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2021.2.2 05:00

騎手生活ラストスパート!蛯名、一鞍入魂!

3月から調教師に転身する蛯名騎手。名手の手綱さばきも今月末で見納めだ

3月から調教師に転身する蛯名騎手。名手の手綱さばきも今月末で見納めだ【拡大】

 3月に調教師に転身する蛯名正義騎手(51)=美浦・フリー=の現役引退まであと1カ月を切った。1日現在、積み重ねたJRAでの勝ち鞍は史上4位の2538勝。世界最高峰のGI凱旋門賞(フランス)でも2度の2着があるなど、国内外で活躍した名手が、引退が迫った現在の心境を語った。

 巨人ファンの野球少年だった小学生時代、テレビで見たグリーングラスの菊花賞(1976年)に衝撃を受けてジョッキーを志した蛯名騎手。その濃密な騎手人生は34年でピリオドが打たれる。

 「デビューした頃は、辞めるときのことなんて想像もしないからね。本当にいい思いも、悔しい思いもたくさんさせてもらった。自分ができることはやったと思うし、幸せな騎手人生だった」

 “生涯で会心のレース”に挙げるウメノファイバーのオークス(99年)など、積み重ねたJRAでの勝ち星はGI26勝を含む2538勝。2度の凱旋門賞2着(99年エルコンドルパサー、2010年ナカヤマフェスタ)など、同期の武豊騎手とともに日本競馬をリードし、世界とも渡り合った。名手が調教師への転向を考えたのは3年前だ。

 「周りでいろんなことが重なった。小島太調教師(GI3勝マンハッタンカフェなどを管理。18年定年)が引退したり、二ノ宮敬宇調教師(エルコンドルパサー、ナカヤマフェスタなどを管理。18年勇退)が辞めてしまったり…。そんな中で考えるようになっていったけど、騎手として駄目になったから、では嫌だった。やらせてもらえるならエネルギーがあるうちにやりたかった。やる以上は負けたくないしね」

 騎手としてまだやれるという思いでの決断。しかしこの3年間は、“騎手・蛯名”としては不本意だったという。

 「調教師になることと騎手の仕事を、うまく両立させられなかった。ファンの人にも、そこは申し訳なかったと思う」

 3度目の受験で調教師試験に合格し、存分に馬と向き合えるいま、残された時間は少ないが、ラストスパートとばかり“一鞍入魂”の騎乗を続ける。7日の中京4R(3歳1勝クラス、ダ1800メートル)で騎乗予定のレディマーシーは手応えを感じる原石だ。

 「前走(1着)の内容が良かったし、血統もいい。先々はいいところまでいける馬だし、そういう競馬を見せたいね」

 2月も東京や中山のみならず、各地の競馬場を回る。21日にはJRA全10場重賞制覇がかかる小倉の小倉大賞典で、デンコウアンジュに騎乗する予定だ。そこにはこんな思いもある。

 「最後はいろんな競馬場にあいさつしたいというかね。(馬の)上から見るこの景色もこれで最後か、とかみしめたりしてね。無観客で来られなくなったけど、全部の競馬場に観に行くといってくれたファンもいた」

 ゴールまで決して諦めない魂の騎乗が見られるのも、あと1カ月。希代の勝負師の姿を、最後までしっかりと見届けたい。 (内海裕介)

蛯名 正義(えびな・まさよし)

 1969(昭和44)年3月19日生まれ、51歳。北海道出身。87年3月1日に美浦・矢野進厩舎所属でデビュー。同期に武豊騎手らがいる。同年に30勝を挙げて関東新人騎手賞を受賞。96年の天皇賞・秋(バブルガムフェロー)でGI初勝利を果たした。98年には136勝で初の関東リーディングを獲得。2001年は133勝で全国リーディングに輝いた。10年はアパパネで牝馬3冠。1日現在、JRA通算2万1159戦2538勝は現役3位、歴代4位。JRA重賞はGI26勝を含む129勝。