中央競馬:予想予想

2017.1.7 14:48

【居酒屋ブルース】日曜京都11R《新連載記念の無料公開!》

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 【京都11R・シンザン記念】

 ひいきの居酒屋の扉を開けると、アルバイトのあげはが笑顔で迎えてくれた。おしぼりを手渡しながら「競馬ってもうかるんですか? 去年はトータルでプラスですか? マイナスですか?」と聞いてきた。

 居酒屋で競馬の話題が多いだけに興味を持ってきたようだ。

 こういうときの答えは用意してある。

 「逆に聞くけど、君のこれまでの人生は、トータルして笑ってる? 泣いてる?」

 実はこれ、競馬に造詣が深かった作家、寺山修司の受け売りだ。

 作家の虫明亜呂無が、寺山修司に「あなたは非常に面白い予想をやって、評判がいいけど、トータルするともうかってますか、損してますか」と聞くと、寺山は「何でトータルする必要があるんだ。あんたの人生はトータルして笑ってるか泣いてるか」と食ってかかったという。

 人生の収支を出すことにあまり意味はないのと同じく、馬券の収支もトータルで考えることはあまり意味がない-というわけだ。

 馬券を買うのは、面白くて興奮する競馬への参加費を払っているようなものだと考えている。もちろん、的中させて配当を手にできればうれしいが、外れたとしても参加費を払ったと思えば安いものだと思える。まあ、身の丈以上の購入は控えているので、それほど高い参加費は払っていないというのもあるが…。

 寺山修司のこのエピソードには続きがある。虫明亜呂無はその後、友人に「あんなに怒るところをみると、ずいぶん損してるな」と語ったそうだ。

 19歳の女の子に「君の人生は、トータルしてプラスかマイナスか」と聞くのは大人げなかったが、これもトータルで損をしているからにほかならない(苦笑)。

 とはいえ、実は昨年は違った。2016年に限れば、トータルで“プラス”だったのだ。プラスを“”(つめちょん)でくくったのは、地方競馬と海外競馬を除いている(JRAのClub A-PATの投票成績に、この2つは反映されない)からだが、JRAだけでも回収率104%で終えたことに、ささやかな幸せを感じている。

 いい流れのまま2017年の競馬を迎え、運試しの金杯は、京都が的中して回収率186%。絶好の滑り出しを決めることができた。この勢いでシンザン記念も当てたい。

 スタッフの琢磨が、ヱビスビールの瓶をカウンターに置くと、本命馬を告げてきた。

 「ここはマイスタイルですよ。父ハーツクライは、去年のシンザン記念を勝ったロジクライと同じ。京都コースはデビュー戦で経験済みだし、今の京都向きの先行力もありますから。2戦とも手綱を取っている福永が引き続き騎乗するのも心強いですね。しかも、福永はシンザン記念と同じ舞台だった5日の京都金杯で、6番人気のブラックスピネルでハナ差2着です」

 この馬で大丈夫感たっぷりの顔で話す琢磨をカウンター越しにニヤニヤしながら見ていた店主のカズマサが「琢磨くん、タイセイスターリーを忘れていたら馬券は当たりませんよ」と割って入ってきた。

 「シンザン記念は名馬の登竜門。名馬になる馬を選ばなくちゃ。週刊Gallopに載っている過去10年の成績表を見てごらんなさい。ダイワスカーレット、ローレルゲレイロ、オルフェーヴル、マルセリーナ、ジェンティルドンナ、ミッキーアイル、ジュエラー…。10年間だけで、3着までに来た馬から、こんなにGI馬になっているんだよ。のちにGIを勝つにふさわしい馬を探せば、シンザン記念は馬券も取れるってこと。となると、GI・2勝馬ミッキーアイルの半弟タイセイスターリーでしょ!」

 前走のデイリー杯2歳Sは1番人気を裏切って8着に負けているが、「そこは無視で」だそうだ。

 カズマサが冗舌に語っているときに、仕事を終えて一杯やりにきた酒場のあすピーが店に入ってきた。

 「あすピーさんのシンザン記念の本命は?」と琢磨。

 「アルアイン。京都といえばディープインパクト産駒でしょ! ここ2戦を阪神と京都のマイルで勝っているように距離も合っているし、クラシック戦線に乗せるには、900万では出られないから、ここで賞金を加算しておきたいところ」

