飯塚オートの『特別ＧＩ共同通信社杯プレミアムカップ』は２１日、第１２Ｒで優勝戦（１着賞金６００万円）が行われ、青山周平（３６）＝伊勢崎３１期＝が荒尾聡、有吉辰也らとの大激闘を制して優勝。大会２度目、通算１５度目のＧＩ制覇を果たし、年末に行われるスーパースター王座決定戦トライアル出場ポイント１０点を獲得した。荒尾は惜しくも２着。３着には最後に伸びた木村武之が入った。

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　◆青山周平「スタートは（時計を）見過ぎてしまった。でも、エンジンもタイヤも良くて、追い上げていけた。先頭に立ってからは滑って張ったりしてしまい、荒尾さんにまくられかけたけど、何とかしのげました。うれしいけど、もっとクリーンなレースをしたかった」

　川口オートの『サンケイスポーツ杯・ＧＩ開設６９周年記念グランプリレース』は、７日の第１２Ｒで優勝戦（Ｖ賞金３００万円）が行われ、トップスタートを決めた有吉辰也（４４）＝飯塚２５期＝が逃げ切って大会初Ｖ。２０１８年４月の山陽・平成チャンピオンＣ以来、３年ぶり１４度目のＧＩ制覇を果たした。大会連覇に挑んだ若井友和は２着で、２５期のワンツー。３連単６万円台の波乱の決着となった。青山周平は追撃及ばず３着。完全Ｖを狙った鈴木圭一郎は５着に敗れた。

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　“カミソリスタート”の異名をもつ有吉が、ここ一番で本領を発揮した。

　無観客開催となった６９周年記念グランプリレース。オールＳ級で１０メートル・オープンでの優勝戦は、トップの飛び出しを決めた有吉が、同期若井の追撃をしのいで８周回を逃げ切った。

　「スタートが切れたことが大きい。０メートル・オープンかと思っていたけど、１０メートル・オープンになったので欲が出ちゃいました（笑）。黒ちゃん（黒川）が試走であまり良さそうじゃなかったので、スタートは２番手でもいいかな…と冷静になれた。道中は誰かが後ろにきているのは分かっていたけど、小さく走ったほうがいいエンジンだった」

　勝因として、持ち味のスタートを挙げるとともに、「ＶＴＲを見てもワカ（若井）より伸びていましたね」とマシンの仕上がりの良さを強調した。

　ただ、仲間たちへの感謝の言葉も忘れない。

　「初日に落車したので周りの人たちに手伝ってもらい、エンジンとフレームを整備しました。跳ねもなくなって乗りやすくなってくれた。けがの功名というんですかね」

　次走は地元の飯塚で行われる特別ＧＩプレミアムカップ（１７～２１日）。「いつも外来勢に（優勝を）持っていかれて施行者に怒られているので、次も頑張ります」と表情を引き締めた。

　最高の結果を残した有吉が、弾みをつけて地元に凱旋（がいせん）する。（佐藤雄二）

　浜松オートの『ＳＧ第３４回全日本選抜オートレース』は２３日の第１２Ｒで優勝戦が争われ、７周１角で先頭に立った荒尾聡（３９）＝飯塚２７期＝が１着。２０１９年オールスターに続く当地ＳＧ連覇で通算５度目のＳＧ制覇を達成し、賞金１３００万円と年末に川口で開催される『スーパースター王座決定戦』トライアルの出場権を獲得した。鈴木圭一郎は追撃及ばず２着に敗れ、大会５連覇はならず。グランドスラムを狙った青山周平は３着に終わった。

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　まさに会心の走りだ。人気を集めた２人を破り、荒尾が全日本選抜初制覇を果たした。スタートは５番手だったが、１周３角で鈴木圭と木村をかわして３番手に浮上。前を走る青山と伊藤信を追い詰めると、７周１角で２車をまとめて抜き去り、独走でゴールを駆け抜けた。

