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2018.11.8 16:04

相沢師コラム・トレセン365日WEB版(32)~思い出の舞台で再スタートを・イタリアンホワイト

相沢郁調教師

相沢郁調教師【拡大】

 週初めに北海道の牧場を回った際、浦河で4人の中小牧場主と杯を傾ける機会がありました。みんな私と同世代か少し年上の方たちだったのですが、何と4人中3人に跡継ぎがいなかったのです。聞けば、息子さんは別の仕事に就き、娘さんは牧場を継ぐのを嫌がっているそう。これは浦河の一地区に限った話ではなく、日高全体でも同じような問題が起きています。以前に牧場の従業員不足について触れたことがありますが、経営者がいなくなっては本当に元も子もありません。これから10年、15年と経ったときに中小牧場がどうなっているのか考えると、空恐ろしくなってきます。

 確かに馬産の仕事がきついのは確か。馬の世話で休むヒマは一年中ありませんし、種付けはなかばギャンブルのようなもの。無事に生まれてくる保証はまったくないうえに、たとえ健康に生まれたとしても性別が牡か牝かによって取引価格は全く違ってくるのが実情です。それでも、生産馬が活躍したときの喜びはかけがえのないものがあるはず。先の牧場主は「夢がある若い人になら、牧場を譲ってもいい」とまで言っています。現在は競走馬の育成や生産の仕事について説明するBOKUJOBフェアがJRAの競馬場で開催されていますし、日高の農協も新規の就農者には親身になって相談に応じてくれるはずです。チャレンジしやすい環境は整っていると思うので、やる気のある動物好きな方は将来の選択肢に加えてみてください。

 今週は11月11日の福島7R(3歳上500万下、芝2000メートル)のイタリアンホワイトに期待しています。ちょうど1年前に全く同じ条件で現級勝ち。しかも、タイムは同日の福島記念を0秒4も上回っていました。すぐにオープンまで出世すると思っていただけに、その後の6戦で未勝利というのが信じられません。鞍上ルメールで今度こそと思っていた前走は直線で行き場がなくなり追えずじまい。とことんツキのない馬ですが、状態は本当にいいんです。思い出の舞台で仕切り直しといきたいですね。

■相沢郁(あいざわ・いくお)

 1959年6月19日生まれ。北海道出身。麻布大学獣医学部で獣医師免許を取得。98年に厩舎を開業。初年度からウメノファイバーが京王杯3歳Sを優勝し、翌年にオークス制覇。2012、13年にJRA賞優秀調教師賞を受賞。これまでにJRA重賞16勝をあげている。趣味はお酒。