中央競馬:ニュース中央競馬

2018.5.16 12:15

【佐藤洋一郎・馬に曳かれて半世紀(35)】「オークスのゾロ目」復活の予兆?あるぞ人気薄馬の返り咲き(5/5ページ)

スポーツ紙記者No.1の健筆家と謳われるサンスポ佐藤洋一郎記者が自身の記者生活の集大成として送り出す「馬に曳かれて半世紀」

スポーツ紙記者No.1の健筆家と謳われるサンスポ佐藤洋一郎記者が自身の記者生活の集大成として送り出す「馬に曳かれて半世紀」【拡大】

 

 ショータイムが近づいた。パドックで、晩春の陽光がローマンの肌をカユマンギーに染めるのを発見した。体じゅうの血が沸騰した。もはやためらうことはない。有り金すべてをローマンに捧げるのだ。その日は幸か不幸か5万円ほどの資金が20数万円に増えていた。

 まずダイアナソロンを消した連複5万円を買い、次に単複売場に移動した。当時の東京競馬場は連勝のほかに単複売場が単独にあり、しかもそれぞれが別の窓口になっていた。はじめに右側で9番の単勝を5万、隣で複勝を10万買ってから、とっさにサラにビンボー馬券をプレゼントすることを思いついた。ポケットを探ったそのとき、長身の美女(長田渚左さん)にポンと肩を叩かれ、微笑みかけられた。美女と会話の併せ馬をしながら数歩動いたときに、締め切りのベルが鳴った。あわてて窓口に手を突っ込む。

 「9番(複)を1万円!」

 サラ! サラ! ローマン!、ガルシア!

 カバヨ!! ババエ~!!

 、

 喉から血が出るほど絶叫したのは言うまでもない。単勝(20.5倍)が5万。複勝(5.2倍)が10万プラス1万…。払い戻し窓口で馬券を確認したら、なんと最後の1万円が複勝ではなく単勝になっていた。美人キャスターと立ち話しながら単勝売場に戻っていたのだった…。

 その単勝馬券は払い戻しせず、そのままそっとサラに手渡した。友達5人とポークステーキくらいしか食べられない金額と偽って。それ以来、サラとは一度も会っていない。いまごろどこで、どうしていることやら。 

 ああ 春や春、春東海のローマンス

佐藤洋一郎(さとう・よういちろう)

 サンケイスポーツ記者。早大中退後、様々な職を転々とするなかサンスポの読者予想コンテストで優勝。71年にエイトの創刊要員として産経新聞社へ。サンスポの駆け出し記者時代に大橋巨泉の番記者に抜擢されたのが大きな転機に。季節・馬場・展開の3要素を予想に取り入れ数々の万馬券をヒットさせ、鬼才と呼ばれる。