　「僕が一番エンジンがいいと思ったので、チャンスをうかがっていた。（青山）周平が（伊藤）信夫さんを警戒して懐が甘くなったので、いきました。ああいう展開は何度か経験していたので、うまくハマりました」

　的確な自己分析と判断力。経験値を積んでレーサーとして成熟した荒尾は、速攻だけでなく、追い上げても強いことを証明した。

　「今まではがむしゃらにやってきたけど、エンジンの作り方にしても走りにしても、冷静になれてきた」

　勝負強さにも磨きがかかった飯塚のエースは、誰よりも早く年末のスーパースター王座決定戦のトライアル出場権をゲット。「年の初めにスーパースターは意識するので、この勝利でアドバンテージになります。心に余裕ができた」とうなずいた。

　実は、荒尾にとって前検日の１８日が９回目の結婚記念日。「嫁さんにいいプレゼントができました」と記憶に残る大会になったが、すぐに表情を引き締めた。

　「勝ったあとが大事。波が少なく買いやすい選手を目指したい。一度リフレッシュして次を頑張りたい」

　次走は地元・飯塚での特別ＧＩプレミアムカップ（３月１７～２１日）。今年のＳＧ開幕戦を制した荒尾が、勢いを増して地元に凱旋（がいせん）する。（佐藤雄二）

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■荒尾聡（あらお・さとし）１９８１（昭和５６）年６月２８日生まれ、３９歳。福岡県出身。飯塚所属。２００１年４月に第２７期生として登録され、同期には早船歩、加賀谷建明（ともに川口）、重富大輔（飯塚）、前田淳、角南一如（ともに山陽）らがいる。全日本選抜は初制覇で、ＳＧは０７、１９、２０年オールスター、１７年ＳＳ王座決定戦を合わせて５度目のＶ。ＧＩ１０Ｖ、ＧＩＩ８Ｖ。通算８３０勝、６３Ｖ。１７０センチ、６０キロ。血液型Ｂ。

　伊勢崎オートの『サンケイスポーツ杯ＧＩＩレジェンドカップ』は１４日、第１２Ｒで優勝戦（優勝賞金１６０万円）が行われ、高橋貢（４９）＝伊勢崎・２２期＝が大会３連覇を達成。通算２６度目のＧＩＩ制覇を果たすとともに、自身が持つ歴代最多優勝記録を『２０９』に伸ばし、通算１５００勝にも王手をかけた。

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　スタートは６番手ながらも、素早い仕掛けで高橋は２番手へ上昇。「道中ロスがなく上がっていけたし、展開が良かった」。先に抜け出した松尾を７周１角で捕らえて先頭に立ち、３連覇のゴールを駆け抜けた。

　準優勝だった３年前のこの大会で、最後に差された相手が松尾。「借りを返せたかな。次は４連覇だね」と会心のレース内容を自画自賛した。

　「うまくいくときはこんなもの。この流れを崩さないように大事にして、ＳＧでもいい走りを見せたい」

　今年に入り、ＧＩ、ＧＩＩと立て続けにグレードレースを制覇。復活を遂げた王者が、次のターゲット・浜松ＳＧ全日本選抜オートレース（１９～２３日）での好走を誓った。（佐藤雄二）

　飯塚オートの『ＧＩ開設６４周年記念レース』は２４日、第１２Ｒで優勝戦（優勝賞金３００万円）が行われ、高橋貢（４９）＝伊勢崎２２期＝が快勝。飯塚将光（引退）の持つ歴代最多記録に並ぶ通算２８度目のＧＩ制覇を果たした。

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　５周３角で平田をかわしての金字塔。「最高ですね。まさか（飯塚）将光さんの記録に並べるとは…」と感慨深げだ。２日目の後にフレームを換えたことが奏功。「気持ち良く開けられたので、抜かれることはないと思った」と自信満々にぶっちぎりのゴールを駆け抜けた。

