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2018.7.11 12:25

【佐藤洋一郎・馬に曳かれて半世紀(43)】七夕にアゲヒバリ名乗りいで メドウラーク、歴史に名を刻む(2/3ページ)

スポーツ紙記者No.1の健筆家と謳われるサンスポ佐藤洋一郎記者が自身の記者生活の集大成として送り出す「馬に曳かれて半世紀」

スポーツ紙記者No.1の健筆家と謳われるサンスポ佐藤洋一郎記者が自身の記者生活の集大成として送り出す「馬に曳かれて半世紀」【拡大】

 大震災(2011年)のはるか前、1990年の七夕賞を障害の名手に導かれて翔んだイダテンターボ(単勝27・8倍)の奇跡を、震災から17年経った開設100周年の檜舞台が塗り替えた。3年間勝ち鞍に恵まれず草むら歩き回っていアゲヒバリの息子を、フクシマの荒れた草っ原がスターゲイザー(星を仰ぐ馬)のように羽ばたかせた。12頭立て11番人気の単勝はイダテンターボの3倍強の万馬券100・8倍。4番人気マイネルサージュ、12番人気パワーポケットの2、3着3連単が満天の星のような7桁配当256万3360円。差のない3番人気に祭り上げられていた“芦毛”のプラチナムバレットが落馬、ハクセツ・ジョセツ姉妹の再来を連想させたキンショーユキヒメ(7着)も、もう一頭の芦毛マイネルフロストも、成すすべもなく凡退させた痛烈なしっぺ返しを受けながらも、その理不尽さを恨むことなく、これこそが馬の精霊たちが発した、怠慢な国や人々に対する抗議のパフォーマンス、言葉なきメッセージのひとつなのではないのか。

 馬場が荒れていて時計のかかる、馬力のある馬に有利な条件になっていた。傑出した有力馬不在の、何が勝っても不思議ではないメンバー構成だった。そうした状況に拍車をかけたハイペース(前半3ハロン34・4、4ハロン46・4、後半50・7、38・6)によるドンデン返しがはまった…といった後出しの講釈は誰にでもできる。そうではなく、そういう舞台設定をして展開をも演出してしまう何か、摩訶不思議な霊力のようなものを、福島の気候風土、伝統に根ざした馬文化が育んでいる。そういう解釈、説明でしか解き明かせない何かがフクシマにはある。メドウラークの手綱をとった丸太恭介騎手は震災前年の2010年秋の福島記念を、16頭立て12番人気だったダンスインザモアでもぎ穫っていた。七夕賞と同じく、最後方からの直線一気の牛蒡抜きだった。

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