【風のたより】キャプテントゥーレ

2017.4.13 11:46更新

 昨年を最後に種牡馬を引退した2008年の皐月賞馬キャプテントゥーレ。今春からは生まれ故郷の社台ファームで新人研修用の乗馬として“第三の馬生”を送ることになり、現在は札幌市清田区にあるモモセライディングファームでしばしのバカンス(休養)を過ごしている。

 07年7月のデビュー戦は1番人気に推されたものの8着に敗れたが、このレースは1着アーネストリー、2着トールポピーと後のGI馬2頭で決着した一戦だった。2戦目で勝ち上がると、4戦目のデイリー杯2歳Sで重賞初勝利。3歳になった08年は弥生賞から始動。このレースは4着だったが、続く皐月賞ではハナを奪うとスローペースに持ち込み、後続に2馬身半差をつけての逃げ切り。鞍上の川田将雅騎手にとってもうれしいGI初制覇となった。しかし皐月賞のレース後に骨折が判明。日本ダービーを断念し1年4カ月もの長期休養に入ったが、復帰後には09年、10年の朝日チャレンジCを連覇するなど長きにわたって活躍した。

 12年に社台スタリオンステーションで種牡馬入り。16年はレックススタッドに移動して種牡馬を続けていたが、この年限りで種牡馬を引退することとなった。

 「社台ファームさんも多忙な時期なので、昨年から冬季の間だけ馬を預かることになりました。今年はキャプテントゥーレ、サイレントメロディ、マズルブラスト、オンブラージュ、ミューズダンスの10(未出走馬)の5頭を預かっています。キャプテントゥーレは昨年末に来ましたが、こちらで去勢手術も済ませました」と近況を話すのは、モモセライディングファームの百瀬利宏さん。

 乗馬クラブの会員がまたがることはないそうだが、百瀬さんをはじめとするスタッフがまたがり、春に社台ファームに戻ったときにはすぐ働けるよう調教している。「知らない人が見たら元競走馬とは思えないほど温厚な性格」だというが、「またがってみると乗り味も良く、『こういう馬がGIを勝つんだなぁ』と感じさせる馬です。小柄でかわいらしい芦毛なので、会員さんにもかわいがられていますよ」と、百瀬さんは目を細める。

 ゴールデンウイーク前後には社台ファームに移動し、新たな職場で働くことになる。「社台ファームさんは多くの新入社員が入社するので、中には初めて馬と接する人もいるようです。そんな新人さんにとってキャプテントゥーレたちはいい先生になってくれることでしょう。“名馬の背中”を知ってもらい、仕事に役立ててほしいですね」とエールを送る百瀬さんだ。