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2021.2.23 05:00

【さらばホースマン】カツラギエース騎乗でJC日本馬初V~西浦勝一調教師

西浦勝一調教師

西浦勝一調教師【拡大】

 今月末でターフを去る調教師にとって、いよいよ今週末が“最後の出走”。今回の「さらばホースマン」は、西浦勝一調教師(70)=栗東=を取り上げる。騎手として1984年のジャパンCをカツラギエースで制するなど活躍し、調教師としてもJRA457勝、交流競走を含めてGI15勝。その原動力は常に、オーナーと分かち合う“勝利の喜び”だった。

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 “世界の西浦”がターフを去る。1984年のジャパンC。10番人気カツラギエースを操り、無敗の3冠馬シンボリルドルフなどの猛追をしのいで逃げ切った。初装着のメンコも効いたが、リラックスして走れるように普段より長めに手綱を持つ匠の技で、第4回にして待望の日本馬初V。世界の壁をぶち破った。

 「2400メートルと距離が長かったし、力ませずに走らせるにはどうすべきか。長手綱は、考え抜いて出た結論だった」と、西浦調教師は回想。「メンコ着用は原園さん(厩務員)と考えたことで、(土門)調教師には黙っていた。馬場に向かうときに『メンコは外さんのか?』と調教師に言われたので『ゲートで外します』とシラを切った。負けていたら怒られただろうなぁ」と苦笑いだ。

 父・孫一さんは高知競馬の調教師。自然と騎手を目指すようになった。カツラギエースのほかにも88年の皐月賞(ヤエノムテキ)など635勝(GI級6勝を含む重賞27勝)を挙げ、96年に騎手を引退。トレーナーとしては桜花賞&秋華賞の2冠牝馬テイエムオーシャン、無敗でオークス&秋華賞を制したカワカミプリンセス、日本競馬史上最多(当時)のダートGI10勝を挙げたホッコータルマエと、3頭のGI馬を育てた。

 「GIだけでなく、勝ったときは『オーナーにこんなに喜んでもらえるんだ』といつも思った。小さい時から動物が好きだったし、馬が勝ってくれたおかげで、海外とか普通なら行けないような所にも行けた。この仕事をして本当に良かった」

 ゴールのあとに待つ、オーナーの喜ぶ顔が原動力だった。騎手、調教師と52年にわたる長いターフ人生も、この土日のレースが最後。先週の小倉大賞典では、11番人気テリトーリアルで“前祝い”の重賞23勝目を挙げた。引退後は、競馬にかかわることなく、のんびり過ごすと決めている。

 「自分が関係した馬、その子供、孫をテレビで応援することにするよ」

 穏やかな表情に、満足感が漂っていた。(片山和広)

■西浦勝一(にしうら・かついち) 1951年2月7日生まれの70歳。高知県出身。68年に土門健司厩舎の騎手候補になり、69年に騎手デビュー。通算635勝。96年に騎手を引退し、同年に調教師免許を取得。97年に厩舎を開業。JRA通算457勝で、重賞はGI6勝を含む23勝(22日現在)。他に交流GI9勝を含む交流重賞14勝。

★阪急杯で有終の美を飾るか…西浦調教師はラストとなる今週、10頭以上の出走を予定している。中でも、注目は阪急杯のブラックムーンだ。「1週前追い切りは3頭併せでびっしりと乗った。体調自体は悪くない。サッと切れないのは年齢的なものかもしれないけど、うちの厩舎としては重賞に使うのは最後になるし、頑張ってほしいね」と健闘を祈った。先週は、小倉大賞典をテリトーリアルでV。2週連続重賞Vで有終の美を飾るか。