【現場記者の自由研究】日高の名門三嶋牧場、絶好調の秘密は!?

2019.7.23 05:05

 読者が知りたいワンテーマを掘り下げる夏競馬の新企画『現場記者の自由研究』。今回は東京サンスポの内海裕介記者が、北海道浦河町の三嶋牧場を取材した。生産馬のダノンキングリーが皐月賞3着、日本ダービー2着と活躍。マスターフェンサーはケンタッキーダービー6着など米3冠路線で大健闘をみせた。“王者”ノーザンファームとそん色ない勝率を残すなど、今年絶好調の成績を収めている日高の名門の奮闘ぶりに迫った。

 新千歳空港から車で2時間半。北海道浦河町に20余りの放牧地を構える三嶋牧場は、戦前から馬産を行ってきた日高の老舗。そんな名門が、今年の春競馬を大いに盛り上げた。

 生産馬2頭を送り込んだ日本ダービーではダノンキングリーがクビ差2着に入り、10着メイショウテンゲンとともに存在を強くアピール。また、海の向こうではマスターフェンサーが米3冠でケンタッキーダービー6着、ベルモントS5着と大健闘し、国内のダート界に衝撃を与えた。今年のJRAでの勝率11・2%(22日現在)は“王者”ノーザンファーム(同11・4%)とヒケを取らないのだから立派だ。

 「(生産馬が)頑張ってくれていますが、やり方を大きく変えた部分はありません。ただ、苦しいときも広い土地を購入したりと、拡大路線でやってきたことが良かったのかもしれません」

 そう語る三嶋健一郎取締役(47)は、前職としてダーレー・ジャパンの代表を務めたのち、実家でもある同牧場へ2年前に本格的に復帰。約90頭の繁殖牝馬には、三嶋さんが海外から輸入した馬も少なくない。

 「(ダノン)キングリーのお母さん(マイグッドネス)はアメリカでリーズナブルな値段で手に入れた馬で、これまで産駒が28勝もしてくれました。キングリーは生まれたときから見栄えが素晴らしく、種馬になれるんじゃないかと思ったほどでした。(メイショウ)テンゲンもうちの牧場を支えた(メイショウ)ベルーガの子ですし、(オーナーの)吉澤さんから預託されているセクシーザムライ(マスターフェンサーの母)も、とても子出しがいいんです」

 札幌開幕を告げるクイーンSにもミッキーチャーム、メイショウショウブの生産馬2頭がスタンバイ。ミッキーは母リップルスメイド(※現在は英国で繋養)を所有していたカタールのファハド殿下が、ディープインパクトと種付けさせる目的で同牧場に預けて誕生した。

 「(ミッキーは)生まれたときはきゃしゃな馬で、目立つような存在ではなかったですけどね。去年の秋華賞(アーモンドアイの2着)は相手が悪すぎた。輸送のない今回は、頑張ってくれるのでは」

 “ガリバー”ノーザンファームが圧倒的勝利数を残すなか、地道に勝ち星を積み上げるのみ。ワールドワイドな夢も乗せて、日高の老舗の奮闘は続く。 (内海裕介)

★人手不足救う“助っ人外国人”

 日高の生産界は人手不足が深刻だが、そんな窮状を救う文字通りの“助っ人外国人”がアジア各国から来日し、ライダーとして就労している。浦河地区だけでも100人ほどが就労中とされ、もはやなくてはならない存在だ。

 三嶋牧場にも数人の外国人が勤務。マレーシア出身のマゲンドラン・ガネーソンさん(41)は9年前から仲間に加わり、メイショウショウブの馴致(じゅんち)も担当した。「日本の競走馬に興味があって日高に来ました。最初は言葉が大変でしたが、もう大丈夫。メイショウショウブは若いときからいい馬だったし、頑張ってほしい」とエールを送る。

(有)三嶋牧場

 北海道浦河町の競走馬生産牧場。本場のほかに野深分場、富川分場、BTC三嶋がある。繁殖牝馬は90頭前後を所有。法人化は1960年。代表は三嶋昌春氏。

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