クロノジェネシスとのコンビで昨年の有馬記念を制した北村友一騎手【拡大】
クロノジェネシスの主戦で、5月の落馬で椎体骨折、右肩甲骨骨折を負って休養中の北村友一騎手(35)=栗東・フリー=が、ラストランに臨むパートナーにエールを送った。(聞き手・宇恵英志)
--戦線離脱中のために騎乗できないが、長らくコンビを組んできたクロノジェネシスのラストラン。“主戦”としての思いを
「まずは無事に。もちろん、応援はしますし、いい結果が出ればと思います」
--初めてまたがったときの感想は
「最初に騎乗したときに『走る馬』だなと。成長力がありそうで、背中がいい、パワーがある、乗り味がいい、ストライドがいいとかではなく、何より走るセンスを感じました。新馬戦のときに『本当に走る』という感覚を得ました」
--どういう存在か
「ともに成長してきた、いいパートナーです。自分で感じる以上に、多くの人に『北村友一=クロノジェネシス、クロノジェネシス=北村友一』と思ってもらえていました」
--ベストレースは
「秋華賞です。人馬ともに成長できました。内容的にも良かった。勝ちを意識して、きっちりと勝てたレースです」
--後悔しているレースは
「阪神ジュベナイルフィリーズ(2着)です。立ち回りなど、競馬のさせ方が良くありませんでした。違った形の競馬なら、勝てていたと思います」
--年齢を重ねてどこが変わったのか
「体重の増加が示す通り、パワーがつきました。センスのいい走りにパワーがつきましたね。(昨年の)宝塚記念くらいから、精神的な落ち着きも出ましたよ」
--昨年の有馬記念を振り返って
「長くいい脚を使いながら、そのなかでめりはりの利いた走りができました。向こう正面で自分から脚を使い、3、4コーナーでギアを上げるレースでした。馬を信じる騎乗ができました」
--学んだことは
「馬の成長力を感じました。コンビを組んでここまで成長力を感じた馬は初めてです。馬を信じることも学びました」
--自身の現在の体の状態、今後の復帰予定は
「背骨がくっついていない箇所が1つあります。ボルトが入った状態です。復帰は(来年の)5、6月くらいになりそうです」
--最後に、レース後の引退式でどんな言葉をかけるか
「感謝の気持ちを言葉にしたいです。いい経験をさせてもらえましたので。クロノの子にも乗ってみたいですね」
■北村友一(きたむら・ゆういち) 1986(昭和61)年10月3日生まれ、35歳。滋賀県出身。2006年に栗東・田島良保厩舎所属でデビュー。2008年デイリー杯2歳S(シェーンヴァルト)でJRA重賞初勝利を挙げ、19年の大阪杯(アルアイン)で同GI初制覇。19日現在、JRA通算806勝、重賞はGI5勝を含む27勝。今年5月2日の阪神競馬で落馬し、現在は療養中。