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2018.8.15 05:03

【矢作芳人調教師 信は力なり】的場さんと一緒に大井の重賞を勝つのが夢

矢作芳人調教師

矢作芳人調教師【拡大】

 今回はこの人のことを書かずにはいられない。偉大な記録を達成したレジェンド的場文男騎手である。

 もう遠い昔の話になってしまったが、オーストラリアから帰国した21歳の夏からJRA競馬学校に入るまでのおよそ2年間を大井競馬場の父の厩舎で過ごした。その時、公私ともにお世話になったのが的場さんだった。騎乗技術や競馬について教えてもらうのはもちろん、「夜遊び」に関しても随分勉強させていただいた。私事で恐縮だが、妻と知り合ったのも的場さんの紹介がきっかけであった。

 その頃の彼は大井のリーディングを取る直前で、仕事も遊びも全てが真剣勝負。一緒に夜遅くまで飲んでも、毎朝3時前から20頭以上の調教をこなしていた。その間「馬の背中を痛めるのが嫌だから」と常に腰を上げたまま速歩をしていたのは大井では有名な話だ。とにかく目の前の1つの勝利にこだわり、勝つためにどうすべきかを常に考えていた。

 わが厩舎が勝利数に人並み以上にこだわっているのは、その頃の的場さんの影響があるのは疑いようがない。最近では大井でたまに顔が合うと「矢作先生」と呼びかけられる。「気持ち悪いからその呼び方はやめてください」と言っても、「今は調教師さんと騎手ですから」と返される。その誠実な人柄とたゆまぬ努力が今回の偉業につながっている。

 これからは無事にけがなく乗ってほしいと願うばかりであるが、悲願の東京ダービー制覇も残っているし、まだまだ老け込むことはないだろう。個人的には、当厩舎の管理馬に乗ってもらって大井で重賞を勝つのが夢だ。的場さんおめでとう! いつかまた一緒に飲みましょう。 (JRA調教師)