【ズームアップ】知っていますか!?ゼッケンの秘密

2018.3.13 05:01

 競馬界の話題を取り上げる「ズームアップ」。今回は、“競走馬の背番号”ともいうべきゼッケンに注目した。馬番と馬名を識別する必須アイテムは、いつ、どこで、どのように作られているのか? 普段、あまり知られることのない作業の裏側に迫った。 (取材構成・片岡良典)

 競走馬の背中と鞍の間に挟まれている馬番入りゼッケン。まさに、馬の背番号という表現が当てはまる。馬番に加えて馬名が表示されていて、どの馬かを識別するための重要なアイテムだ。

 レース用のゼッケンが仕上げられるのは、競馬場内。その作製手順を、JRAファシリティーズ中山営業所・栗田昭典営業課長代理に聞いた。

 「(作業は)レース前日の午前10時過ぎに始まります。枠順確定後、JRAのデータを元に、レースごとにプリントした馬名を1頭ずつ型抜き。これを、あらかじめ馬番が付されたゼッケン下部に熱転写して、夕方には検量室へ納入します」

 馬番号と馬名はもちろん、濁点など文字の欠損部分がないことを確認。この作業を各場で12レース分、入念に実施してから検量室に納入される。11日ならば、中山、阪神、中京の3場で計498枚。プリント、型抜き、熱転写、納入…の作業を、各場が5~6時間で完了させる。

 以前は丈夫な帆布ゼッケンを使用していたが、現在はポリエステル原綿が原料だ。ポリエステル原綿はペットボトルの再利用。競馬場で回収したものを加工して、500ミリリットルのペットボトル6本分でゼッケン1枚が作れる。ちなみにトレセンの調教用ゼッケンは同じものを1年間にわたって使用するため、2倍のペットボトル12本分を利用した丈夫なものだ。ゼッケンを作ることが、環境対策にもつながっている。

 「私たちの仕事の内容が少しでもファンの方々に知っていただければうれしいですね」と栗田氏。ペットボトルの再利用が周知されれば、ごみの分別も進むだろう。

 レース後のゼッケンは関係者が記念に持ち帰ることが可能だが、リサイクルやチャリティー販売に使われることもある。かつては馬番のみの味気ない表示だったが、今は色も文字もバラエティー豊か。当たり前のように見ているゼッケンにも、背景にはさまざまな工夫と努力が施されている。

★ゼッケンと文字の大きさ

 ゼッケン1枚のサイズは片面の縦が51センチ×横69・5センチ。一般的な座布団以上に大きい。馬名は縦9センチ×横35センチ。9文字馬名だと幅いっぱいに使うため、1文字あたりの大きさは小さくなる。逆に2文字馬名の場合は文字を大きくする。

★ダービーは特別

 JRAではレース用ゼッケンの色には決まりがある。一般レースは白地に黒文字。競馬の祭典・日本ダービーもこの配色だが、実は馬名を囲む形で金色の糸による縁取りが施されている。ダービーだけの特別な伝統だ。ダービー以外のクラシックは紫紺に黄文字、他のGIは紫紺に白文字、GIIは赤地に白文字、GIIIは緑地に白文字、特別レースは黒地に白文字。招待レースなどでは独自のデザインが使用される。

★レプリカサイズ1枚3000円

 JRAファシリティーズでは、オリジナルゼッケンの販売も行っている。結婚式や卒業式などの記念品として人気が高い。金額はレプリカサイズで1枚3000円。ミニサイズ(18センチ×25センチ)は1500円(ともに税込み)で、1~18までの番号と、カタカナ2~9文字が選べる。詳しくは同社のホームページで。

★基礎部分は長野県で作製

 ゼッケンは、長野県内にある障害者支援の社会福祉法人で基礎部分(馬番だけ付した状態)が作製され、その後の工程が競馬場で行われる。大井競馬の全レースや、地方競馬の重賞競走の馬名入りゼッケンも同様の工程だ。ゼッケン作りは、ペットボトルの再利用だけでなく、障害者支援という側面もある。

閉じる