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2019.6.12 12:02

【藤代三郎・馬券の休息(90)】トウショウオリオンのこと~派手なドラマと忘られぬ馬(1/2ページ)

栗東の鶴留厩舎に所属したトウショウオリオン。トウショウボーイ晩年の産駒で、桜花賞馬シスタートウショウの全弟である

栗東の鶴留厩舎に所属したトウショウオリオン。トウショウボーイ晩年の産駒で、桜花賞馬シスタートウショウの全弟である【拡大】

 昔から好きな馬は作らない主義だが、それでも時々、追いかけてしまう馬がいる。トウショウオリオンはそういう馬の1頭だった。1993年生まれのサラブレッドである。栗東の鶴留厩舎に所属。父トウショウボーイ、母コーニストウショウ。トウショウボーイ晩年の産駒で、桜花賞馬シスタートウショウの全弟である。

 いまでも覚えているのは、1997年の鷹ケ峰特別だ。900万下のこの特別をトウショウオリオンは2番人気で勝ったのだが、そこでしこたま儲けた私はその浮き分の30万円を全部その日の天皇賞に突っ込んだのである。この年の春天は3強と言われた年で、1番人気がサクラローレル、2番人気がマヤノトップガン、3番人気がマーベラスサンデー。この馬連はどの組み合わせでも4倍強。で、私はマヤノトップガンとマーベラスサンデーの馬連を30万購入した。バカみたいな買い方をしていた頃の話である。

 2周目の最後の直線で、マヤノトップガンの頭は確定で、2着争いになったとき、マーベラスサンデーとサクラローレルの叩き合いになった。拳を握りしめ、胸の中で「豊、豊、豊」と応援すると(マーベラスサンデーの鞍上が武豊だった)、一度はサクラローレルを抜いたのである。その瞬間、大口に並ぶ自分の姿が浮かんだ。ところが、信じがたいことに再度サクラローレルに差し返されたのである。3000メートルを走って最後の直線で叩き合いになり、それで競り勝ったのに再度抜かれるとは思ってもいなかった。そうか、サンデーはステイヤーではないのだ、と確信したのはそのときである。

 これでは、トウショウオリオンの思い出というよりも、春天の思い出ということになってしまうが、まあ、待ってくれ。トウショウオリオンの因縁はまだ続く。翌年の7月、阪神競馬場で行われたサマーSにトウショウオリオンは出てきた。7月の阪神? と思うところだが、この年(1998年)は小倉が工事中で代替競馬が阪神で行われたのである。

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