【矢作芳人調教師 信は力なり】リス引退式、最後に彼女の姿披露したかった

2020.1.22 05:03更新

引退式で口取り撮影をするリスグラシューと右に矢作芳人調教師

 リスグラシューの話が続くが、もうお別れでもあり、ご容赦願いたい。既報の通り、19日日曜日の最終レース終了後に彼女の引退式が執り行われた。

 当日は前年比150%以上のお客さんに入っていただき、式にも7000人ものファンが残ってくれた。インタビューの時にそのお礼を話したかったが、あまりに感極まってしまい、全く気持ちを伝えることが出来なかった。この場を借りて、改めて寒い中リスグラシューの最後の勇姿を見守ってくださった皆さんにお礼申し上げたい。

 彼女の引退式をどうしてもやりたかったのには理由がある。一昨年のエリザベス女王杯以降、関西で走ったのは宝塚記念の一度だけ。初のGIを勝ち、今年秋には改修に入ってしまう京都競馬場で皆さんにお披露目したかった。そして何よりも去りゆくリスグラシューが牝馬であること。牡馬ならば種牡馬展示会や見学で会っていただけることも可能だろうが、繁殖に上がった牝馬に会っていただける機会はまずないからだ。もう一度最後に彼女の姿を披露したかった。引退式の実現に尽力してくださった関係各位に深く感謝している。

 ただここで苦言を一言。当日リスグラシューの横断幕を持って駆けつけてくれたファンの方々がいらっしゃったが「引退馬の幕は受け付けません」という競馬場側の対応で張ることができなかったとのこと。年度代表馬の引退式当日にである。常識では考えられないお役所的対応で、二度と使われない横断幕を持って来てくれた方々の気持ちを思うと、何ともやりきれない。再びこういうふざけた対応がないよう改善を望む。夢はこれで終わりではない。

 本日ラヴズオンリーユーのローテーションが(招待を受けるという前提で)ドバイシーマクラシック直行と決まった。コントレイルや他の馬ともども応援してやってほしい。

矢作 芳人(やはぎ・よしと)

 1961(昭和36)年3月20日、東京生まれの58歳。父は大井競馬の矢作和人元調教師。東大合格者を多数輩出する開成高を卒業後、豪州で修業し、84年に栗東トレセンへ。厩務員、調教助手を経て2005年に調教師として厩舎開業。JRA賞は14、16年に最多勝利調教師、19年に最多賞金獲得調教師を獲得。21日現在、JRA通算627勝。JRA重賞は38勝で、うちJRA・GIは12年の日本ダービー(ディープブリランテ)など9勝。海外GI勝ちは16年ドバイターフ(リアルスティール)、19年コックスプレート(リスグラシュー)。趣味は競輪、サッカー観戦など。