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2017.12.6 11:44

【佐藤洋一郎・馬に曳かれて半世紀(13)】ああ無情…

9番人気のネロが制した京阪杯。2着に6番人気、3着に14番人気が入り、3連単167万円の大波乱となった

9番人気のネロが制した京阪杯。2着に6番人気、3着に14番人気が入り、3連単167万円の大波乱となった【拡大】

 熱くて頑強で情が深い。それが秋田の県民性かどうかわからないが、北淳の競馬への熱烈さが鎮火する気配は、消防を定年退職した今もまるで見えない。自説、持論を頑として変えない強情さも、馬券的中で子供のようにはしゃいでおごる、気前の良さも。

 しかし、その自説を朝から強調しまくりながら、馬券をへぐったときの落胆のしかたもハンパなかったと、すぐ隣で渦中に飲まれた和算学者吉田が証言した。

 「よし、ネロ、いけ、いけ、ネロ、ネロ、皇帝ネロォ~! とったぁ~!!」

 「ほんとにすごかったですよ。声の大きさといい、剣幕、形相といい(笑)」

 その絶叫が数秒後にハタとやみ、この世の終わりに直面したかのような表情で、

「ない。ない。ロクが、ない。がぁぁぁ…」

 身ぶり手ぶりで京阪杯のその瞬間を再現する、吉田の熱演に宴席は爆笑せざるをえなかったが、そんな状況にもめげず、北淳はネロが栗東の重馬場の坂路で800メートル49秒3という猛時計を出していたこと、昨年(2番人気)このレースを勝った実績、実力の持ち主であるのに、人気がなさすぎたことを繰り返した。

 ならばなぜネロの単複を買っておかなかった、もっと手広く流さなかった、という突っ込みに、

 「下位人気の穴馬が絡むときの相手は、人気上位5頭で決まる確率が80%以上。だから5番人気まで馬単でもトッケン(1000円)勝負したんだよ。トータル50万円以上ゲットを確信して。チクショウ、なぜ6番人気が!」

  でも後輩の北さん(秋田出身?)は、しっかり6番人気の(6)ビップライブラリーも押さえていたんですよね。明日は運転(救急車?)があるのでと、酒を控えておとなしかった北淳の弟子の北が「これです…」と、財布から当たり馬券を取り出した。 

 馬連500円、馬単200円。頑鉄師匠と違い競馬歴1年未満の弟子は、ネロから新聞に印のついている馬に7、8点流していた。

単勝3690円。
複勝1160円。
馬連2万3390円。
馬単4万5190円。
3連複29万5980円。
3連単167万4510円。

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佐藤洋一郎(さとう・よういちろう)

 サンケイスポーツ記者。早大中退後、様々な職を転々とするなかサンスポの読者予想コンテストで優勝。71年にエイトの創刊要員として産経新聞社へ。サンスポの駆け出し記者時代に大橋巨泉の番記者に抜擢されたのが大きな転機に。季節・馬場・展開の3要素を予>想に取り入れ数々の万馬券をヒットさせ、鬼才と呼ばれる。

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