2006年の有馬記念を制したディープインパクト。武豊騎手との名コンビで有終の美を飾った【拡大】
現役時代に無敗でのクラシック3冠を含むGI7勝を挙げ、種牡馬としてもGIホースを輩出した希代の名馬ディープインパクトが死んで、きょう30日で1年を迎える。現役時代にコンビを組んだ武豊騎手(51)=栗・フリー=らが名馬をしのび、競走馬でも、種牡馬でも“ポスト・ディープインパクト”の出現に期待した。
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現役時代、“飛ぶように走る”と形容され、数々のドラマとともにGI7勝を挙げたディープインパクト。種牡馬としても活躍していた名馬が急死して、きょう30日で1年の節目を迎える。
昨年2月18日に首の痛みを訴え、種付けを中断。経過観察ののち、7月28日に手術を受けて一時は馬房で動き回るまで回復したが、29日に起立不能の状態に陥り、さらに別の頸椎部の骨折が判明したため、30日に安楽死の措置が取られた。種牡馬時代に繋養されていた北海道安平町・社台スタリオンステーション事務局・徳武英介氏(58)=円内=は「当時はこれ以上ない衝撃だったので、あれから1年たったという気がしません。ちょっと前の出来事のようです」と振り返る。
現役時代に全14戦で騎乗した武豊騎手も、忘れえぬパートナーを懐かしみ、その血を引く馬たちへの期待を口にする。
「(セレクトセールで)当歳がいなくて少し実感がありました。(実質)あと2世代になりますし、またいい馬に乗って、ディープを超えるような馬が出たらいいですね。改めてすごい馬です。海外でも(産駒が)GIを勝ちますしね。残された馬たちもたくさんいますし、そういう馬たちが活躍して、さらに名声を高めたいです」
ディープインパクトの現1歳の産駒は109頭で、昨年は24頭に種付け。産駒への期待は依然大きく、13日のセレクトセール1歳競りでは「シーヴの2019(牡)」が国内の1歳競り史上最高の5億1000万円で落札されるなど、上場13頭のうち9頭が1億円超えで取り引きされた。
キズナやリアルインパクトをはじめ、ディープインパクトの子供が種牡馬として活躍中。徳武氏は「ディープインパクト系の“のれん”を守るような(柱となる)種牡馬は、まだはっきりとは分からない、というのが現状での答えだと思います。そういった種牡馬が出てきてほしいという思いは強いです」と話した。
■ディープインパクト 2002年3月25日生まれ、鹿毛の牡馬。北海道早来町・ノーザンファーム生産。現役時は栗東・池江泰郎厩舎所属で、全戦の鞍上を武豊騎手が務めた。
05年に史上6頭目のクラシック3冠を無敗で達成。戦績は14戦12勝(うち海外1戦0勝)でGIは05年皐月賞、日本ダービー、菊花賞、06年天皇賞・春、宝塚記念、ジャパンC、有馬記念の7勝。総獲得賞金は14億5455万1000円。
07年に北海道安平町・社台スタリオンステーションで種牡馬入りし、12年から8年連続でリーディングサイアーを獲得。産駒はJRA・GI57勝を挙げており、今春はコントレイル(栗・矢作、牡3)が父に続いて無敗の2冠制覇を達成。海外では愛国産のファンシーブルー(愛=D・オブライエン、牝3)がディアヌ賞(仏オークス)を制した。昨年7月30日に頸椎骨折のため安楽死の措置がとられた。
★ノーザンHPに常設展を開設…ノーザンホースパーク(北海道苫小牧市)では、場内のホースギャラリー2階にディープインパクトの常設展「メモリアルコーナー」を18日に開設。クラシック3冠の優勝レイや記念トロフィーなどの記念品、現役時代の映像などで名馬の偉業を振り返ることができる。午前9時~午後5時の同パークの営業時間内は見学自由。