【桜花賞】ソダシ、無敗で白毛馬初のクラシック制覇!

2021.4.12 05:00

 白毛馬初のクラシック制覇だ! 桜花賞が11日、阪神競馬場で行われ、純白の馬体をした2番人気のソダシ(栗東・須貝尚介厩舎)が、1番人気サトノレイナスの猛追をクビ差封じて戴冠。昨年のデアリングタクトに続き、史上8頭目となる無敗の桜の女王が誕生した。走破タイム1分31秒1はコースレコード。主戦の吉田隼人騎手(37)=美浦・フリー=はデビュー18年目でうれしいクラシック初勝利となった。

 透き通るような青空が、純白の馬体をより際立たせた。白毛馬ソダシが最高の輝きを放ちながら、直線の攻防をクビ差しのいで戴冠。デビューから5戦全てで手綱を取ってきた吉田隼騎手は、満面の笑みを浮かべた。

 「最高に気持ちいいです。(迫ってくるサトノレイナスが)見えていました。最後は『何とか頑張ってくれ』と思っていました」

 4戦4勝で2歳女王となりながら、希少な白毛馬として注目されるなか「本当に強いのか」と懐疑的に見る目も少なからずあった。「見返してやろう」と反骨心を燃やした鞍上は「自分が思っている以上に成長していましたね」と、白毛初のクラシック制覇を成し遂げた相棒に目を細め、自身デビュー18年目でのクラシック初Vに酔いしれた。

 前走でゲート入りを嫌がったことで、今回はゲートの先入れが決まっていた。本番2カ月前の2月10日に入厩後は、時間をかけてゲート練習を消化。その甲斐あって、この日はすんなりゲートに収まると、他馬が入る間に待たされても我慢していた。ハナに立つほどの勢いでスタートを切り、スッと3番手を確保。直線ラスト1ハロン手前で先頭に立ち、阪神JFの再戦となったサトノレイナスの追い上げをクビ差で封じた。

 「(隊列の)形が決まってからは馬と呼吸を整えて、手応えも十分だったので、周りを確認する余裕がありました。高速馬場は分が悪いかと思っていましたが、馬の力に助けられましたね」

 1分31秒1の走破タイムは、従来の記録を0秒8も更新するコースレコード。歴代最長レース間隔となる中118日での勝利で、しっかりと成長した姿を見せつけた。

 厩舎スタッフの苦労もあった。母ブチコは現役時、ゲートに突進して流血するほどの激しい気性の持ち主だった。娘を管理することになった須貝調教師は、かつて気性難で知られたGI6勝馬ゴールドシップとコンビを組んだ、熟練の今浪厩務員を担当に選んだ。それでも「いつ気性が爆発するか気が気じゃない」のが本音。スキンシップを図るため、馬房でソダシの顔をなでるのが須貝調教師の水~金の日課となった。調教でも、馬の気持ちを損なわないように騎乗者や場所を柔軟に変更。チーム一丸でつかんだ栄冠だった。

 「阪神競馬場の桜は散ってしまいましたが、阪神のターフに、真っ白なお花を咲かせることができました」とトレーナーは胸を張る。次走は当然ながら、オークス(5月23日、東京、GI、芝2400メートル)の予定。アイドルホースの枠だけには収まらない。白毛馬ソダシの未来には、無限の可能性が広がっている。(山口大輝)

■ソダシ 父クロフネ、母ブチコ、母の父キングカメハメハ。白毛の牝3歳。栗東・須貝尚介厩舎所属。北海道安平町・ノーザンファームの生産馬。馬主は金子真人ホールディングス(株)。戦績5戦5勝。獲得賞金2億6623万2000円。重賞は2020年GIII札幌2歳S、GIIIアルテミスS、GI阪神JFに次いで4勝目。桜花賞は須貝尚介調教師が、吉田隼人騎手ともに初制覇。馬名は「純粋、輝き(サンスクリット語)」。

★白毛…8種類あるサラブレッドの毛色の一つ(その他に鹿毛、黒鹿毛、青鹿毛、青毛、芦毛、栗毛、栃栗毛)。産駒数は最も少なく、JRA現役登録馬約8500頭のうち、白毛は7頭しかいない。

 日本では1979年に突然変異で誕生したハクタイユー(父=黒鹿毛、母=栗毛)が最初の白毛で、徐々に白くなる芦毛とは異なり、生まれたときからほぼ真っ白なのが特徴。

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