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2019.4.3 12:01

【佐藤洋一郎・馬に曳かれて半世紀(80)】ドバイの春に繰り広げられた馬物語~今、競馬の夜も明けようとしている(1/3ページ)

ドバイターフを制した国民的アイドルのアーモンドアイ。良発表とはいえ、メイダンの洋芝はその前に降った大雨の影響を受けていたようだった

ドバイターフを制した国民的アイドルのアーモンドアイ。良発表とはいえ、メイダンの洋芝はその前に降った大雨の影響を受けていたようだった【拡大】

 森進一が歌った「襟裳岬」のように、ドバイの春は何もない春、ではなかった。週中に時ならぬ大雨の洗礼を受けたというのに「芝が函館の洋芝以上に伸びている」と見えたというのに、当日はパンパン(?)の良発表。平成最後の明眸皓歯の国民的アイドル・アーモンドアイの「ターフ」楽勝タイムは、それほど遅くなく、ジャパンCのように驚くほど速いものでもなかったが。

 「夏場に昼間、徒歩で2~3時間歩いたら、おそらく倒れてお陀仏ですよ。亜熱帯砂漠気候、ここはそういう土地なんですから」

 サンタアニタパーク(ブリーダーズC)からラスベガスに移動した日、饒舌な日本人ガイドの大げさな脅しを真に受けることもなく、カンカン照りの真っ昼間に遠大なベガスの端から端までほっつき歩いた、通称ゴルという某引っ越し会社勤務の猛者がいた。ロスでは立ち入り厳禁区域とクギを刺されていたダウンタウンに迷い込み、「おっかねえちゅうか、ジャンキーみたいな怪しげな黒人に、ヘイユーって、捕まりそうになっちゃってよぉ」

 そんな武勇伝も思い出して、水はけのいい新潟競馬場どころの早さではない回復、蘇生力を持つメイダンに夜明かしで目を凝らしていた。

 『千一夜物語』の続きを新妻シャハラザード姫にせがんで眠れない「アラビアンナイト」のシャハリヤール王もかくありなんと眼をこすり、ビールからワイン、JDロックにとグラスをかえて時の来るのを待ちながら、日本調教馬10頭(ケイティブレイブは出走を取り消して参戦は9頭)がすべてに登場するG16レースのうち馬券が発売される“4つの競馬物語”の馬柱(うまばしら)を読み返していた。その柱にはすでに3日前に送稿したダンゴが並んでいた。

 米国でブリーダーズカップが創設されたのが1984年(ドバイワールドCは1996年)だが、その10年後のアルカングがクラシックを勝った年から通い詰めたBCツアーの間にも、日本馬の遠征は皆無に等しく、馬券発売もなされなかった。それもあって日本式の出馬表(馬柱)が作成、掲載されることはなかった。ヘミングウエーが「小説より深くて面白い」と絶賛したレーシングフォームは一応頼りにはなったが、数十ページにおよぶ分厚いデータを克明に読み明かすほどの時間も、短時間に理解できるほどの読解力もない。要するに、大した役にはたたなかった。

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