【藤代三郎・馬券の休息(39)】馬旅5000キロ~日本にいながら海外競馬を堪能できる~

2018.6.13 12:00

 すごくたくさん競馬場があるんだな、というのが、ただいま、グリーンチャンネルで放映中の「オーストラリア横断 馬旅5000キロ」を見ているときの実感である。

 たとえば今週放映した第11回では、オセアニアNo.1の規模を誇るフレミントン競馬場を一行が訪れたが(開催中の様子を見たかったので残念)、その2キロ先に、ムーニーヴァレー競馬場というのがあるのだ。なんだっけ、メルボルンの近くにもう一つあったな。とにかく、あちこちに競馬場がたくさんあるから驚く。

 オーストラリアには、メトロポリタン、プロビンシャル、カントリーと、競馬場のランクというか、ジャンルが3つにわかれているらしいが、今週の第11回を見ていたら、その下に「ピクニック競馬」というジャンルの競馬場もあるというからびっくり。まだあるのかよ。

 今週放映の第11回で紹介されたのが、メルボルンから120キロのところにあるウーラマイ競馬場(ここは「ピクニック競馬」では比較的大きいところらしい)。アマチュア騎手のレースなのに、入場料が15ドル。オーストラリア・ドルは1ドルが83円くらいなので、1200~1300円。意外に高い。

 面白かったのは、そのウーラマイ競馬場でスタビーホルダーを見つけて須田鷹雄が喜ぶくだり。それが6ドル。スタビーホルダーって何だ、と思ったら、缶ビールの保冷ホルダーなんですね。いいなあこれ。

 紹介するのが遅れてしまったが、この「オーストラリア横断 馬旅5000キロ」は、須田鷹雄と井上オークスがオーストラリア西海岸のパース、アデレード、メルボルン・シドニー、ブリスベーンの競馬場、ならびに競馬施設を訪れる旅番組で、第2回目に気がついてそれからは毎回楽しく見ている(第1回目の再放送はいつやるんでしょうか。私、この回だけ見ていない)。

 このコンビはこれまでにアメリカ競馬旅も楽しく、そうか、須田鷹雄のイギリス競馬旅もあったな。私、旅そのものは嫌いなので自分では行きたくないが、だからこそ、こういうテレビ番組を見るのが好きなのである。私の代わりに行ってくれるからである。毎週月曜の夜はテレビの前にいながらにしてオーストラリアに行った気分になる。

 リポーターとしての須田鷹雄は実に優秀で、よくもまあそんなことを知っているよなという情報が次々に飛び出してくる。旅のガイドとしては完璧だろう。11回もやっているのに、ただいまのメルボルンは西海岸の5都市のちょうど真ん中で(一つの都市の周辺に幾つも競馬場があるから、それを訪れていくとキリがないのだ)、これでは全部で何回やることになるのかわからないが、できれば終わってほしくない。

 これまでの最高は、どの競馬場だったか忘れてしまったが、ハーネス競馬のくだり。これは騎手が馬の後ろにある一人乗りの2輪車に乗って競走するもので、騎手はジョッキーではなく、ドライバーと呼ばれる。オーストラリアにはこのハーネス競馬専用の競馬場も多く、そこを訪れたときの回だが、レースとレースの間にエキシビションがあり、馬はポニーでドライバーが少年。ようするに、お遊びレースである。で、これがとにかく遅い(笑)。思わず、須田鷹雄が「遅ッ!」と言うところで吹き出してしまった。

 あとは、これもどこの競馬場だったか、川崎記念の馬券を売っている競馬場があった。しかもそのレースを放映しているのだ。モニターに漢字で「川崎記念」と出るのである。それをオーストラリアの馬券ファンが買っているとは不思議な光景だった。

 そういえば、競馬友達4人とアメリカに行ったとき、とにかくあらゆるレースを買った友人がいた。レースが始まるのでモニターを見上げたら、それがハーネス競馬でびっくりという1幕があったことを思い出す。おそらくオーストラリアの馬券ファンも、よく知らずに馬券を買い、モニターを見上げたら漢字表記が出てきて、「えっ、日本のレースだったのかよ」と思ったやつもいたに違いない。ようするに、洋の東西を問わず、馬券を売っていればよく知らないのに何でも買ってしまうやつがいるということだ。

 羨(うらや)ましかったのは、オーストラリアでは2月の段階で11月のメルボルンカップの馬券を発売していること。もちろん出走しなければ没収される馬券だが、こういうの好きだ。いま今年暮れの大一番、有馬記念の馬券を売ってくれたら私、エポカドーロの単勝を買う。

 だめですか?

藤代三郎(ふじしろ・さぶろう)

 1946年生まれ。本名・目黒考二(めぐろ・こうじ)。明治大学文学部卒業後、76年に作家・椎名誠氏と書評誌「本の雑誌」創刊。ミステリーと野球とギャンブルをこよなく愛す。藤代三郎のほかにも群一郎、北上次郎など複数のペンネームを持ち、評論、執筆活動を幅広く展開。著書に「本の雑誌風雲録」「活字三昧」(いずれも目黒考二)や「冒険小説論」(北上次郎)。「戒厳令下のチンチロリン」や週刊ギャロップに創刊より連載している「馬券の真実」をまとめた「外れ馬券は人生である」などの“外れ馬券シリーズ”は藤代三郎として発行している。

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