ。

 「あのときは不良馬場で力を出し切れなかったから…」

 3冠馬が出現すると、決まって出てくるのが「その世代のレベルが低いから3冠馬が出た」という論法。でも、実績を見るとそうじゃないのは一目瞭然なんだ。

 セントライトは3歳で現役を引退。

 シンザンは古馬になって宝塚記念と天皇賞・秋と有馬記念を制している。当時の宝塚記念は八大競走に入っていなかったから「6冠馬」ではなく「5冠馬」と呼ばれたけどね。

 ミスターシービーが不運だったのは、翌年に無敗で3冠を制したシンボリルドルフが出現したことに尽きる。それでも古馬になって天皇賞・秋を制している。

 そのシンボリルドルフは3歳で有馬記念を勝つと、古馬になって天皇賞・春、ジャパンC、有馬記念を制して初の「7冠馬」と呼ばれた。

 ナリタブライアンは股関節の故障で古馬になってGIを勝てなかったけど、3歳で有馬記念を制している。

 オルフェーヴルは3歳と引退レースだった5歳に有馬記念を制し、4歳でも宝塚記念を勝っている。

 このように、3冠馬はクラシック制覇後に引退したセントライト以外は3冠達成以降にGIを制しており、それによって3冠世代のレベルが低いわけではないことを証明している。

 そしてコントレイル。

 ここが引退レースだけに、陣営はなにがなんでも勝つつもりで臨むはず。なにせ、ここで負けたら「3冠達成後、ただ一頭GIを勝てなかった馬」という、ありがたくない枕詞(まくらことば)がついてしまう可能性がある。誰だってそんなことは言われたくない。また、コントレイルにはそう言われないで済むだけの高い能力が備わっていると思っている。今年のBCで2勝を挙げた矢作芳人厩舎が、有終の美を飾るために渾身(こんしん)の仕上げを施してくるはずだ。

 思い起こすのは、シンボリルドルフの国内最終戦だった4歳の有馬記念での、皇帝ルドルフの主戦を務めた岡部幸雄さんから聞いたエピソード。

 パドックに出ていく前に岡部さんは、「もう日本で走るのは最後だから、(後続を)ちぎってもいいよ」と野平祐二調教師に初めて言われたという。

 岡部さんいわく「それまでのシンボリルドルフのレースは『勝てばいい』という競馬に徹していたし、それができる馬だった。ところが、この有馬記念に限っては『勝てばいいよ』という競馬ではなく、『離したかったら離してこう。どれくらい強いか見せてやて』という許しが出たわけだから、僕もその気になってレースに臨んだ」。

 結果は、2着に4馬身差の圧勝。

 シンボリルドルフと同じように無敗で3冠を制したコントレイルもそんな馬であってほしい。矢作調教師と福永祐一との間でも、引退レース当日にそのようなやりとりがあればいいのにな、と夢想している。

 ◎②コントレイル
 ○④シャフリヤール
 △⑦オーソリティ
 △⑨アリストテレス
 △⑭ユーバーレーベン

《馬単》
 ②→④ 1000円

《馬連》
 ②-④ 5000円

《3連単》
 ②→④→⑦ 2000円
 ②→④→⑨ 1500円
 ②→④→⑭ 500円

 「今週も傍聴抽選用のリストバンド型整理券の写真を載せるんですか?」

 冒頭でそれについて説明したから、そのつもりだよ。

 「よっしゃー」

 なんで?

 「2枠にシャフリヤールが入ったので。緑色の6枠はシャドウディーヴァとサンレイポケット。来れば大穴? 今週は私が枠連2-6を買ってみようかな」

 どうぞご自由に。

◇◇◇◇◇◇◇◇◇

主な登場人物

ミチヤ…ひいきの居酒屋の店主。ずぶの素人から、どこまで競馬に興味を持ってくれるか

桃ちゃん…ひいきの居酒屋のアルバイト。馬券のセンスが抜群の競馬女子(UMAJO)。ちなみに、居酒屋ブルースのUMAJOは、酒場のあすピー→バイトのマヤ姉(ねえ)→桃ちゃんと変遷

LINEの人…謎の人物

カズマサ…夢の中の(?)ひいきの居酒屋の店主。馬券はデータ派。この居酒屋ブルースの世界から去っていった

琢磨…夢の中の(?)ひいきの居酒屋のスタッフ。好不調の波はあるが、馬券が当たると好調が続く。カズマサ同様、この居酒屋ブルースの世界から去っていった

もりやさん…夢の中の(?)ひいきの居酒屋の常連客。競馬とお酒が大好き。カズマサ、琢磨と一緒にこの居酒屋ブルースの世界から去っていった

鈴木学(すずき・まなぶ) デジタルメディア推進担当専門委員 

レース内容・騎手・厩舎

堅め

3連複

プロフィル

第1次東京五輪世代(第2次は2021年に誕生)。1993年2月にサンスポの競馬担当となり、2年間のブランク(運動部デスク)を挟んで競馬にどっぷり漬かっている。現場記者時代は紙上で予想コラム「鈴木に学べ」を連載も、たまに「鈴木が学べ」に。

予想スタイル

「3連複の軸馬」を◎にしている。3連単の期待値は3連複の6倍だが、人気馬が1着だと6倍以下になることが多い。人気馬を軸にするのなら3連複の方が得という考え。

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