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2020.12.22 05:00

【有馬記念】柴田政人氏が大分析!クロノジェネシス「差し切れる」

宝塚記念を圧勝し、有馬記念で史上11頭目のグランプリ連覇に挑むクロノジェネシス(左)。柴田氏はその末脚と自在性を高く評価している

宝塚記念を圧勝し、有馬記念で史上11頭目のグランプリ連覇に挑むクロノジェネシス(左)。柴田氏はその末脚と自在性を高く評価している【拡大】

 往年の名手が、春のグランプリホースに熱視線を送った。現役時代に輝かしい成績を残した柴田政人元騎手(72)=本紙評論家=が、GI馬8頭がそろった有馬記念を分析。注目馬として宝塚記念に次ぐグランプリ連覇を狙うクロノジェネシス(栗東・斉藤崇史厩舎、牝4歳)の名前を挙げた。その切れ味を高く評価し、デビュー以来コンビを組み続ける北村友一騎手(34)=栗東・フリー=の手腕にも期待を寄せている。

 2020年の中央競馬もあと1週を残すところとなった。新型コロナウイルスで大変な年となったが、一度も中断せずに中央競馬の開催を継続できたことは素晴らしいと思う。ファンの皆さまの熱い応援と、関係者の努力に頭が下がる思いがする。特に、これ以上望めないメンバーがそろったジャパンCは、全ての競馬ファンに恩返しをするような最高のレースを見せてもらった。

 さあ、いよいよ今年の中央競馬のフィナーレを飾る有馬記念。私がもっとも注目する馬はクロノジェネシスだ。

 今回、レースの鍵を握るのは、おそらく逃げるであろう3歳馬バビットの動き。この馬のペースにもよるが、地力のあるラッキーライラックやカレンブーケドールが好位につけ、さらにクリストフ・ルメールが手綱を取るフィエールマンが中団で構えれば、楽な流れにはならず、直線で鋭い末脚を繰り出せる馬にチャンスは大きい。

 メンバーを見渡してみると、良馬場での切れ味勝負ならクロノが最右翼だ。どんな競馬でもできそうなタイプ。フィエールマンをマークする形で追い出せば、それをしのぐ瞬発力を発揮できる存在とみている。

 中山芝2500メートルという舞台は、騎乗者側の感覚からすると決して難しいコースではない。一旦各馬のポジションが決まれば、そこからおかしな流れになることは少なく、後方からでも十分に差し切れる。デビュー以降、全レースでコンビを組む北村友一なら、クロノの持ち味を存分に引き出せるだろう。

 騎手時代の1989年、私もイナリワンで有馬記念を勝たせてもらった。フルゲート16頭立ての15番枠という外枠スタートだったが、2周目の3コーナーでうまく内に潜り込ませることができ、最後にもうひと脚使うことができた。

 4番人気だったイナリワンはその秋、天皇賞・秋6着、ジャパンCが11着といいところがなく、ライバルのオグリキャップ(1番人気5着)やスーパークリーク(2番人気2着)とは近走の成績に加えて人気でも差をつけられていた。

 実は、その敗れた前2走は、東京競馬場に入厩したことで周囲に他の馬がいない環境にイナリワンが寂しがり、完全に調子を落としていた。それが、その後は美浦トレセンに戻って調教を進めたことで、有馬記念の追い切りの段階ではすっかり元気を取り戻しており、“やれる”と感じたことを覚えている。もともと実力のある馬は、きっかけひとつで大きく変わるものだ。

 そういう意味でも、クロノの他に勝ち負けになってもいいと思えるのが、ミルコ・デムーロのラヴズオンリーユーと、武豊のワールドプレミアだ。ラヴズは昨年のオークスを勝ったときにすごい末脚を使っており、相当な能力を秘めている。ワールドは昨年の有馬記念でも注目していたが、3歳の時点で3着に食い込んだことからも、やはり地力は確かだ。

 その他にも気になる馬は多いが、今年はこの3頭を中心に、レースを堪能させてもらおうと思っている。 (元JRA騎手、調教師)

★有馬記念の特別登録馬(想定騎手入り)はこちら 調教タイムも掲載

■柴田政人(しばた・まさと) 1948(昭和23)年8月19日生まれ、72歳。青森県出身。同期の岡部幸雄、福永洋一氏らとともに67年3月に騎手デビューし、95年に引退するまで中央競馬通算1767勝、重賞89勝。ミホシンザン(85年皐月賞、菊花賞、87年天皇賞・春)などで大レースを制した。その後は調教師に転身し96年に厩舎を開業。2019年2月の定年引退までに191勝を挙げた。本紙では調教師時代から重賞観戦記『政人の目』を連載中。

★柴田政人氏と有馬記念…デビュー4年目の1970年にアローエクスプレスで初騎乗。7番人気の低評価だったが、連覇を果たしたスピードシンボリの4着に好走した。85年にはミホシンザンで挑みシンボリルドルフの2着。翌86年もミホシンザンで1番人気に支持されたが、僅差の3着に終わった。初勝利は89年。その年の天皇賞・春、宝塚記念を制しながら秋は不振で、4番人気と評価を落としていたイナリワンで執念のハナ差勝ちを収めた。引退まで14回騎乗し、1勝、2着1回、3着3回の成績を残している。

★JCでもズバリ!…柴田氏はジャパンCウイークの11月25日付紙面にも『政人の目』特別編で登場。アーモンドアイ、コントレイル、デアリングタクトの3冠馬決戦の中、「3頭の中で乗りたい馬を聞かれれば迷わずにアーモンドアイと答える。あの走り方にほれ込んでいる。アーモンドには(3歳馬の)他の2頭にはない経験がある」と断言した。その読み通り、レースはアーモンドアイが年下の3冠馬2頭を封じてGI9勝を達成。名手ならではの着眼点に今回も注目だ。

★グランプリ連覇…宝塚記念と有馬記念の両グランプリを同一年に制した馬は10頭がいる。そのうち牝馬は昨年のリスグラシューのみで、クロノジェネシスが勝てば史上2頭目の快挙。リスグラシューは有馬記念が初の中山参戦で、コンビを組んだレーン騎手も有馬記念初参戦だったが、それは今回のクロノジェネシスと北村友騎手にも共通している。

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