【馬人クローズアップ】加用正調教師

2020.5.8 04:59

 今週の「馬人」は、NHKマイルCにプリンスリターンを送り込む加用正調教師(66)=栗東。厩舎開業27年目のトレーナーが、デビュー9年目の原田和真騎手(26)=美・フリー=とともに、悲願のJRA・GI制覇を目指す。

 ◇

 GI初参戦はエイシンガイモンで挑んだ開業2年目の1995年朝日杯3歳S(現・朝日杯FS)。いきなり2着と勝利に迫った加用調教師だったが、その後は交流GIで2014年JBCスプリント(ドリームバレンチノ)、19年川崎記念(ミツバ)と2勝したものの、JRA・GIにはまだ手が届いていない。

 「GIは出ること自体が大変。それを勝つには、運やデキや騎手など全ての面がパーフェクトにいかないと」

 冷静な口調で勝負の厳しさを口にする。そのエイシンガイモンでは、第1回のNHKマイルCにも参戦(8着)。あれから24年。今年はプリンスリターンで再挑戦する。

 昨夏の函館で松岡騎手がつないだ縁で原田騎手=円内=を抜擢(ばってき)し、全7戦で手綱を託してきた。原田騎手にとって平地GI初騎乗となった朝日杯FS(5着)時には、取材が殺到すると、指揮官は周囲に「あまりプレッシャーをかけないでくれよ」と促した。その思いを背負った人馬は、重賞でもシンザン記念2着など、着実に成長を遂げてきた。ただ、3着に敗れた前走は納得がいかなかった。普段はめったに怒らない指揮官が、初めて注意をした。

 「早めに先頭に押し出されてソラを使って…。シンザン記念と同じレースをした。この馬で騎手としての腕を上げてアピールしないと」

 加用師は1976年に瀬戸口勉厩舎所属で騎手デビューし、関西新人賞を受賞。87年に毎日杯を制したダイゴアルファで日本ダービーにも3番人気で出走(20着)した。通算559勝、重賞20勝を挙げたがGIは未勝利。騎手時代から持ち続ける飽くなき向上心で、頂点を狙っている。

 「前走も速いペースで行ってソラを使っていたし、まだ余裕があるんだと思う。直線の長い東京で相手も強くなるけど、乗り方ひとつだと思う」

 多くの人の思いを背負って挑むプリンスリターン。初のビッグタイトルに夢を抱いて、ワンチームで東上する。(斉藤弘樹)

■加用正(かよう・ただし) JRA調教師。1953年5月17日生まれ、66歳。神奈川県出身。1976年から93年まで騎手としてJRA通算559勝(うち重賞20勝)をマーク。同年に調教師免許を取得。翌94年に厩舎を開業し、通算585勝(うち重賞13勝)。※記録は7日現在。

★NHKマイルCの出馬表はこちら 調教タイムも掲載

閉じる