【ゴールドシップ最後の闘走】内田博、2年ぶり相棒の背中に感慨

2015.12.22 05:09

 GI6勝を誇るゴールドシップが、有馬記念(27日、中山、GI、芝2500メートル)でラストランを迎える。2年連続、ファン投票1位で選出された超人気馬だ。そこで、関係者にさまざまな思い出とともに今回のレースへの意気込みを4回にわたって語ってもらう。第1回は同馬にGI4勝をもたらした内田博幸騎手(45)=美浦・フリー。

 「久しぶりだね」。16日に滋賀県・栗東トレセンを訪れた内田騎手は、馬上からそっと声をかけた。2013年のジャパンC(15着)以来、約2年ぶりにまたがった芦毛馬ゴールドシップの背中。「本当に白くなったなあ」。感慨深くつぶやいた。

 最初にコンビを組んだ12年の共同通信杯(1着)から2年近く、内田騎手のジョッキー生活はゴールドを中心に回った。その間に皐月賞、菊花賞、有馬記念、宝塚記念とGIの勲章を4つ手にした。当時は圧倒的な強さを誇ると同時に、とにかくヤンチャだった。

 「自分が乗っていたときは身震いするくらい、やばかった。自由にさせると何をするか分からない。それに負けちゃいけないという気持ちで乗っていた」

 競馬場ではレース前、地下馬道を通って馬場入場させるだけでもひと苦労。「壁にでもぶつかっていくんじゃないかという雰囲気だった」。ときには声を張り上げて叱り、勝利者として帰ってくるとのどが枯れていることもあった。

 「自分が乗っていないときも、ノリちゃん(横山典騎手)とこの馬についていろいろ話した。ノリちゃんも大事に乗ってくれていたね」

 乗り替わりで外から見ている時期は2年続いたが、最後の最後に大役を任された。「騎乗を依頼されてうれしかった。久しぶりに乗れることも、騎手として認めてもらったということでも」。芦毛の相棒のラストラン。燃えないわけがない。

 2年ぶりのコンタクトとなった1週前追い切りは、栗東トレセンの坂路で2歳オープン馬アドマイヤエイカンに貫禄の2馬身先着。「ヤンチャぶりがおさまってきて、昔より大人になったかな」と以前との違いを口にした。ただ、「反応が良かったし、うまく体が使えている。ゴールドシップの動きだね」と年齢を重ねてもダイナミックな走りが変わっていないことも確認できた。

 内田騎手にとってゴールドシップは『絵になる馬』だという。「3歳時の有馬記念を勝ったときは芦毛だし、勝負服も赤と白。まるでサンタだからね」。当時は12月23日の開催。2日早いホワイトクリスマスを演じた。

 「勝っても負けても、これだけのファンが応援してくれる。それだけ魅了できる馬。気分良く走らせてあげたい」

 ファン投票では12万981票を集め、昨年に続いて堂々の1位。来年には種牡馬となる。あらためて手綱を取る内田騎手は、波瀾(はらん)万丈の“芦毛劇場”で最高のフィナーレを飾ろうとしている。

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内田 博幸(うちだ・ひろゆき)

 1970(昭和45)年7月26日生まれ、45歳。福岡県出身。89年に南関東の大井競馬でデビュー。2004年に初の地方全国リーディングを獲得し、06年には524勝を挙げて年間最多勝記録を樹立した。地方通算17680戦3153勝。08年3月にJRAに移籍し、09、10年にJRA賞最多勝利騎手を受賞した。21日現在、JRA通算7459戦928勝、重賞はGI11勝を含む41勝。愛称「ウチパク」。1メートル55、49キロ。血液型A。

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