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2019.6.12 12:24

【佐藤洋一郎・馬に曳かれて半世紀(90)】スピード競馬追求が生んだ日米GIでの斜行の悲劇(2/2ページ)

ロジクライの斜行により大きな不利を受けたアーモンドアイ(左)は、ゴール前で上位2頭を強襲した

ロジクライの斜行により大きな不利を受けたアーモンドアイ(左)は、ゴール前で上位2頭を強襲した【拡大】

 かつてシンボリのオーナーブリーダー和田共弘はアメリカ競馬を「ドッグレース」と皮肉った。1周1マイル程度の陸上競技で使用するような平坦の土のトラックを猟犬のように突っ走る。そのスピード感をアメリカ人は好み、愛して、サラブレッドや競馬の概念さえをも変える「新世界」を切り開いた。その成果や歴史的な価値は認めざるをえない。アメリカに傾いて急速に繁栄した日本の平成競馬もしかり。栄枯盛衰は世の習いであり、好悪にかかわらず、こういう時代をもクールに受け止めなければならないことはわかっている。がしかし。 

 英国やフランスに競馬留学してきた鈴木康弘調教師が、まだハイセイコーの調教助手だった若き日に、藪を切り開いて造成された1周7ハロン程度の猫の額のような調教コースでオークスを制覇(一時は5頭も出馬させた)するなど、飛ぶ鳥を落とす勢いの白井旋風を巻き起こした成宮明光調教師について「ナルさんはウェスタンサドル(アメリカの鞍)で、ぼくはブリティッシュサドル(イギリスの鞍)。どちらにも適鞍はあると思うし、いずれはそれなりの結果を出しますよ(笑)」

 マルセル・ブサックの血統書を飛行機に置き忘れてきたと悔しそうに嘆いていたスズヤスの笑顔を、今頃なぜ思い出したのか。仏ダービー12回、凱旋門賞6回、仏クラシック全勝、英仏で1800を越える勝ち鞍を積み重ねた大富豪でインブリードの奇才(かつアウトブリードの鬼才)と畏敬されたブサックに心酔(?)していたホースマンの夢がかないそうな時代がやっと来た…と予想しつつ、紙数がつきたので本題の〆に入る。

 サンスポにベルモントSの“二軍”のダンゴは掲載されないと聞いて、焦ることはないゆっくりいこう。競馬は日曜日なのだからと、安心していた。が、その夜ウマニティに東京、阪神の全予想を入稿すべく予想コロシアムページを開いたら、土曜日の東京1Rの上(最上位)に「アメリカ・ベルモントS」がデンと居座っていた。え、なぜ? 日曜日の7時発馬…というのはなんと朝の7時だったか! 

 というわけで10頭の出馬表を開いて、あらためてジョーピアに◎(=マルドン)と思ったが、ウマニティのダンゴにマルドンはないので仕方なく普通の◎にし、相手は○タシトゥス、これとの2頭軸3連単マルチで抜け目がくれば10頭立てでも6桁配当はいける。そう決めて、そうかオーサムアゲインの孫もいた。スキップアウェイ、シルバーチャーム、スウェインなど凄いのを一蹴した1998年チャーチルダウンズのBCでの絶叫を思い出すし、さらに2004年孤星公園(ローンスターパーク)で4角先頭、あわやの見せ場を作って6着に踏ん張った大井の韋駄天パーソナルラッシュを子供あしらいにして1分59秒2のオバケレコードで圧勝したゴーストザッパーの息子サーウィンストン。ダービーの反動もあってアメリカ競馬らしくないスローになりがちな2400のファイナルが、遅れて来た(実は昨年7月に新馬を勝っている)ステイヤータイプの逃げ馬ジョーピアの独り旅になる。ダービーの善戦で人気をかぶる日本馬の後方一気は不発に終わる…。

 この通りに買い目も引いたはずなのに…ウマニティの読者諸兄姉よ、面目ありません。

佐藤洋一郎(さとう・よういちろう)

 サンケイスポーツ記者。早大中退後、様々な職を転々とするなかサンスポの読者予想コンテストで優勝。71年にエイトの創刊要員として産経新聞社へ。サンスポの駆け出し記者時代に大橋巨泉の番記者に抜擢されたのが大きな転機に。季節・馬場・展開の3要素を予想に取り入れ数々の万馬券をヒットさせ、鬼才と呼ばれる。