 出走メンバーで唯一のディープインパクト産駒のアルアインは、確かに馬券から外せないが配当に妙味がない。同じことは、アルアインと同じ池江厩舎のペルシアンナイトにも言える。普段は3着以内が堅いと思う馬を軸に3連複を買っているので、本来ならこの2頭のいずれかを軸馬にすべきところだが、1頭に絞れない。それなら2頭軸にすればいいのでは、と言われそうだが、どちらかは4着以下に負けるような気がするのだ。あくまで勘だが。

 そうであるなら、人気の盲点になりそうな馬を狙ってみたい。

 コウソクストレートだ。

 競馬エイトの単勝予想オッズは11.5倍で5番人気。実力的には、そこまで上位と開きがあるとは思えない。

 新馬戦、くるみ賞を連勝。2戦2勝で臨んだ京王杯2歳Sは4着に敗れたが、これまでとは違い出遅れて後方からの競馬となった。中舘調教師によると「中1週で使ったぶん、発走前に興奮して出遅れてしまった」という。今回は放牧でリフレッシュして2カ月ぶりの出走。前走みたいにレース前にうるさくなることはないだろう。そうであれば、2連勝したときのように5、6番手で競馬ができるはずだ。

 京王杯2歳Sはレベルが高かった。勝ったモンドキャンノが続くGI・朝日杯フューチュリティSで2着。2着のレーヌミノルは続くGI・阪神ジュベナイルフィリーズで3着。3着のディバインコードは、5日のオープン特別・ジュニアCでクビ差2着。いつもと違う競馬をして4着だったコウソクストレートが、本来の競馬ができれば…と思ってしまう。

 もうひとつ強調材料がある。Gallopの「データで斬る」によると、シンザン記念の連対率は関西馬が13%であるのに対し、関東馬は17%と上回っており、データ班・小田文博は、関東馬が「同週にオープンのジュニアCがありながら、こちらに矛先を向けてくる場合は勝算ありとの見立ても可能だ」と書いているのだ。

 今年、同じマイル戦のジュニアCとシンザン記念をダブル登録していた馬はディバインコード、ナイトバナレットなど数頭いたが、コウソクストレートは関東馬ながら中山のジュニアCには見向きもせず、シンザン記念のみに登録。しかも鞍上はルメール。名手を確保できた時点でシンザン記念一本に絞ったということだろう。昨年の最高勝率&最多賞金獲得騎手に依頼するのだから、よほど自信があるとみていい。ルメールなら出遅れず、本来の競馬をしてくれそうだ。大外15番枠に入ったが、前に行ける馬だし、名手がなんとかしてくれるだろう。

 ◎⑮コウソクストレート
 ◯⑧トラスト
 ▲⑤ペルシアンナイト
 △⑦アルアイン
 △⑭タイセイスターリー
 △⑩マイスタイル
 △②ブレイヴバローズ

 トラストは、レースでの折り合いが鍵だが、今回の追い切りの動きが良かった。うまく折り合えれば、勝っても不思議はない。

 ブレイヴバローズは、2着だったデビュー戦で勝ち馬タイセイスターリーと3着以下をぶっちぎった。200メートルの距離延長が鍵になりそうだが、インの経済コースを通れる2番枠に入ったのはプラスに働く。

《3連単》
 ⑮→②⑤⑦⑧⑩⑭→②⑤⑦⑧⑩⑭(30点) 各100円

《3連複》1頭軸流し
 ⑮-②⑤⑦⑧⑩⑭(15点) 各400円

鈴木学(すずき・まなぶ) 関東競馬エイト担当部長 

レース内容、騎手、厩舎

堅め

3連複

プロフィル

第1次東京五輪世代(第2次は2020年に誕生)。1993年2月にサンスポの競馬担当となり、2年間のブランク(運動部デスク)を挟んで競馬にどっぷり漬かっている。サンスポ記者時代は予想コラム「鈴木に学べ」を連載も、たまに「鈴木が学べ」に。

予想スタイル

「3連複の軸馬」を◎にしている。3連単の期待値は3連複の6倍だが、人気馬が1着だと6倍以下になることが多い。人気馬を軸にするのなら3連複の方が得という考え。

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