【リレーコラム】東京サンスポ~デビュー目前の新人3人

2018.2.19 16:04更新

競馬学校騎手課程の卒業した(左から)西村君、服部君、山田君。来月には騎手としてデビューする

 13日にJRA競馬学校騎手課程34期生の卒業式を取材した。昨年までは卒業後に新規騎手試験の合格者発表が行われていたが、今年は同日発表となった。山田敬士(けいし)、服部寿希(としき)、西村淳也(あつや)の卒業生3人も無事合格。晴れやかな表情で、3月の騎手デビューに向けて気を引き締めていた。

 この世代は、厩舎など競馬サークル関係者と無縁の家庭で育った5人でスタート。しかし、うち2人は夢半ばで学校を去った。厳しい現実を目の前で見てきた3人だが、いずれも同い年ではない。

 山田君は東京都立農芸高校に通いながら、3度目のチャレンジで騎手試験に合格した苦労人。すでに20歳だ。「(学校入学後も)苦しいこともあったけれど、それが当たり前だと思ってやっていました。今まで母親には苦労をかけてきたので、今後はジョッキーとして恩返しをしたい。それと、弟2人の学費を出してあげたい」。自身が一家の大黒柱となって活躍することを約束した。師匠の小桧山悟調教師は彼の所属が決まってから、さまざまなことをサポートし、模擬レースも愛用のカメラ持参で応援してきた。「山田敬士を騎手としてどう育てるか、自分の(頭の中での)筋書きはある。今は言わないけどね」と笑う。

 服部君は2回目のチャレンジで合格。3月9日に19歳の誕生日を迎える。寡黙で感情をあまり表には出さず、闘志を内に秘めているタイプ。昨年の暮れに行われた中山での模擬レースで自分が思うような騎乗ができず、悔し涙を浮かべていた。また、今年1月には日本ハムファイターズの高卒新入団選手との交流会では、トス打撃に参加。ドラフト1位の清宮幸太郎内野手が上げた球を、きれいなフォームで打ち返して満面の笑みを浮かべていたことを記者は覚えている。「騎手である前に、社会人として成長したい。トップジョッキーを目指して1鞍1鞍集中して努力していきたい」と決意を新たにしていた。師匠の湯窪幸雄調教師は、「甘くない世界ではあるけど、騎手として自分自身でどれだけ頑張っていけるかだと思う」。師もジョッキーの経験があり、苦労もされているので、服部君には騎手のノウハウをどんどん吸収して自分のものにしてほしい。

 西村君は18歳。模擬レースで総合チャンピオンになり、騎乗技術が優秀な生徒に贈られるアイルランド大使特別賞も受賞した。しかし、「受賞したのはうれしいですが、この賞に満足せず、1頭でも多く調教にまたがって、1つでも多くレースで騎乗して、初勝利に向けて頑張りたい」ときっぱり。物おじせず、貪欲な姿勢を見せる。師匠の田所秀孝調教師は「私らが乗っていた時代と違って、今の若手は減量があっても厳しい状況に置かれているけど、あとは自分でどうやって成長していくかだ」と競争に勝ち抜くことを願っていた。

 19日には免許交付式が行われ、3月1日から発効する騎手免許を手にした3人。騎手デビューは目前に迫ってきた。技術はまだ成熟しておらず、レース経験を積んで得るものは多い。彼らが勝負服を身にまとって一生懸命に乗る姿を、多くのファンには温かい目で見守っていただければと思う。

片岡良典(かたおか・よしのり) 東京サンスポ記者 

直感 取材

本命、時々大穴

プロフィル

東京サンスポ所属。1968年生まれ。3年間の牧場勤務を経て、94年3月から関東競馬エイトの想定班でデビューし、01年5月から東京サンスポで老体にムチ打つ?

予想スタイル

コテコテの関西弁で昭和の匂いを漂わせながら“勝負になるの?”とせっせと取材する浪漫人情派。勝って欲しい馬に◎が本音。馬券は単勝、複勝と枠連と馬連。