2020.8.28 04:55
今週の「馬人」は、日曜新潟メインの新潟2歳Sにフラーズダルム(牝2)を送り出す松永昌博調教師(66)=栗東=を取り上げる。素質を秘める若駒に、トレーナーは大きな期待を寄せている。
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松永昌調教師が新潟2歳Sを前に、大きく胸をふくらませている。フラーズダルムで勝てば、自身初の2歳重賞制覇。ただし、気負いはない。
「自然体だよ、自然体。いつも通り。馬は前走後もいい感じだよ」
2006年の開業から『スタッフとよく話し合う』をモットーにしてきた。「(馬を心身両面で)追い込みすぎないようにはしているかな」
仕上げにはゆとりを持たせ、これまでの2歳は秋以降にデビューさせるケースが多かった。だから、GI1勝を含むJRA重賞通算11勝を挙げながら、早い段階から馬を作る必要がある2歳戦には縁がなかったのだろう。
1977年に騎手デビューし、ナイスネイチャなどでJRA重賞23勝をマーク。「どちらかといえばイケイケだったかな」と振り返るジョッキー時代の若駒への接し方は、調教師となりいろいろと経験して変わった。
「(管理馬に)あまり、無理させないように。馬に合わせて仕上げるようにしているね。その方が(競走馬として)長持ちするから」
フラーズダルムは6月の阪神芝1600メートルで新馬勝ち。もちろん、心も体もギリギリに作っていたわけではない。
「完成度が高いのかな。でも、これからまだ良くなる馬だと思う。気性が素直だし、距離が延びてもいいタイプ。ここを勝つようなら、大きいところに行けるんじゃないかな。それくらいの期待は持っているよ」
クラシックは、ウインバリアシオン(2011年)の日本ダービー、菊花賞2着が最高着順。フラーズダルムで、来春こそ手にしたい。(宇恵英志)
■松永昌博(まつなが・まさひろ) 1953年12月17日生まれ、66歳。鹿児島県出身。1977年から騎手としてJRA通算544勝、重賞23勝。2002年に引退し、調教助手を経て05年に調教師免許を取得。06年3月1日に開業した。27日現在、JRA通算315勝で重賞は11勝。GIは11年にエイシンアポロンでマイルCSを制している。