皐月賞直行が発表された東京スポーツ杯2歳S勝ち馬イクイノックス【拡大】
先週末は有力馬の今春のローテーションが数多く発表された。シャフリヤールのドバイシーマクラシック挑戦と並んで注目を集めたのが、イクイノックスの皐月賞直行だろう。馬主のシルク・ホースクラブは公式ホームページで「背腰を中心に疲労が溜まりやすく、もし前哨戦を挟むと疲労回復に手間取ってしまうことが予想されます」と説明したが、思い切った決断には驚かされた。
青鹿毛のキタサンブラック産駒は新潟のデビュー戦を6馬身差で圧勝すると、東京スポーツ杯2歳Sでは上がり3ハロン32秒9の豪脚で2馬身半差V。まぎれもなくクラシックの有力候補だ。しかし、11月20日の前走から中147日での参戦となれば、前代未聞の“スーパーロングシュート”への挑戦となる。近年はサートゥルナーリア(2019年)、コントレイル(20年)が立て続けに年明け初戦で皐月賞を制したが、それとて2頭とも年末のホープフルSからの参戦だった。1990年以降の皐月賞を例に取ってみても、前年の12月以降に走っていなかった出走馬は3頭だけ。しかも、15、16、15着と散々な結末に終わっている。さらに、イクイノックスの場合は右回りも2000メートルも初めて。まさに“未知の領域”に足を踏み入れることになる。
では、受けて立つGI馬2頭の動向はどうか。朝日杯フューチュリティSを制したドウデュースは、皐月賞と同じ舞台で行われる弥生賞ディープインパクト記念からの始動を予定している。ホープフルS馬キラーアビリティのローテーションは未定だが、レース後に馬主のキャロットファーム・秋田博章代表は皐月賞へ直行する可能性も示唆していた。そうなると、現時点での“3強”が本番で初めて顔を合わせることになる。これも路線の多様化や調教技術の進歩といった現代競馬の特徴が生み出す現象といえるだろう。トライアルを連戦するような馬もざらにいたひと昔前がウソのようだ。不確定要素が多すぎて悩ましい限りだが、何とか頭を振り絞って的中への道筋を探したいと思う。