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2020.5.28 16:46

相沢師コラム・トレセン365日WEB版(109)~20年ぶりのダービー2頭出し・ビターエンダー&ブラックホール

プリンシパルSを制してダービーの出走権をつかんだビターエンダー(奥)

プリンシパルSを制してダービーの出走権をつかんだビターエンダー(奥)【拡大】

 今年もいよいよ競馬の祭典、日本ダービーがやってきました。晴れの舞台に昨年に続いて出走、しかもビターエンダー、ブラックホールと2頭の管理馬を送り出せるのは調教師冥利に尽きます。

 日本ダービーの2頭出しは初出走だった2000年(ジョウテンブレーヴ6着、マイネルコンドル15着)以来。当時は開業3年目で前年にオークスをウメノファイバーで勝つなど勢いに乗っていたので、まだ訳のわからないまま「ダービーも勝てるんじゃないか」と思っていたくらいです(苦笑)。歳月を重ねた今では、また違った感慨がありますね。

 柴田政人元騎手が苦労の末にウイニングチケットで初めてダービーを勝った(1993年)あと、「私が第60回日本ダービーを勝った柴田政人です、と世界中のホースマンに伝えたい」と語ったシーンはいまだに忘れられません。また、“ダービートレーナー”という呼び方はしますが、“JCトレーナー”とか“有馬トレーナー”とは言いません。それだけ特別な重みのあるレースです。そして、サラブレッドにとって一生に一度のダービー出走には運も大事。たとえ実力があっても、ケガでリタイアする馬も多いのです。実力、運、すべてがかみ合わないと出られません。

 ビターエンダーはそれこそ、ラストチャンスのプリンシパルSを勝って出走権をつかみました。レース中に落鉄がありましたが、1週間楽をさせたことで疲れは抜けました。不器用なので広い東京コースは合っていますね。今の東京は前が止まりづらい高速馬場ですし、前走のように内枠から先行できれば面白いと思います。鞍上の津村明秀騎手はデビュー17年目でのダービー初騎乗。10日の落馬事故にはヒヤッとさせられましたが、今週の追い切りにはしっかり戻ってきてくれました。夢の初舞台を楽しんできてほしいですね。

 ブラックホールは使いつつ馬体が増えてきて、絶好調といえるデキです。後ろから行くこの馬にとって今の馬場は歓迎とはいえませんが、しまいは確実に脚を使うので長い直線は合っているはず。父はゴールドシップなので距離延長も歓迎です。デビューからずっと乗っている(石川)裕紀人に大仕事を期待しましょう。津村も共同通信杯を除けばデビューからビターに乗り続けていますし、一から育ててきた人馬のコンビで好結果を出せればこれに勝る喜びはありません。

 今年はコロナ禍で76年ぶりの無観客開催。ファンも馬主さんも不在で、表彰式すらありません。好メンバーがそろっただけに残念ですが、“ステイホーム”のこの機会に競馬に初めて触れる方も多いはず。最近は競馬番組の視聴率も上がっていると聞きました。画面越しに精鋭18頭へ熱い声援を送っていただければと思います。

■相沢郁(あいざわ・いくお)

 1959年6月19日生まれ。北海道出身。麻布大学獣医学部で獣医師免許を取得。98年に厩舎を開業。初年度からウメノファイバーが京王杯3歳Sを優勝し、翌年にオークス制覇。2012、13年にJRA賞優秀調教師賞を受賞。これまでにJRA重賞18勝をあげている。趣味はお酒。