【有馬記念】柴田政人初予想!アーモンド「死角少ない」

2019.12.17 05:08

 往年の名手が予想初披露! 現役時代に闘志あふれる騎乗でファンを魅了した柴田政人元騎手(71)=サンケイスポーツ評論家=が、暮れのグランプリを初分析。騎手の視点から、操縦性に優れるアーモンドアイ(美浦・国枝栄厩舎、牝4歳)を「死角が極めて少ない」とプッシュした。1989年の有馬記念をイナリワンで制すなど、一時代を築いた名ジョッキーが、名牝に太鼓判! 逆転候補には菊花賞馬のワールドプレミア(栗東・友道康夫厩舎、牡3歳)を挙げた。

 2月いっぱいで調教師を定年となり、有馬記念の見解をサンケイスポーツで披露することになった。私が平成元年にイナリワンで勝ってから30年もたったのか、と思うと時の流れは早いものだ。そのときにはオグリキャップというスターホースが出ていたが、今年はアーモンドアイがいる。香港Cを発熱で回避したが、その後の様子から影響はないようだ。普通に力を出せれば、負けるシーンは想像しにくい。

 中山芝2500メートルは、よくトリッキーなコースといわれる。このコースを攻略するには「流れをできるだけ早く捉える」ことが重要だ。

 スタートしてすぐ緩やかなコーナーなので、先行する馬は内枠が欲しい。外枠だと少し前に出していかなくてはいけないので、2周目の最後の坂で脚がなくなってしまう。1周目の正面スタンド前ではみんなが折り合いをつけようとして、流れが遅くなる。2コーナーから少し動いて位置を上げる馬も出てくるが、一気に行くと、これも最後の脚に響く。そして3~4コーナーは先行馬が仕掛けを待つので、外から早く動くと、直線の急坂で止まってしまうことが多い。とにかく、いかに早く流れに乗って、自分のポジションをつかむかが、勝利の鍵になる。

 イナリワンのときは外枠(〔8〕枠(15)番)だった。前半は無理をせず後方の外めを追走。3コーナーで内を突くと、目の前にいたオグリキャップの手応えがない。武豊のスーパークリークが抜け出したのをめがけて、ゴール寸前で差し切ることができた。3コーナーで前の馬がごちゃついて内があいたのが幸いしたが、うまくいったと思う。

 アーモンドアイは最近はいい位置でも競馬ができるようになったし、ジョッキーが動かしたいときに動けるので、いち早くレースの流れに乗ることができる。トリッキーなコースだけに、操縦性がいいことは大きな武器といえる。さらに、最後に爆発的な脚を使うことができる馬。死角は極めて少ないだろう。

 この馬を負かすのはどれか、と聞かれれば答えに窮するが、対抗できそうな馬ということで注目するのはワールドプレミアだ。

 菊花賞は道中の折り合いもぴったりついて、馬混みの中でも冷静に走れていた。勝負どころでもロスなく立ち回ったことで先頭との差を詰められたし、後続も押さえ込んだ。着差以上に強い競馬だったと思うし、ユタカの騎乗もよかったが、春に無理させず休ませたことで、馬が成長していたのが大きい。あのレースぶりなら中山の2500メートルでも上手に競馬ができるだろう。

 もちろんリスグラシューやキセキ、スワーヴリチャードなども能力の高さは間違いない。だが、来年以降の競馬を引っ張っていく3歳馬としてワールドプレミアに期待してみたいと思う。春のクラシックを使わずに成長を待ったことが、これからの能力開花につながるのではないかとみている。 (JRA元騎手、調教師)

★スパートのタイミング大事

 中山芝2500メートルは、ビッグレースが行われる舞台としては、かなり特殊なコース形態だ。スタートして、すぐに3~4コーナーのカーブを迎えることが最初の難関。外枠の馬は内に入ることができず、コーナーで外を回らざるを得なくなり、かなりのコースロスとなる。また、コーナーが計6回。息を入れやすいので、ペースが落ち着いて隊列が動かなくなりやすい。だからこそ、スパートのタイミングが大事。騎手の指示に瞬時に反応できない馬だと、後方に取り残される可能性がある。柴田政人元騎手は、アーモンドアイにはその心配がないと言い切る。

★有馬記念の特別登録馬(想定騎手入り)はこちら 調教タイムも掲載

柴田 政人(しばた・まさと)

 1948(昭和23)年8月19日生まれ、71歳。青森県出身。岡部幸雄、福永洋一氏らと同期で67年3月に騎手デビューし、95年2月の引退までに中央競馬通算1767勝、重賞89勝。ミホシンザン(85年皐月賞、菊花賞、87年天皇賞・春)などで大レースを制した。調教師に転身して96年に厩舎を開業し、定年を迎えた今年2月までに191勝を挙げた。サンケイスポーツでは調教師時代から重賞観戦記『政人の目』を連載中。

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