【菜七子 夢のGIへ(上)】師匠・根本師、馬群で「我慢」覚えたことが成長

2019.2.13 05:05

 今年のフェブラリーSで最も注目を集めるのは、JRA女性騎手として初めてGIに騎乗する藤田菜七子騎手(21)=美・根本=なのは間違いない。根岸Sを勝ったコパノキッキングで挑む大一番を前に、サンケイスポーツでは関係者の証言を得て「恩師、仲間が証言~菜七子 夢のGIへ」(全3回)を掲載。初回は師匠、根本康広調教師(63)にまな弟子の成長を聞いた。 (取材構成・板津雄志)

 9日にJRA通算50勝目を、自身4度目の3週連続Vで飾った菜七子。GI初挑戦に向け、リズムは良好だ。そのまな弟子を一番近くで見守る師匠の根本調教師は、最近のレースぶりにある変化を感じている。

 「馬群の中だったり、インコースをぴったり回って我慢する騎乗をやっている。最初の頃はできなかったこと。菜七子には『馬群の中で前の馬との距離を、気持ちもう一歩詰めてみよう』と言った。センスがいい子だから分かっているんだ」

 菜七子は昨年12月8日に、減量特典が2キロ減から1キロ減に変わった。騎手出身の根本師も、この時期の難しさをよく知っている。「3キロ→2キロ減はそれまでの経験値で埋められる。でも2キロ→1キロ減は馬の伸び方が足りなく感じる。馬の負担も違ってくるから、ハミ受けや手前(走るときの軸足)の替え方なども変わってくる」と明かす。

 実際に、菜七子も1キロ減になってから90戦、勝てずに苦しんだ。だからこそ、今回の3週連続Vには前3回と大きな違いがある。騎手として、またひとつ壁を乗り越えた証しだ。

 今回の挑戦にあたり、根本師は自身が騎乗したトモエリージェントで勝った根岸S(当時ダ1200メートル)と、5着だったGIIIフェブラリーハンデ(フェブラリーSの前身)の映像を見せた。短距離に実績がありマイルの距離に不安がある点で、コパノキッキングと重なるからだ。

 「残り1ハロンからが違った。ただ、私のは逃げ馬でコパノキッキングはどんなレースでもできる。最初から距離が長いつもりで乗らなくていい」

 デビュー4年目を迎え、菜七子はJRAで1360回騎乗してきた。「菜七子の経験値は私の時代の10年分だよ。またがっての馬の雰囲気や、スタートしてのレースのにおいを感じ、ベストと思う判断をしてほしいね」と助言を送る。

 第54代ダービージョッキー(1987年メリーナイス)であり、85年天皇賞・秋ではギャロップダイナでシンボリルドルフを撃破するなど、華やかな経歴を持つ根本師。GI初挑戦は甘くないと言いつつも、「盛り上がるだろうし、いいレースをしてほしい。もし勝ったら、私以上に“持っている”ことになっちゃうよ」と笑みを浮かべた。歴史的な週末を、師匠も待ち遠しく思っている。

★12日のコパノキッキング

 栗東B(ダート)コースをキャンターで1周半の調整。村山調教師は「ここまで順調に成長してくれました。(精神面も)だいぶ落ち着いてきた。毎回、毎回挑戦している感じでここまできましたからね」と目を細める。初めてのGIや初のマイル戦など克服すべき課題は多いが、「連勝していますし、勢いに乗ってここも突破できれば、もっと上にいけそうですね」と気合十分だった。

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