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2017.3.30 16:38

【リレーコラム】関西競馬エイト~惜別・由希子TM

 自分でつくった競馬の資料を持参して競馬エイトの門を叩き、「競馬が好き」の一念で臨床検査技師からトラックマンに転職したのが28歳のとき。あれから◯◯年が経過して3月31日をもちまして一度、人生をリセットすることにしました。

 競馬に興味がなくなったのではなく、もともとが馬以外にも「野生動物大好き人間」で、毎日のように「ナショジオワイルド」や「アニマルプラネット」でアフリカの野生動物の生態を見てきました。自分の体力と相談して、今ならまだ苛酷なアフリカンサファリの旅にも耐えられると思い、4月に入ってすぐにアフリカへ旅立ちます。この仕事をやってきて、人の都合で「疲れているけどもう1走使ってから放牧へ出そう」などのローテーションにした場合、馬は疲労が抜けるのが遅れ、帰厩した後もストレスで走らなくなるのを多々見てきました。決断は早く潔く!ということを学び、私も実行します。

 トラックマンは、休みがほとんどない1年の競馬サイクルの中で生活し、私はその中に北海道で行われる2月の種牡馬展示会、4月の北海道2歳馬牧場取材、4月の千葉サラブレッドセール、夏のセレクトセールを組み込んでいたので、1年がとても早く過ぎ去っていきました。10年前から「馬科学会」の会員になり、秋の学術集会で最新の馬の治療や海外のスペシャリストの先生方の招待講演などを聞くことで視野が広がり、ますます競馬にのめり込んでいったように思います。

 またトレセン近郊の育成場にもよくお邪魔させていただき、栗東入厩直前の状態も観察。さかのぼって→2歳の牧場時代→当歳のセリのときと今まで点だった馬が徐々に線へとつながっていく楽しさを覚え、2歳の春にグリーンウッドにやってきたカネヒキリなどは自分の子供のように感じ、レースでも喜怒哀楽をともにしていました。

 人間の医療の世界も目覚ましい進歩を遂げるのに平行し、馬の遺伝子分析、治療、育成の方法など日々進歩しています。馬の病気を学んで馬の痛みが少しでも分かるようになると、馬券の買い方が変わってきました。人気馬でもパドックでソエで歩様が悪くなれば馬券対象から外し、その馬が休養して改善されたときにピンポイントでゲット。ジャングルポケット産駒に多い背中が少しへこみ気味の骨格の馬は疲労が抜けるのが遅く、間隔が詰まってくると走らなくなります。ディープインパクト産駒のように蹄が薄くなるほど芝の高速決着に適していますが半面、エクイロックス(蹄充填剤)などの工夫が必要で、接着面の仕上がりなど細かいこともチェックします。

 馬にも感情があり、顔の各パーツ(目、耳、口)によく表れているのでそのサインをキャッチしてその馬の精神状態まで想像しながら馬券作戦を組み立てていくと勝率も上がります。イレ込む馬に対して人は直ぐに「気が悪い」と判断を下しますが、それは性格が悪いのではなく、痛みが原因で苦しがっているときの方が多い気がします。

 これからは馬だけではなく、多くの動物の痛みが分かるような人間になれれば…。自分の進む道の先にはきっと楽しいことが待っていると信じ、頑張っていきたいと思います。ファンのみなさんもお元気で。長い間おつき合いありがとうございました。

鈴木由希子(すずき・ゆきこ) 関西エイト時計班 

馬体派

本命

単複

プロフィル

取材班5年の後、栗東坂路調教担当へ。臨床検査技師出身で馬科学会の会員。現在は競馬BEATのパドック解説、ラジオ大阪の競馬解説で活躍中。

予想スタイル

競走馬を科学的に分析するのが得意で馬中心派。馬体から将来性を予測し、追い切りでは表情まで読んで体調を把握。力勝負になる阪神、京都が得意。