中央競馬:ニュース中央競馬

2019.6.20 16:55

【函館だより】開業から38年の老舗は地元のオアシス~吉野理容院

吉野理容院

吉野理容院【拡大】

 サンスポ記者の北海道出張は基本的に1開催=3週間。それだけ長く同じ場所に滞在すると、もはや出張ではなく“暮らし”で生活上の問題も生じてくる。今回はだいぶ髪の毛が伸びてきた(生えてきた、ではないのが悲しいところ…)ので散髪する必要が出てきた。どこで切ろうかと頭を悩ませていると、以前から気になっていた理容店が浮かんできた。

 函館市電深堀町駅から競馬場方面に2分ほど歩いたところにあるのが吉野理容院(北海道函館市駒場町6-18)。幾度となく前を通ってそのレトロな外観に惹(ひ)かれていたが、長年の念願がかなって入店することができた。「いらっしゃい」と温かく迎えてくれたのは、ちょっと新沼謙治似の店主・吉野一夫さん(65)。この地に店を構えて38年、函館市内でも古参の部類に入るそうだ。吉野さんが独りで切り盛りする店内は散髪台が2台だけで、設備も昔ながらのまま。近くを通る市電のゴトンゴトンという心地よい響きを聞きながら目を閉じると、何だか昭和にタイムスリップしそうな気分になってくる。

 八雲町出身の吉野さんは青春時代を横浜で過ごし、やんちゃ放題の日々を送っていた。しかし、仲の良かった後輩の誘いで理容学校の門を叩くことに。「でも、そいつは国家試験に受からずトラックの運転手になったんだ。人生って、わからんもんだねえ」と笑う。競馬愛の強い函館らしく、吉野さんも毎週馬券を買うとのこと。しかし、土日とも営業しているため、競馬場が目と鼻の先にあるにもかかわらず一度も足を踏み入れたことはないそうだ。何とももったいない話ではある。

 温厚で話し好きな吉野さんだが、細かい作業に入るとぴしゃりと口を閉じた。顔そりはフォームが乾くと塗り直し、耳掃除は乾いた綿棒で軽く拭いてからアルコールを含ませた綿棒で念入りに行う。「仕事が丁寧ですね」と言うと「当たり前でしょ。(チェーンなどの)安い店と一緒にしてもらっちゃ困るよ~」。職人の矜持(きょうじ)がのぞいた一瞬だった。全ての行程が終わったのは約1時間後。久々に落ち着いた時間を過ごすことができた。

 人口流出と高齢化が問題になっている函館市では、理容院の廃業が相次いでいるそう。「近所でも3、4軒つぶれたね。ウチだって常連さんが年間に50人も亡くなるんだ」と吉野さんは悲しそうな表情を浮かべる。それでも、近所の住民からは予約の問い合わせがひっきりなし。地元に愛される老舗は、今後もオアシスであり続けるだろう。函館競馬場の帰りに、一度訪れてみてはいかがだろうか。

漆山貴禎(うるしやま・きよし) 東京サンスポ記者 

データ

中穴

馬連・3連単

プロフィル

1981年生まれ、山形県出身、O型。東京大学文学部卒。一日のレースから、配当的な妙味も考慮して“最も買いたい”1鞍を厳選。美味しい馬券をお届けします!

予想スタイル

データ分析と関係者取材で得た情報をバランス良くミックスさせ、的中を目指す。〝2、3着には来るが、ほぼ勝たないであろう1番人気馬〟を探すのが3連単的中の近道と信じる。

※漆山貴禎の予想を閲覧するにはベーシックパックをご購入していただく必要があります