【オーナー直撃】大塚亮一オーナー、福永さんや和田さんでGI勝ちたい

2019.7.16 05:03更新

重賞初制覇を果たした2017年府中牝馬Sの表彰式で、愛馬クロコスミアの首筋を笑顔でなでる大塚オーナー(右)

 記録に、記憶に残る競走馬が次々と生まれる競馬界。なくてはならないのが、馬を所有する馬主だ。そこで、馬主のあれこれを直接聞く新企画「オーナー直撃」がスタート。第1回は、2017年府中牝馬Sを制したクロコスミアなどを持つ大塚亮一オーナー(44)=大塚総合税理士法人代表=に、かつては騎手を夢見た少年時代、今後が楽しみな所有馬や夢について聞いた。 (取材・構成=山口大輝)

 --競馬に興味を持ったきっかけは?

 「本当にたまたまです。競馬に関係のある家ではなかったのですが、競馬中継を見て、まずは競走馬のかっこよさに魅せられました」

 --思い出のレースは

 「競馬中継を見ているうちにオグリキャップのラストラン(1990年有馬記念)に出会った。そのとき、目線がジョッキーにいったんです。ユタカさん(武豊騎手、円内)ですよね。『かっこいい、ああなりたい』となった。15、16歳のときです」

 --実際にJRAの競馬学校騎手課程を受験

 「『ジョッキーになりたい』と親に伝えたら理解を得られませんでした。『高校だけは出てくれ』と。なので高校は出て、高校3年生の1回だけ受けて、ダメなら大学に行くことを約束しました。その約束を取り付けるのも、夜に父の寝室に毎日頼み込みにいって、1週間かけてようやくです」

 --結果は不合格

 「今思えば“(取りかかりが)遅かった”ということに尽きる。こちらは高校3年生。同じ年(93年入学=のちに“花の12期生”と呼ばれる)の受験生は中学3年生。福永くんや和田くんら同じ試験を受けた子たちは、小さいときから馬に乗ったり、接したりしていたわけですから」

 --当時の思い出は

 「あのときは、応募資格の制限体重がまだ年齢別になっていなかった。高校3年生の体格で中学3年生の体重に合わせないといけなかったので1週間、固形物をとりませんでした。試験当日、体重計に乗ると38キロまで減っていました」

 --それでも、馬への思いは捨てられなかった

 「もしも“(競馬界に)戻る”なら馬主として戻るしかないな、と。だから2008年に馬主免許を取得したときは感慨深かったですね」

 --初の所有馬カルテブランシェは09年7月に小倉でデビュー

 「ユタカさんに乗ってもらって、坂路で動いていたし1番人気だったんです。前日は、小倉のホテルでそわそわして寝られなかった。雨が降っていたし『大丈夫かな』と思ったり…。3着に負けてショックでした」

 --同時期にクラブ法人での所有も始めた

 「1頭目がアンライバルド(09年皐月賞馬)でした。カルテブランシェを走らせたときはGIや重賞を勝つことはあまり考えてなかったのですが、アンライバルドがGIを勝って実感というか、目指してみたいと思うようになりましたね」

 --馬選びの際のポイントは

 「血統も、馬体も見ます。クラブの馬だったら募集馬ツアーで全馬を見ます。セールに行けば数百頭を見ることができる。自分で動きも見て納得しないと、イメージできないと買わないですね。10年前と今なら、自分の見る目も違っている自信がありますよ。初めは肩、脚、蹄など全部を見ていましたが、今ではサーッと見てもわかるようになりました」

 --今後が楽しみな所有馬は

 「クロコスミアやワールドプレミアなどいますが、一番はベイビーステップ(3勝クラス)かもしれません。カルテブランシェの初子です。昨年は(1000万下クラスながら)有馬記念に登録もしました(笑)。思い入れがあるので、オープンに昇級すれば今度は堂々と登録したいですね」

 --所有馬の引退後まで考えているそうだが

 「中央で駄目でも地方に持っていったり、脚元が駄目になったら、角居調教師が関わっているサンクスホースプロジェクト(※注)に持っていったりしています」

 --今後の夢や目標は

 「よく『海外GIを勝ちたいでしょ?』、『凱旋門賞は?』なんて聞かれますが、今のところ、全くそんなことは思わないんです。僕があこがれたのは日本の競馬ですからね。日本のGIを1つでも多く勝ちたい。天皇賞やジャパンC、日本ダービーなど大レースは特にですね。そうなったときに『海外も』となるかもしれません」

 --GI勝利を“同期になるはずだった”福永騎手や和田騎手で飾れば、格別なのでは

 「もちろん“花の12期生”でGIにたどり着けたらうれしいですね。和田さんで2着(17年エリザベス女王杯・クロコスミア)まできましたし。武豊騎手で…という願望はワールドプレミアに託したいと思います」

★ワールドプレミアなど30頭を所有

 大塚亮一オーナーは、現役ではクロコスミア(栗・西浦、牝6)やワールドプレミア(栗・友道、牡3)など30頭を所有。ヴィクトリアMでも3着に好走したクロコスミアは札幌記念で始動し、府中牝馬Sをステップにエリザベス女王杯に向かい、GI初制覇を目指す。「もともと、線が細かった馬が470キロぐらいになって男馬みたいになっています」と充実ぶりに目を細める。

 2016年セレクトセールで2億4000万円で落札して話題を呼んだワールドプレミアは若葉S2着も、ソエのため春のクラシックを見送り。「神戸新聞杯から始動。休ませたことで良くなっています」と期待を込めた。

★サンクスホースプロジェクト

 角居勝彦調教師(栗)が代表を務める「一般財団法人ホースコミュニティ」が行っている、競走生活を終えた馬の活躍の場を広げるためのプロジェクト。乗用馬やセラピー馬に転身できるようにリトレーニング施設で3カ月~1年かけて再調教を施したり、その馬のキャリアを明確にするシステムなどを構築。引退した馬たちが乗馬、福祉の分野などで活躍できるように支援している。

大塚 亮一(おおつか・りょういち)

 1974(昭和49)年10月23日生まれ、44歳。大阪府出身。大塚総合税理士法人代表。京都馬主協会常務理事、日本馬主協会連合会常任監事。2017年にクロコスミアで府中牝馬Sを制し、重賞初勝利。