千葉競輪の開設68周年記念『滝澤正光杯(GIII)』の決勝は最終日の17日に行われ、佐藤博紀(32)=岩手・96期=が、山中秀将のまくりに切り替えゴール前で差し切りV。次回は、11月9日からのいわき平(FI)に出場する予定。
500バンクでの最後の千葉記念を制したのは、今回が初の記念決勝だった佐藤博紀だった。最後方で周回を重ねたが、8番手の村上義弘が青板BSから上昇すると、「まだ早いからと一瞬迷ったけど、でも村上さんはグランプリを取っている選手だし、信じて付いていきました」と道中はピタリとマークした。
打鐘で長島-神山を受けた村上は、後方からまくり上げた山中に合わせて踏み上げる安定したレース運びを披露。最終的に村上は山中にまくられてしまったが、佐藤が山中に切り替えゴール前で捕らえることができたのは、勝負どころで前団にいることができたからだった。
「差せたか分からなかったけど、勝てて良かったです。ボクは流れが向いただけですが、やっぱり白のユニフォームに赤いパンツの選手の走りは違いますね。単騎なのに、積極的に動いて。ボクにはあの走りはできませんよ」
“直感”を信じたことで記念初Vを手にした佐藤だったが、単騎でレースを動かしたGP覇者の村上に尊敬の念を抱いていた。
「嫁が津田沼出身なので、千葉は冬季移動でもお世話になったことがある競輪場なんです。最後の500バンクでの記念で優勝できたのはうれしいです。でもまだFIで優勝したことがないので、まずはそこで勝てるように。そして上を目指して頑張っていきたいと思います」
さらなる飛躍を誓った佐藤の今後の走りから目が離せない。
◆熊谷俊人・千葉市長「屋内で板張りの250バンクにするのは、千葉市にとっても競輪界にとっても大きな挑戦。既存のファンの方が付いてきてくれないと事業として成り立たないし、成功するかどうかはファンの方にかかっていると思う。今後は、自転車スポーツに親近感と愛着を持ってもらえる場所にしていければ…。工事は年明け早々には始めたいと思っています」
《VTR》赤板で山中-海老根恵太-中村浩士-和田健太郎を降ろした村上義弘に佐藤、志村太賀が続く。打鐘で長島大介-神山雄一郎が叩き先行。6番手に下げた山中が最終2角からまくり上げ、合わせて3番手から踏み上げた村上を捕らえるが、村上後位から山中に切り替えた佐藤が差し切る。山中が2着で、後方から直線強襲した中村3着。
《12R・決勝》4車で結束する地元ラインが強力で、番手の海老根(写真)を中心に推す。準決勝(第12R)では、厳しい展開をしのいで2着。決戦を前に、確かな手応えをつかんだ。
単騎3人の先行は考えづらく、山中が長島を封じて出切ってしまえば番手で脚をためる海老根の出番。500バンクでの最後の千葉記念でVを飾る。中村へ車連単〔4〕〔2〕。
◆村上「石井君をもっと引き付けたかったが、内からも来ていたので…。自力」
◆中村「落ち着いて走れているし、状態はいいと思う。地元の3番手を回る」
◆神山「最近はいろいろ試していたが、その成果がやっと出てきた。長島君へ」
◆海老根「ラインのおかげだけど、日に日に調子も良くなっている。山中君へ」
◆和田「勝ち上がれなかった仲間の気持ちも背負って走りたい。地元4番手で」
◆志村「うまく反応できたと思うし、調子はいい。準決勝と同様に単騎でやる」
◆山中「千葉記念の決勝は初めて。最後に乗れて良かった。地元の先頭で自力」
◆佐藤「初めて記念の決勝に乗れてうれしい。調子はいいし、単騎で一発狙う」
◆長島「展開が向いたおかげだけど、感触も良くなってきた。流れ見て自力で」
《11R・特別優秀》好目標を得た伊勢崎(写真)が軸。近藤が別線を封じ、伊勢崎が番手から抜け出して準決勝で敗退した雪辱を果たす。車連単〔1〕〔9〕。
◆伊勢崎「近藤君を目標」
◆阿部「自力基本の競走」
◆河野「同県の杉森君へ」
◆小嶋「流れ見て自力で」
◆五十嵐「地元勢の後ろ」
◆佐藤「初連係の阿部君」
◆杉森「いつも通り自力」
◆伊藤「同県の小嶋君へ」
◆近藤「自力で勝負する」
《10R・特別優秀》新山(写真)の力が一枚上。日に日に調子を上げており、ここはペース駆けに持ち込み逃げ切る。竹内への車連単〔9〕〔2〕が一番手。
