中央競馬:ニュース中央競馬

2021.7.27 05:00

【火曜スペシャル】調教タイムが変わる!美浦Wコース自動計測、きょう運用開始

美浦トレセンコース図(左回り)

美浦トレセンコース図(左回り)【拡大】

 週替わり企画「火曜スペシャル」第4回の題材は「調教タイム」。美浦トレセンでは27日からWコースで自動計測がスタートする。すでに東西トレセンの坂路では導入されて久しいが、平地では初。そこで当欄では調教タイムがどう変わってきそうなのかを、関係者への聞き込みを中心に調査。栗東トレセンを含めた他のコースの調教タイムの見方もレクチャーする。 (取材構成・板津雄志)

 美浦トレセンで27日に始まるWコースの自動計測。国枝調教師がそのメリットを説明する。

 「競馬専門紙のトラックマン(TM)が苦労して時計をとっていても、霧で見えないとか苦労していた。安定した指標を提供できるのはいいこと」

 従来、競馬エイトなどのTMが神業といえるストップウオッチの指さばきで、一日約400~500頭のWコースでの追い切り時計を測っていたが、視界不良などで計測不能になるケースもあった。それが天候に左右されず、供給できるようになるのは大きな前進だ。

 では、手動と自動でどう数値が変わってくるのか。「5ハロン、6ハロンの全体時計はほぼ変わらない。ただ、明らかに違うのはラスト1ハロンの数字。(試験運用中)ときどき見せてもらったけど、今までめったに出なかった11秒台が普通に出る。本当に動く馬なら10秒台が出ることがあるかもしれない」と奥村武調教師。手動の場合、調教スタンド内のTMの計測する位置によって、時計の数値が変わる場合もある。これまで一日5頭もいれば多い方だった11秒台が、今後は珍しくなくなるかもしれない。「12秒を切るかどうかで、芝でいい瞬発力が使えるか、そうじゃないかが判断できるかもしれない」と、奥村武調教師は今後の新たな調教タイムの活用法も提示した。

 この機器導入により、ラスト1ハロンの時計が従来よりも0秒5~1秒0ほど速くなる見込み。今週のクイーンSで有力視されるドナアトラエンテは、21日に馬なりで1ハロン12秒4(5ハロン65秒1)をマーク。25日のアイビスSDを勝ったオールアットワンスも、21日に同4ハロン51秒8-12秒2を計時していたが、この2頭は自動計測ならともにラスト1ハロンが11秒台だったと思われる。

 「しまいの1ハロンがピタッと出るようになるのはいいと思う。そのタイムを各厩舎がどう読み取って活用していくかだろうが、ウチの厩舎の調教のやり方が変わったりすることはないよ」と国枝調教師。Wコースの自動計測が開始されても、調教方法は大きく変わらないというのが現場の声。追い切りの時計が速くなっても、その数字だけに惑わされず、全体の動きもチェックすることが重要だろう。

 画像の美浦トレセンのコース図は、現在使用されている新潟開催に合わせた左回りのもの。1ハロンごとに引かれた線の両サイドにセンサ(受信アンテナ)が設置されており、通過した馬のICタグを読み取る。ほとんどの追い切りは6ハロン地点(A)の奥から馬が出てきてスタートし、調教時計は5ハロン(B)からまとめられることが多い。自動計測は最大10ハロンの計測が可能だが、ゴール地点(C)を通過しないと表示されない。なお、右回りのゴール地点は(D)。

 池上調教師は数字だけでは分からない負荷を強調した。「Wコースで5ハロンから内ラチ沿いと外ラチ沿いを回ってくる馬では、30メートルくらい走る距離が変わってくるのは、理解してほしいところ」と明かす。それは、調教欄のラスト1ハロンの右側に丸数字(内~外で(1)~(9))で表記されている(表で(3)=馬場の内から3分どころを通過したことを示す)。もうひとつは「乗り手が騎手と調教助手で、時には10キロくらい体重差があること。普段のレースでは斤量が1キロ変わるだけでも、みんな気にしているわけですからね」。併せ馬では、騎手が乗っている馬の方が手応えが良くなりやすいのは、頭に入れておきたい。

 ■栗東トレセンの調教コース 坂路コースと平地のA~Eコースがある。平地コースの中で最も調教頭数の多いのがCWコース。ウッドチップ馬場で、クッション性や排水性に優れており、天候による変化が少なく、馬の脚にも優しい馬場とされる。

 4ハロンの坂路より長い距離で負荷をかけることが可能で、古馬の標準的なタイムは、6ハロン83秒前後、ラスト1ハロン12秒台の後半。同80~81秒台、ラスト1ハロン12秒前半なら水準以上といえる。中には6ハロン80秒を切ったり、しまい重点ならラスト1ハロン11秒5前後で伸びる馬もいる。なお、栗東CWコースは12月7日に自動計測を導入する予定だ。

 また、坂路は1985年に完成し、89年からバーコードでの自動計測が始まった。現在は全長1085メートル、幅員7メートル、高低差32メートル。天候、ウッドチップの入れ替えによってタイムに幅が出る。先週は4ハロン53秒台が水準。一番時計はフラミンゴフライト(2勝クラス、茶木、牝4)の4ハロン51秒1だったが、時計が出やすい時は4ハロン50秒を切る馬も多い。

 ■美浦トレセンの調教コース 北・南馬場および坂路があり、Wコースと同様に追い切り頻度が高いのが坂路。今回、Wコースでも運用されるICタグを使用したセンサ方式の自動計測を、坂路では2011年12月に導入した。追い切り日の最速タイムは大体4ハロン51秒前後で、余力をもって53秒を切ってくるなら上々とみていい。その他、南馬場にダート(A・B)、芝、ポリトラックコースがあり、北馬場には障害専用のAコース、ダートのB・Cコースがある。こちらの調教タイムは無論、手動計測だ。

 ★僚紙競馬エイトで美浦トレセン南馬場の時計班を務める野田慶一郎TMが、調教タイムのポイントを解説した。

 まずは本紙調教欄の一番右にある矢印。「↑(エイトでは7、8)は動きが目立った調教につけられるので、時計に関係なく注目してほしい。今は控えめな内容が多い当週より、しっかり攻められる1週前追い切りの方が重要」だという。

 またWコースについては「楽な手応えで上がり3ハロン38秒を切ってくる馬は優秀」、「併せ馬で(後方から)内に入れる馬はどの厩舎でも能力が高い馬だと思うし、そこで手応え優勢であればなおいい」と独自の視点を明かした。

関連

  • 自動計測になる美浦トレセンのWコース(手前)。ラスト1ハロンの時計が速くなるかもしれない(写真は右回り使用時)
  • 美浦トレセン南Eウッドチップコース、ハロン棒の脇に立つ自動計測装置の一部