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2019.10.7 19:37

【リレーコラム】東京サンスポ~「偉業」を成し遂げる為にはby板津雄志

凱旋門賞 =10月6日、フランス・パリロンシャン競馬場(撮影・菅原和彦)

凱旋門賞 =10月6日、フランス・パリロンシャン競馬場(撮影・菅原和彦)【拡大】

 テレビにかじりつき、遠征した日本馬3頭を応援した凱旋門賞だったが、今年も厳しい現実を突きつけられた。キセキ7着、ブラストワンピース11着、フィエールマン12着。日本の牡馬最強クラスがそろって打ちのめされた。オルフェーヴル(2着)とキズナ(4着)が挑んだ2013年以降、近づいたかに見えた欧州最高峰の景色は遠のくばかりだ。

 結果を受けて、毎回『凱旋門賞を勝つには何が足りないのか…』が各方面で論じられる。今年は日本馬に騎乗した3騎手はいずれもタフすぎる重い馬場を敗因に挙げた。確かに、高速ターフで速く走ることに慣れすぎている日本馬にとっては、経験したことがないタフな馬場だっただろう。今の日本で求められる強さは、欧州で求められる強さのベクトルとは全く違う方に向いている。例えば、昨年のジャパンカップのV時計が2分20秒6(良)に対し、今年の凱旋門賞は2分31秒97(重)。同じ2400メートルの競馬にもかかわらず、決着タイムに10秒以上の開きがある。極端な表現をすれば、もう別の競技を行っていると感じてしまうくらいだ。だから、海外の超一流馬がジャパンカップに参戦することがなくなってしまったともいえる。

 だが、『凱旋門賞に勝って日本馬が世界最強を証明する』夢をかなえるのならば、馬場を言い訳にするのは無意味だ。天候(良馬場)頼みではあまりにも心許ない。道悪も込みでの挑戦なのだから。1999年2着エルコンドルパサー、2010年ナカヤマフェスタ、12&13年オルフェーヴルの4度の2着はいずれも、今年よりVタイムが遅く、タフな馬場を克服しての好走だった。ちなみに、エルコンドルパサーはダートでデビューから3連勝したほどのパワーを持ち、オルフェーヴルとナカヤマフェスタはダービーで勝ちタイムが2分30秒を超える欧州レベルの不良馬場で好走した経験があった。これが、フランスに連れていく馬の指標になるだろうか。

 ただ、最も重要なポイントは、少し前に蛯名正義騎手から聞いた言葉にあると思う。

 「現地の馬になることが大事だと思う。エルコンドルパサーのときは何もかも手探りだったけど、あの馬はもうフランスの馬になっていた。初戦が終わってからはだんだん欧州仕様のフォームにもなっていった。受け入れてくれたトニーさん(トニー・クラウト調教師=昨年に引退)の尽力もかなり大きかったし、馬も人も現地の環境になじめていた。調教中でも現地のホースマンらが気軽に声をかけてくれたし、人も日本にいるときと同じ感じですごせた。人の不安(アウェー感)は馬にも伝わってしまうからね。向こうの競馬ファンにも人気があったよ」

 エルコンドルパサーは春から半年に及ぶフランス遠征を敢行し、凱旋門賞に挑んだ。現地初戦のイスパーン賞2着で現地のホースマンに一目置かれる存在となり、2戦目のサンクルー大賞を勝って欧州のトップクラスと認められた。走法だけでなく、精神面でもフランスの馬になり、それはチーム全てに言えることだった。そして、何よりロンシャンの馬場を2度実戦で経験していたことは大きかったのではないか。

 あれから、多くの日本馬が試行錯誤で挑戦を繰り返してきても、答えが出ない『欧州調教馬以外は勝っていない凱旋門賞を制すには何が足りないのか…』。実は1周回って基本(エルコンドルパサーの長期滞在)に立ち返ることが一番の近道なのかも。馬主の負担はかなり大きくなるが、それくらいの覚悟がないと成し遂げられない偉業ではないか。それは、今も欧州で戦い続け、ナッソーS制覇という成果を得たディアドラが体現しているように思う。

板津雄志(いたづ・たけし) 東京サンスポ記者 

調教・馬の個性

中穴

馬連・3連複

プロフィル

1979年7月23日生まれ、岐阜県出身。獅子座のO型は、池添謙一騎手とまったく同じ。だが、彼のように勝負強いかは不明。好きな馬はオルフェーヴル、スイープトウショウなど。

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