【有馬記念】キタサン有終、武が飾った!有馬最多タイ3勝

2017.12.25 05:08

 第62回有馬記念(24日、中山11R、GI、3歳上オープン国際(指)、定量、芝・内2500メートル、1着本賞金3億円=出走16頭)1番人気のキタサンブラックが、圧倒的な強さを見せた。後続に影をも踏ませぬ逃げ切りで、GI7勝目を挙げた。タイム2分33秒6(良)。生涯獲得賞金は18億7684万3000円でテイエムオペラオーを抜いて歴代1位となった。武豊騎手(48)は歴代最多タイとなる有馬記念3勝目で、全て名馬のラストランを飾った。

 誰にも文句は言わせない。これが、現役最強馬キタサンブラックだ! 有終の美を飾る歴代最多タイのJRA・GI7勝目は、影をも踏ませぬ逃げ切り勝ち。10万を超えるファンからの鳴りやまない“キタサン”&“ユタカ”コールに、武豊騎手が両手を広げて応えた。

 「最高にうれしいです。悔いが残らないよう、キタサンブラックの走りをさせることだけを考えていました。(ゴール前は)『頑張ってくれ』、それしかなかったです」

 競馬界のレジェンドが、声をうわずらせるほど興奮していた。絶好の(2)番枠を生かし切る抜群のスタートで、すぐに約1馬身のリード。最初のスタンド前をスムーズに通過すると、あとは武豊=キタサンブラックの独壇場だった。前半1000メートルは61秒6という絶妙なペース。最後の直線に入ると、残り300メートルでさらに後続を突き放す。セーフティーリードを保ったまま、スタンドからの大声援を受けてゴールに飛び込んだ。

 「どうしても勝ちたかった」。名手の短い言葉に、この馬への感謝、思い、勝利への執念が凝縮されていた。この日の騎乗は有馬1鞍だけ。全神経を研ぎ澄ませて挑んだ。「本当に強い馬。こんな名馬に巡り合えて幸せです」と武豊騎手は感慨深げに話した。

 これまでファン投票1位では、2016年宝塚記念3着、同年有馬記念2着、17年宝塚記念9着と3連敗。それだけに、清水久詞調教師は背水の陣の気持ちで臨んだ。「最後こそは何とかしたかった。本当に勝ててよかった。でも、これで最後と思うと、寂しさが少しどころか大いにあります」としんみり話した。

 今回はこれまで一度も使ったことのなかった疲労をとるための筋肉注射を2度打った。もともと回復力の高い馬だが、最高の状態でフィナーレを迎えるためだった。水曜の最終追い切りが予定より遅くなったため、木曜に坂路で調教。万全を期した“秘策”のおかげで、最後まで攻め抜けた。

 今年GI4勝目で2年連続年度代表馬はほぼ確定。誰からも愛された国民的名馬はテイエムオペラオーを抜き、歴代賞金王となった。歴史の扉をこじ開け、競馬史にその名を刻んだ。 (山口大輝)

 ◆GI初制覇となった菊花賞で手綱を取った北村宏騎手 「最後にかっこよく引退してくれましたね。もし、(キタサンブラックの)子供に乗れたらうれしい。自分にとっては大きな馬です」

★名馬と歌

 名馬を題材にした歌で有名なのは、『さらばハイセイコー』。競馬ブームをつくった名馬の引退記念盤として発売され、主戦騎手を務めた増沢末夫が歌った。オリコンチャートで最高4位を記録した。悲劇の名馬テンポイントやアイドルホースのオグリキャップに関連する歌も何曲か出ており、最近では無敗の三冠馬を題材にした『翔んでディープインパクト』(歌・和田青児)がある。

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■武豊騎手が騎乗し有馬記念でラストランを飾った馬

 ★1990年・オグリキャップ 競馬ブームの火付け役も、5歳秋は天皇賞・秋で6着、ジャパンCでは11着と大敗。「燃え尽きたのか」-。武豊を鞍上に迎えたラストラン。好位追走から4コーナーで先頭集団に並ぶと、後続を突き放して感動の1着。18万人近い大観衆から「オグリコール」がわき起こった。
 ★2006年・ディープインパクト 4歳秋は凱旋門賞でまさかの失格となったが、帰国初戦のジャパンCで圧勝。レース史上2位の単勝支持率70.1%、単勝1.2倍の断然人気で迎えた本番で、上がり3ハロン33秒8の豪脚。3馬身差の圧勝で史上最多タイのGI7勝目を上げた。

アラカルト

 ◆逃げ切り 1974年タニノチカラ、92年メジロパーマー、95年マヤノトップガン、2008年ダイワスカーレットに次ぐ5頭目。
 ◆ファン投票1位馬のV 投票結果が不明な1959、60年を除くと、13年オルフェーヴル以来の15勝目。得票率79.9%は歴代トップ。
 ◆武豊騎手 27度目の出場で史上最多タイの3勝目。いずれも引退レースでの勝利。3勝は他に岡部幸雄(引退)、田原成貴(同)、オリビエ・ペリエ=仏、池添謙一の4人がいる。JRA・GIは歴代1位の75勝目。2位は岡部幸雄の31勝。同重賞も歴代1位の323勝目。
 ◆1番人気 16年サトノダイヤモンドに次ぐ23勝目。

キタサンブラック

 父ブラックタイド、母シュガーハート、母の父サクラバクシンオー。鹿毛の牡5歳。栗東・清水久詞厩舎所属。北海道日高町・ヤナガワ牧場の生産馬。馬主は(有)大野商事。戦績20戦12勝。獲得賞金18億7684万3000円。重賞は2015年GIIフジテレビ賞スプリングS、GIIセントライト記念、GI菊花賞、16年GI天皇賞・春、GII京都大賞典、GIジャパンC、17年GI大阪杯、GI天皇賞・春、GI天皇賞・秋に次いで10勝目。有馬記念は、清水久詞調教師が初勝利。武豊騎手は1990年オグリキャップ、2006年ディープインパクトに次いで3勝目。馬名は「冠名+父名の一部」。

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