中央競馬:予想予想

2019.12.27 17:03

【居酒屋ブルース】土曜中山11R

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 【中山11R・ホープフルステークス】

 ひいきの居酒屋の扉を開けると、大宴会が開かれていた。

 常連客のもりやさんは、ドンキで買ってきたのか「私が社長です」と書かれたたすきをかけている。もりやさんの◎リスグラシューが有馬記念を快勝し、よっぽどもうかったようだ。「皆さん、どんどん飲んでください。今日は私がごちそうします」と言ってニコニコ顔で日本酒を飲んでいる。

 解せないのは、店主のカズマサも同じたすきをかけていること。しかも「私からもお一人様一杯サービスさせていただきます」と、こちらもえびす顔だ。アーモンドアイを本命にしていたのになんで? 

 「愛馬がGIで大健闘してくれたからです」

 教えてくれたスタッフの琢磨も同じたすきをかけている。てことは、カズマサと琢磨が一緒に出資している馬ってことね。そういえばこの前、愛馬がGIに出走するって喜んでいたね。あの馬だね?

 「はい。初めてのGIに出走して2着でした! こんなことってあるんですね」

 おめでとう。でもカズマサ、1頭が400口だか500口だかのうちの一口だから、配当金はそれほどでもないんじゃない?

 「それはそうですが、馬券でもうけたので。なかなかおいしい馬券でした。その浮いた分でサービスいたします」

 悪いね。幸せのおすそ分けなので、一杯だけいただくよ。そのあとで“いつもの”ヱビスをちょうだい。それを飲み終わったら、もりやさんにごちそうしてもらおうかな。

 「あれ? 居酒屋ブルースだって有馬記念を当てているのでは?」

 当ててないよ、琢磨。

 「万が一だけどアーモンドアイが負けることも考えるとかで、サートゥルナーリアとキセキからの馬券を買うと言ってましたよね」

 そうだけど、先週の予想に載せた、購入予定の馬券を見てよ。

 「どれどれ。やっぱりサートゥルナーリアとキセキから馬券を買っているじゃないですか。えっ!? 2頭が1着の馬単だ」

 そういうこと。だから全くの外れ。

 「馬連だったら、それでも2990円もついているから6000円近くは戻ってきていましたね。それならマイナスとはいえ、傷口が小さくて済んだのに」

 現実はその逆。中山競馬場でパドックも返し馬も見て馬券を買い足したもんだから、傷口を広げてしまったんだ。

 「なにを買い足したんです?」

 中山競馬場では長いこと、外洋ヨットレーサーの原健さんと作家の吉川良さんと一緒にいたんだ。原さんは、週刊GallopのGallopエッセー大賞の大賞受賞者って言った方が、ここでは通りがいいかな。

 「この前、お店に連れてきていただいたので、どちらでも大丈夫です」

 そうだったね。で、3人で有馬記念のパドックに行ったら、吉川さんは出走馬主の関係者が集まるパドックの内側に入っていっちゃって、写ルンですで写真を撮っているから、すごい行動力だよ。さすが作家って思ったね。それはいいとして、騎手がまたがるまで馬を見ていて、原さんと意見が一致したのが「キセキが大変良く見える」だったんだ。確かに気合を内に秘めた馬体は素晴らしかったよ。それとサートゥルナーリアも良く見えた。アーモンドアイは、何事にも全く動じないというか、あの大観衆の中を平常心でパドックを回っていたから、なんて堂々としているんだって感心したね。その後、4階まで上がって返し馬を見ていると、アーモンドアイのテンションが上がっていた。小刻みにジャンプしながら芝コースに入ったから少し気になったけど、芝に入ってからの走る姿は素晴らしかった。

 それより驚いたのがワールドプレミア。パドックでもテンションが一番高かったけど、返し馬では暴走気味で鞍上の武豊が抑えるのに必死だったんだよ。あれを見たら馬券は買えない。ところがレースでは後方から進めて直線外から伸びてきて3着。週刊Gallopに載っている武豊のコメントは「決め打ちしかチャンスがないなと思っていたので、(道中は)ためるだけ脚をためた」なんだけど、決め打ちを決めたのは、返し馬の様子からまともな競馬ができないと判断したからじゃないかな。それで3着まで持ってこられる武豊はすごいね。

 返し馬を見ていたら、馬を見る目が素晴らしい人がすぐ近くにいたので、どの馬が直前に良かったのか聞いたら、「⑨⑩⑪」って。アーモンドアイ、サートゥルナーリア、キセキの3頭を挙げたから、アーモンドアイとサートゥルナーリアの馬連とキセキの単勝を買い足したんだ。

 「それで負債が大きくなった、と」

 うん。

 「それにしては、まだしぶとい」

 またまた「サンスポZBAT!競馬」の「ガチンコ収支バトル」の話?

