ノーザンファームしがらきは広大な敷地に充実の設備が整っている。秋にはさらに拡充予定だ (撮影・安部光翁)【拡大】
競馬界の話題に迫る「ズームアップ」。今回は滋賀・甲賀市にあるノーザンファームしがらきを取り上げる。栗東トレセンに近い絶好の立地条件で、広大な敷地に素晴らしい施設。記者自ら“坂路調教”も体験し、日本一のノーザンファームを支える関西の拠点を探った。 (取材構成・斉藤弘樹)
日本競馬の頂点に君臨するノーザンファーム。生産牧場の獲得賞金では7年連続でリーディングを獲得しており、今年もダービー馬ワグネリアンなどGI6勝を含む重賞25勝を挙げている。
世界にその名をとどろかせるノーザンファームにとって、初期の育成と長期間の休養を行うのが北海道の拠点。入厩直前の調整や、短期放牧の移動先となるのは、東西の前線基地だ。関東馬の前線基地がノーザンファーム天栄(福島県)なら、関西のそれは2010年秋に開設したノーザンファームしがらき。みっちりと取材をしてきた。
栗東トレセンから車で約30分。自然に囲まれ、東京ドーム6個分にあたる約28ヘクタールの広大な敷地を誇る。栗東より平均気温が5度ほど低く、過ごしやすい環境だ。これまでに、三冠馬オルフェーヴルや牝馬3冠のジェンティルドンナなどを送り出してきた。現在は11厩舎で320馬房あり、増設中の厩舎が9月に完成。最大370頭が滞在可能となる。効率的にレースに出走させるために、同場では週に40~50頭が入退厩。「馬の状態を早くジャッジして回復させ、少しでも多く競馬に使うことが目標です」と松本康宏場長は話す。