【矢作芳人調教師 信は力なり】日本も負担重量引き上げを

2019.11.13 05:01更新

矢作芳人調教師

 少し旧聞に属する話ではあるが、今年の凱旋門賞について。惨敗した日本勢の敗因に関しては、馬場状態を挙げる方が多い。キセキ担当の清山助手と少し話をしたが、日本とは全く違う粘り気の強い道悪馬場だったようで、道悪得意と思われたキセキでさえ、スタミナを奪われたとのことだった。

 確かに、馬場は大きなポイントの1つであったように思う。しかし10月のパリの気候を考えれば雨は当然覚悟しなければならないし、馬場だけを敗因にしたのでは来年以降への展望は開けない。調整方法や滞在日数など、考えなければいけないファクターは沢山ある。

 その中で、負担重量は1つの大きなファクターではないだろうか? 凱旋門賞の負担重量は4歳以上牡馬59・5キロ、牝馬58キロである。対して日本での定量は、一般的にそれぞれ57キロ、55キロだ。オープン馬でも59キロを背負うケースは非常に少ない。経験のない重量を負担してあのロンシャンの馬場を走るハンディは、想像以上に厳しいと考える。

 そこで、日本でも定量をある程度引き上げてはどうだろうか? 普段から、59キロや60キロを当たり前に背負うようにするのだ。日本人の体格も年々向上しているので、騎手の減量の負担軽減にもつながる。この話をすると『体重の重い短期免許の外国人騎手の乗り数が増えて、もっと勝たれてしまう』という声を聞く。しかし、それは短期免許制度自体を否定しているようなものだ。海外超一流ジョッキーの来日はファンも楽しみにしているわけだし、日本人騎手の技術やレースレベルの向上にも、間違いなく役立っている。もっとポジティブに考えるべきだろう。この件について、日本の競馬社会全体での議論が交わされることを望んでいる。

矢作 芳人(やはぎ・よしと)

 1961(昭和36)年3月20日、東京生まれの58歳。父は大井競馬の矢作和人元調教師。東大合格者を多数輩出する開成高を卒業後、豪州で修業し、84年に栗東トレセンへ。厩務員、調教助手を経て2005年に調教師として厩舎開業。14、16年にJRA賞(最多勝利調教師)獲得。12日現在、JRA通算617勝。重賞は34勝で、うちGIは12年の日本ダービー(ディープブリランテ)など7勝。海外GI勝ちは16年ドバイターフ(リアルスティール)、19年コックスプレート(リスグラシュー)。趣味は競輪、サッカー観戦など。