【宝塚記念】先行策で牡馬一蹴!リス、奇襲V

2019.6.24 05:11更新

紅一点のリスグラシューが2番手から力強く抜け出し、上半期のグランプリを制した(撮影・安部光翁)

 上半期の総決算となるグランプリ、宝塚記念が23日、阪神競馬場で12頭によって争われ、ダミアン・レーン騎乗で3番人気のリスグラシューが2番手から力強く抜け出し、GI2勝目を飾った。好スタートのアドバンテージを生かすため、無理に控えず前につける好判断で、鞍上はJRA短期免許の最終週を見事にGI制覇で締めた。1番人気のキセキはマイペースの逃げを打ったが、2着に終わった。

 5歳牝馬と25歳の若き天才が紡いだ驚きの完勝劇に、仁川が沸いた。紅一点のリスグラシューが強豪牡馬を蹴散らしてGI2勝目。春の日本競馬に旋風を巻き起こし、グランプリまでも奪取したレーン騎手が、はにかみながら喜びを伝えた。

 「最高の気持ちです。仕上がりが完璧な馬に乗せていただき、厩舎に感謝しています」

 スタート直後に、抜群の判断力を発揮した。好発を決めると、本来は後方から末脚を生かすタイプと承知の上で、抑えることなく2番手につけた。誰もが驚く奇策は「先頭に立つかどうか悩んだが、流れや展開で“ここで大丈夫”と判断しました」という絶妙のアドリブ。向こう正面では折り合いもつき、いい手応えで直線へ。ラスト1ハロン手前でキセキを抜いて先頭に立つと、脚いろが鈍ることなく3馬身差をつけての圧勝だ。

 矢作調教師も「誰も、まさか2番手に行くとは思わなかったでしょう。指示は“ゲートに気をつけて、出してくれれば”と、それだけ。彼の好判断です」と“レーンマジック”に最敬礼だ。

 オークス(ラヴズオンリーユー)に続くGI7勝目の指揮官は、有馬記念を含めてグランプリ初出走初制覇。国際派調教師らしく、秋の目標もワールドワイドだ。米GI・ブリーダーズカップに挑戦するなら、牝馬限定のフィリー&メアターフ(11月2日、サンタアニタ、芝約2000メートル)の予定だったが「この強さなら(牡牝混合の)ターフ(同、芝約2400メートル)に行っても(戦えるのでは)と思います」と目尻を下げた。

 さらに、今年から宝塚記念優勝馬に豪州GI・コックスプレート(10月26日、ムーニーバレー、芝2040メートル)の優先出走権を付与。優勝時のボーナスも設定されており、「“直線が短いのでどうか”と思っていたが、きょうの競馬なら…」と夢は広がるばかりだ。

 4月末に初来日したレーン騎手は、約2カ月間の短期免許期間中にGI2勝を含む重賞6勝。競馬以外でも日本を満喫し、「一番印象深かったのは、日本食がすごくおいしかったこと。いろんな場所に行けたのもよかった」とすっかり親日家となった。存在を強く印象づけたJRA短期免許はこれで終了。口取り式では、豪州で調教師をしている父のマイケル氏とも記念撮影し、最高の親孝行を果たした。

 「アリガトウゴザイマス。マタキマス」

 最後には、日本語であいさつ。春の競馬を彩ったレーン劇場は、鮮やかすぎる“魔法”の余韻を残しながら、幕を閉じた。 (山口大輝)

★【宝塚記念】払い戻し確定!! 全着順も掲載

 ◆宝塚記念の表彰式プレゼンターを務めた2019年JRA年間プロモーションキャラクターの松坂桃李 「阪神競馬場に来るのは初めてでした。阪神競馬場開場70周年というメモリアルなタイミングでお呼びいただいて、とても光栄です。馬券は以前出演していた映画の名前にちなんでキセキの単勝で勝負しましたが、残念ながら2着でした」

★BCフィリー&メアターフ

 1984年に7部門で創設された北米競馬の祭典「ブリーダーズカップ(BC)」の8番目のレースとして99年に加わった。ターフ(芝約2400メートル、優勝賞金220万ドル=約2億3540万円)の牝馬版だが、距離は施行競馬場で異なり、これまで1800メートル、1900メートル、2000メートル、2200メートルで実施された。今年は11月2日にロサンゼルス郊外のサンタアニタ競馬場で芝約2000メートルを舞台に行われる。優勝賞金は110万ドル(約1億1770万円)。フルゲートは14頭。

★入場&売り上げ

 宝塚記念の売り上げは194億6457万4300円で前年比101・3%とアップした。これで今年上半期の平地GI12レースが終了し、前年比売り上げ増はフェブラリーS、高松宮記念、大阪杯、皐月賞、NHKマイルC、ヴィクトリアマイル、安田記念に次いで8レース目。一方、入場者は6万2368人で前年比94・8%の減少となった。また、中央競馬の上半期の売り上げと入場者数が発表され、売り上げは1兆4529億2598万6300円(前年比104・3%)、入場者は322万3167人(前年比101・1%)で、ともに前年を上回った。

リスグラシュー

 父ハーツクライ、母リリサイド、母の父アメリカンポスト。黒鹿毛の牝5歳。栗東・矢作芳人厩舎所属。北海道安平町・ノーザンファームの生産馬。馬主は(有)キャロットファーム。戦績20戦5勝(うち海外2戦0勝)。獲得賞金6億8103万9500円(うち海外9706万500円)。重賞は2016年GIIIアルテミスS、18年GIII東京新聞杯、18年GIエリザベス女王杯に次いで4勝目。宝塚記念は矢作芳人調教師、ダミアン・レーン騎手ともに初勝利。馬名は「優美な百合(仏)。母名より連想」