 「回収率ランキングで、居酒屋ブルースは先週と同じ7位に粘っています。ここ9週は1位→7位→2位→3位→3位→4位→6位→7位→7位。残るバトルはホープフルS当日のみ。この時点で回収率100%超えでの終了は確定。おめでとうございます。ここまで来たら最後までベストテンに粘って、ここで披露できることを祈っています」

 先週もそう思ったけど、やっぱりイヤミに聞こえるよ。

 「そんなことはありません。あっ、それとベストテンから陥落したときも大々的にお伝えします」

 やっぱりイヤミだね。

 「そろそろホープフルSの予想に移りますか?」

 そうだね。順番は?

 「アーモンドアイで轟沈(ごうちん)した人は、居酒屋ブルースだけではなく計3人います。残る2人は桃とカズマサさん。この2人より先に常連のお客さまに予想を披露してもらうわけにはいきません。桃、カズマサさん、居酒屋ブルース、キセキが本命だった私、リスグラシューで見事に有馬記念を的中させたもりやさんの順です」

 「だから不吉と言ったんです」

 同じ馬を本命にして悪かったよ、桃ちゃん。

 「アーモンドアイなら大丈夫だと思ったんだけど…。今週は絶対に違う馬を本命にしてください」

 はいはい。で、桃ちゃんの本命は? 朝日杯フューチュリティSのときは同じような会話のあとに披露してくれた本命のタイセイビジョンが2着になったね。今回もそれを期待しているよ。

 「本命はコントレイルです。東スポ杯2歳Sの勝ちっぷりにほれちゃいました。あまりに切れるので本質はマイラーとか言われてますが、能力が規格外と捉えた方が合っていると思います。もしかすると、今年急死したディープインパクトの最良後継種牡馬になるかもしれません。リスグラシューで有馬記念を制した矢作厩舎は2週連続GI制覇を決めると思います」

 続いてカズマサ、よろしく。

 「◎はブラックホールです。新馬戦で、今回も人気になりそうなオーソリティにクビ差負けましたが、上がり3ハロンはこちらの方が上だったし、一足先に札幌2歳Sで重賞勝ちを決めました。前走で中山を使った馬の成績が【1・1・0・22】(左から1着・2着・3着・4着以下)と意外に不調なので、前走が中山(芙蓉S1着)のオーソリティより高く評価できるといえます。馬体重が軽めの馬が好走してるデータもあるので、この馬で。ゴルシ産駒ですし! 私、個人的にゴールドシップが好きなんです。配当面でも期待できます。でかく狙いたいですね。続いては居酒屋ブルースの番です。どの馬を本命にしたんですか?」

 ワーケア。

 「ハーツクライ産駒の3週連続GI制覇狙いですか」

 ブラックホール、コントレイル、ワーケアの3頭に絞ってから悩んだけど、桃ちゃんの本命がコントレイル。同じ馬を本命にはできないから、まずはコントレイルが“脱落”。2頭に絞られたと思ったら、今度はカズマサの本命がブラックホール。これが◎ワーケアの後押しになったね。

 しかも勝負に流れは必要。あのアーモンドアイが馬群に沈んで、ハーツクライ産駒が有馬記念を勝ったということは、ハーツ産駒に流れが来ているということ。

 それに鞍上はアーモンドアイの主戦のクリストフ・ルメール。ここはなんとしても人気以上の着順に来ようと渾身(こんしん)の騎乗をするはず。ルメールは、オープン特別時代を含めてホープフルSでは過去10年で4勝、2着2回と好相性。今年も馬券圏に入ってくれると信じているよ。

 ワーケアは、東京の芝1800メートル戦に2度出走して2戦2勝。稍重と重馬場で上がり3ハロン33秒台の末脚を使えるのは、パワーと瞬発力を完備している証拠。デビュー戦が2馬身半、アイビーSは3馬身の差を2着につけての快勝だし、初戦で負かした2、3、4、5、7着は先週までに勝ち上がっているそうだよ。

 それに、12月26日付のサンケイスポーツに載っていた手塚貴久調教師の「ブルトガングは(春に)ワーケアと入厩したのが一緒で、調教のパートナーだった。あの子も、無事だったらこの場所で走っていたはず」というコメントも◎ワーケアの後押しになったんだ。

 「ブルトガングといえば、桜花賞馬グランアレグリアの弟で、6月にデビュー勝ちを飾った直後に病気で急死した馬ですね。確か、今年の正月にウェブサイトの『サンスポZBAT!競馬』にアップされた【2019年の隠しダマ】で、居酒屋ブルースが取り上げていましたよね」

