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2019.6.16 05:07

JRA大混乱 市販エサに禁止薬物、156頭が競走除外(3/3ページ)

大量の競走除外馬が出たことについて説明するJRAの吉原英留獣医委員(左端)、伊藤忍裁決委員(左から2人目)=阪神競馬場 (撮影・林俊志)

大量の競走除外馬が出たことについて説明するJRAの吉原英留獣医委員(左端)、伊藤忍裁決委員(左から2人目)=阪神競馬場 (撮影・林俊志)【拡大】

 函館スプリントSで有力視されながら除外されたダノンスマッシュの安田隆行調教師(66)は、「(袋書きに)禁止薬物が含まれていないという説明があったので安心して使っていたのに、どうしてこんなことになったのか」と困惑の表情。JRAも「今回の業者に対しては当然、啓発、啓蒙を厳正にやっていきたい」とした。

 飼料の納入時期から、摂取した馬がすでに出走した可能性もゼロではないが、3着以内に入った馬などは検査を義務付けられており、陽性になった例はない。摂取した可能性がある馬は15、16日の両日で全頭検査を実施。公正保持に向けた取り組みが行われる。

 ただ、信頼されていた飼料の根底が揺らぐ一大事が起きたのは事実。関係者からは「納得がいかない」という不満の声も上がった。関係者もファンも巻き込んだ大混乱。業界一丸となっての徹底した再発防止策が求められている。

★飼料とサプリ

 競走馬は一般的に「カイバ」(飼い葉)といわれる飼料を食べている。厩舎によって一日に2度または3度に分けて摂取するのが一般的。人間の食事と同様、体調や身体面の課題に応じて分量や内容が調整される。『グリーンカル』は古くから利用されてきたカルシウム剤。厩舎関係者は「カルシウムが最初から配合されているカイバもあるけれど、(カルシウム剤は)サプリというよりも塩や醤油と同じで、普通に常備しているもの」と証言しており、信頼されていたことがうかがえる。

★残存効果は約10日間

 テオブロミンの残存効果は約10日間とされている。今週除外された馬や、宝塚記念(23日、阪神、GI、芝2200メートル)など次週の出走予定馬で『グリーンカル』を摂取した可能性がある馬は、検査で陰性と判断されれば今後の出走に問題はない。競馬開催への影響はないとみられる。

★記者の目

 JRAは競走能力に影響を及ぼす禁止薬物を定めている。8種類から始まり、今では105種類と取り締まりを強化。使える飼料も禁止薬物を含まないことが証明されたもの、と決めており、公正確保に力を注いでいることを喧伝してきた。

 それでいて、検査をしていない飼料添加物が売られていた。そのチェック体制の甘さに驚く。岩手競馬は薬物問題で開催休止に追い込まれた。大きな打撃を受けた例が近くにありながら、本当に真剣に薬物問題に取り組んできたのか、疑問を持たれても仕方がない。

 公に売られている飼料添加物を使用した関係者に非はない。函館競馬場で除外が決まり、肩を落とした調教師がいた。懸命に調整してきた関係者は被害者だ。

 一方で、前日夕に禁止薬物検出の可能性が出ながら、馬券の夜間発売を行ったことも解せない。楽しみに検討し、馬券を購入したファンをどう思うのか。除外馬を発表できなくても、夜間発売はやめてほしかった。首脳陣からファンへの丁寧な説明もないJRAの今回の対応は、残念だ。(レース部長・下村静史)

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  • 「禁止薬物の陰性を確認しております」と明記してあるグリーンカルの袋(裏面)
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