中央競馬:ニュース中央競馬

2019.2.21 05:02

【さらばホースマン(3)】栗田博憲師、タレンティド“秘策”で戴冠

栗田博憲調教師

栗田博憲調教師【拡大】

 「来るときが来たという気持ち。多くの人と関われて幸せでした」。そう振り返る栗田博憲調教師は1980年、当時関東で最年少の31歳で厩舎を開業。GI6勝を重ねたが、管理馬の中で最も印象に残るのがタレンティドガールだ。

 87年のエリザベス女王杯。8連勝中の2冠牝馬マックスビューティの断然ムードに策を練った。「ジョッキー(蛯沢誠治騎手)に“抜くときに並ばず、死角から一気に抜いたらどうだ”と。並ぶと燃える相手でしたから」。離れた外から抜き去り2馬身差V。「最初のGI勝ちで、自分の中ではすごいインパクト。厩舎の名も広がったと思います」と懐かしむ。

 GI3勝馬ヤマニンゼファーで制した93年秋の天皇賞も語り草だ。安田記念を連覇し、秋2戦目。鞍上の柴田善騎手には最初の2ハロンは捨てて8ハロンの競馬をするよう指示し、2着セキテイリュウオーをハナ差しのいだ。「当時は今より、乗り役と調教師がよく会話をしていたと思います。個々の馬の特徴を生かしつつ、その都度勉強になりました。いい時代に調教師をやらせてもらいましたね」。開業当初から続けている競馬日記は年1冊、今年で40冊目。最終週も自ら削った鉛筆で事細かに書き込んだ。

 引退後については「麦わら帽子と自転車を買って川へ行き、酒を飲みながらコブナつりでもしようかな」。童心にかえったようなまなざしを見せつつ「競馬はひそかに見たいと思います。まじまじと見ると、婿殿に余計なことを言っちゃいそうだから」と、娘婿の栗田徹調教師の飛躍が楽しみな様子でほほ笑んだ。  (千葉智春)

栗田 博憲(くりた・ひろのり)

 1948(昭和23)年11月4日生まれ、70歳。福岡県出身。1972年に中山競馬場白井分場の成宮明光厩舎で調教助手となり、80年に調教師免許を取得、厩舎を開業した。JRA通算645勝で、87年エリザベス女王杯などGI6勝を含め重賞27勝。

関連

  • タレンティドガール(左)
  • ヤマニンゼファー(8)