 覚えていてくれてありがとう、カズマサ。

 「私も【2019年の隠しダマ】に登場しているし、そこで『デビューから追い続ける』と宣言したら急死したのでよく覚えています」

 手塚調教師の言う通り、ブルトガングが無事だったらホープフルSに出走していたはず。今回の同期のワーケアは、いわばブルトガングの弔い合戦でもあるんだ。勝ったとき、お涙頂戴のエピソードになるね。

 次は琢磨の番だよ。

 「有馬記念はいいところまで来ていたんですけど」

 キセキが5着で? 出遅れて鞍上のライアン・ムーアがスタート直後に手綱をしごいても中団後ろにつけるのがやっとだったじゃない。あんな想定外の競馬で5着だから陣営は「いいところまで来ていた」とは思っていないんじゃないかな。

 「違います。予想のアプローチです。今年の有馬記念の世相馬券は菊と言っていたじゃないですか」

 確かに先週、「ちまたでは“レイ”デオロ、“ワ”ールドプレミアの令和馬券が世相馬券として取り上げられ、くしくも同じ枠に入りましたが、世相を反映している馬は他にもいます。天皇家の御紋は十六葉八重表菊。いわゆる菊の御紋です。菊といえば、競馬では菊花賞。菊花賞を勝ったキセキこそ奇跡を起こす世相馬です」と話していた。

 でも、馬券圏じゃないからね。

 「そうはいっても菊花賞馬が3、4、5着。アプローチは間違っていませんでした。愛馬もGIで2着に来てくれたし、私の中ではいい流れが来ているように感じているので、ホープフルSが楽しみです」

 で、本命は?

 「ヴェルトライゼンデです。有馬記念は、競馬に絶対はないということを改めて思い知らされました。何があるか分かりませんね。今週も分かりません。というわけで、今年最後の予想なので、まとめということでJRAの投票照会サービスで自分と今年相性の良かった騎手で選びたいと思います」

 珍しいアプローチの仕方だね。

 「回収率が一番良かったのは、1960%で的場勇人騎手。…ホープフルSに出てない。山田騎手、中村騎手。…出てない、出てない。マーフィー騎手、381%! 今年は大変お世話になりました。最後にもう一発よろしくお願いします。ということで、マーフィー騎乗のヴェルトライゼンデで行きます。ちなみに、相性が良くない福永騎手は36%です」

 今年最後の予想の大トリを務めるもりやさん、よろしくお願いします。

 「なんか紅白歌合戦のトリを務めるみたいでうれしいですね。これも有馬記念で予想が的中できたから。リスグラシューさん、ありがとう! 今週も当てますよ!」

 その意気でよろしくお願いします。

 「私のホープフルSの本命は……ダラララララララララ。オーソリティです。○はラグビーボーイで、▲はブラックホールです。恐らくオーソリティは怪物級です。なにより一番は、血統面に怪物級な要素がてんこ盛りなところ。父オルフェーヴル、母の父シンボリクリスエス、母の母シーザリオって、やばいっすねー。そりゃあオルフェーヴルで主戦を務めた池添騎手が乗るわけで、気合の入り方が違うと思います。怪物とラグビー馬券で懐を温かくして年末年始を迎えたいです」

 みんなの予想が出そろった。最後に居酒屋ブルースのホープフルSの予想印と買い目を載せて終わりにしよう。

 ◎⑦ワーケア
 ◯①ブラックホール
 ▲②コントレイル
 △⑤ヴェルトライゼンデ
 △⑪オーソリティ

《3連複》
 ①②⑦ 5000円

《馬単》
 ⑦→①② 各2000円
 ⑦→⑤⑪ 各500円

◇◇◇◇◇◇◇◇◇
主な登場人物
カズマサ…ひいきの居酒屋の店主。馬券はデータ派
琢磨…ひいきの居酒屋のスタッフ。好不調の波はあるが、馬券が当たると好調が続く
桃ちゃん…ひいきの居酒屋のアルバイト。馬券のセンスが抜群の競馬女子(UMAJO)。ちなみに、居酒屋ブルースのUMAJOは、酒場のあすピー→バイトのマヤ姉(ねえ)→桃ちゃんと変遷
もりやさん…ひいきの居酒屋の常連客。競馬とお酒が大好き

鈴木学(すずき・まなぶ) 関東エイト担当部長 

レース内容・騎手・厩舎

堅め

3連複

プロフィル

第1次東京五輪世代(第2次は2020年に誕生)。1993年2月にサンスポの競馬担当となり、2年間のブランク(運動部デスク)を挟んで競馬にどっぷり漬かっている。サンスポ記者時代は予想コラム「鈴木に学べ」を連載も、たまに「鈴木が学べ」に。

予想スタイル

「3連複の軸馬」を◎にしている。3連単の期待値は3連複の6倍だが、人気馬が1着だと6倍以下になることが多い。人気馬を軸にするのなら3連複の方が得という考え。

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