◆伊藤「自力基本に戦う」
◆竹内「新山君の番手で」
◆神田「三谷さんに任す」
◆志智「伊藤君を目標に」
◆山田「自力で勝負する」
◆森田「北3番手を回る」
◆三谷「流れ見て前々へ」
◆岩本「中部の3番手で」
◆新山「先行主体の自力」
主役を食らった。中団で脚をためた神山雄一郎(写真)が差し脚を爆発させて直線一気だ。地元の伊勢崎を引き連れて郡司が逃げを打った準決勝(第11R)。踏み上げた筒井と佐藤和が力尽きるや、神山は5番手から猛然と突っ込んで行った。
「余裕はあった。6番(佐藤和)の外を行ったら無理だから差し込んで。そうしたらコースが開いた」
人気を集めた伊勢崎ら南関勢を撃沈し、2車単2万円台、3連単16万円台の好配当を提供。スタンドは騒然となったが、検車場にもざわめきが起こる。観戦していた鈴木誠は、ともに一時代を築いた戦友を笑顔でねぎらうのだった。
鈴木「すごいね」
神山「この500バンクが最後になるから(決勝に)乗りたかった」
頼れる後輩とともに勝ち上がり、ファイナルも長島に託す。その長島は「貢献できるように」と腹をくくってレースに挑む。流れを手繰り寄せ、確かな手応えを得た輪界のレジェンドは口元が緩みっぱなしだ。
「突き詰めてきたことがようやく結果に表れてきたから。セッティングとかも。ちょっと前から(あたりは)出ていたけどね。やっと道が開けてきた」
記念優勝は昨年3月の静岡を最後に遠ざかっている。記念100Vの偉業達成へ、さらには自身が持つ最年長記念競輪優勝記録(47歳11カ月)更新へ。またとないチャンスが巡ってきた。
《ちゃりんこ探券隊》調子上向きの巴直也(写真)を狙う。「最近はレースでの感じも良くなってきたし、楽しみですね」と16日には笑顔で競輪場入り。
最終日第9Rで行われる『KEIRIN EVOLUTION』ではテオ・ボスが人気を集めるが、2着は展開次第で誰にでもチャンスはありそう。
「カーボンフレームは流れる感じがするし、500バンクでも駆けるつもりでいた方がいいと思う。力を出し切って頑張ります」と気合を入れていた巴の2、3着を狙いたい。
「(稲毛)健太は早めにいいペースで上げて行った。(踏み上げてきた)桐山に当たって車間を切ってタイミングを取ろうと思ったときに内も見えたので。(まくってきた)石井秀治を引きつけてからと思ったけど。(番手から出て行ったので)強引になりました。この500バンク最後の記念を見てくださる皆さんがいるので、少しでもいいレースを…と。自分は目の前の一戦一戦を頑張るだけです。(決勝は)自力で」
地元からは中村浩士(写真)をはじめ、海老根恵太、伊勢崎彰大、石井秀治、和田健太郎、近藤隆司、山中秀将と看板レーサーが参戦。
中村と海老根はベテランの域に達しても元気いっぱいで、ともに9月にはGIII松戸記念でV争いを演じている。伊勢崎は夏場に入って調子を上げ、今では112点台の競走得点をキープ。9月に富山FIで優勝を飾り、波に乗って地元記念を迎える。石井と和田も好調で、今期はグレード戦においても数多く見せ場を作っている。近藤と山中はコンスタントに連対を果たしており、タテ攻撃の破壊力は相変わらずだ。ラインをリードする石井、近藤、山中が踏ん張れば、中村、伊勢崎、海老根ら追い込み陣が恵まれる。
昨年のGPチャンプ・村上義弘からも目が離せない。負傷(左鎖骨骨折および左肋骨骨折)で1カ月以上も戦線を離れたが、8月のGIII向日町記念で復帰するや2勝を挙げて健脚ぶりを見せつけた。ここでは稲毛健太に乗って上位に進出してくる。
SS戦士・岩津裕介もV争いに加わる。先のGI寛仁親王牌では流れが向かず苦戦を強いられたが、広く大きな千葉バンクなら差し脚を存分に発揮できそう。今シリーズは原田研太朗と乗り合わせる確率も高く、チャンスはふくらむ。原田にしても長走路では主武器のまくりが生きてくる。
勢いがある新山響平、その新山に乗る菅田壱道や竹内智彦、粘り強靱な竹内雄作、しぶとく食い下がってくる神山雄一郎、混戦に強い井上昌己も怖い存在だ。
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