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2018.7.11 12:25

【佐藤洋一郎・馬に曳かれて半世紀(43)】七夕にアゲヒバリ名乗りいで メドウラーク、歴史に名を刻む(1/3ページ)

スポーツ紙記者No.1の健筆家と謳われるサンスポ佐藤洋一郎記者が自身の記者生活の集大成として送り出す「馬に曳かれて半世紀」

スポーツ紙記者No.1の健筆家と謳われるサンスポ佐藤洋一郎記者が自身の記者生活の集大成として送り出す「馬に曳かれて半世紀」【拡大】

時は春、
日は朝(あした)
朝は七時、
片岡に露みちて、
揚げ雲雀(あげひばり)なのりいで、
蝸牛(かたつむり)枝に這ひ、
神、そらに知ろしめす。すべて世は事もなし。
(春の朝=ロバート・ブラウニング)

 白鳥(芦毛の牝馬◎キンショーユキヒメ)が舞うはずだった七夕に、牧場の雲雀(メドウラーク)が飛び立った。母はアゲヒバリ(揚げ雲雀)だし、その父クロフネ(芦毛)の血を強く引いていれば「かもめが翔んだ日」のように“白雲雀”の七夕賞が歴史に刻まれたかもしれない…。

 大雨で荒廃していたメドウ(草原)のキックバックを受けた鹿毛の地肌は、テレビ映像では見えなかった。しかし翼に付着していたであろう泥の斑点を力強く振り切って飛び立ったアゲヒバリの勇姿は、ヴァーチャル画像として網膜に結実した。死んだ土からリラの花を蘇生させる残酷な4月ー(T・S・エリオット『荒れ地』)のような強靱な生命力、馬の精霊のようなものを、フクシマの大地は育んでいる。そのマジカルパワーは今も、衰えてはいない…。

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