　「（伊藤）信夫君がグランプリを優勝して刺激をもらった。こんな年齢の人が頑張れば面白くなる。この優勝で自信にはなるよね」

　浜松ＳＧ全日本選抜（２月１９～２３日）を次のターゲットに定めた王者は、これからも進化し続ける。（佐藤雄二）

　伊勢崎オートの『ＧＩ開場４４周年記念シルクカップ』は１１日、第１２Ｒで優勝戦（優勝賞金３００万円）が行われ、青山周平（３６）＝伊勢崎３１期＝が快勝。地元・伊勢崎では初＆通算１４度目のＧＩを完全Ｖで飾り、廃止となった船橋を含む全６場でＧＩ制覇を達成した。

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　会心のＳが決まり、４周１角で三浦をかわして先頭に立って完勝した青山周。「すごくいいスタートが切れた。車もタイヤも良く、試走も上がりタイムも自己ベストが出せた」。完調に仕上がったマシンを駆使して完全Ｖを成し遂げた。「（全場ＧＩ制覇は）意識はしていなかった。特別賞がもらえるのならうれしい」と満面の笑みだ。

　「年末からいい流れが続いて、これ以上の結果はない。次の川口（２５～２７日）は、また気持ちを入れ替えて頑張ります」

　“初笑い”を決めたナンバーワンレーサーが、今年もオート界をリードする。（佐藤雄二）

　川口オートの『ＳＧ第３５回スーパースター王座決定戦』は３１日の第１２Ｒで争われ、青山周平（３６）＝伊勢崎・３１期＝が１０周回を逃げ切って２年連続３度目の大会Ｖ＆通算８度目のＳＧ制覇を達成。賞金３０００万円を獲得し、前年に続く３度目の賞金王に輝いた。ゴール前で内から際どく迫った鈴木圭一郎は惜しくも２着。３着には荒尾聡が入り、２年連続でファイナルに挑んだ女子レーサー佐藤摩弥は８着に敗れた。

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　午前１１時３７分に、早くも入場制限の５０００人に達した川口オート・２０２０年最後の大一番。１枠からトップで飛び出した青山が１０周回を逃げ切り、堂々の連覇を達成した。

　「試走から自分のグリップで突っ込むと跳ねてしまっていた。勝てて気持ちはうれしいけど、ちょっと格好が悪かったかな」

　足回りが万全ではない中でも、スタートを切った後は「締めるしかない。できるところまで頑張ろう」と作戦を立てた。アウトから鈴木圭、インから荒尾のプレッシャーを受ける展開。走りながら「プチパニックの状態だった」と回顧し、負けたくないという思いから荒々しい走りになったことへの反省も口にしたが、「車券を買ってくれたファンに応えられてよかった。今までのレースの中で一番必死でした」。最高峰の８人による激闘を制したことが何よりの喜びだ。

　ＮＯ．１レーサーとして好調を保ち、グレードレースやＳＧでは、優勝できなくても安定した戦績を残した。夏場にはスーパーハンデでＧＩＩ川口記念を含む４連続Ｖを飾るなど、自己記録を更新する年間１３Ｖを達成。「スーパーハンデで戦ったことが生きている。うれしいし、名誉なことなので」。厳しい展開を乗り越えてさらなる進化を遂げ、２０２０年を締めた。

　「整備も走りも粗削りだったけど、失敗を経験してミスを繰り返さないように先輩方を見て勉強した。これからは見られる立場なので、人として成長したい」

　激動の１年を駆け抜けた青山。王者としての自覚も芽生え、今年もオート界をリードしていく。（佐藤雄二）

■青山周平（あおやま・しゅうへい）　１９８４（昭和５９）年１２月５日生まれ、３６歳。千葉県出身。ロードレース出身で、オートレースは特例枠で合格し、２０１１年７月に第３１期生として選手登録。同期には佐藤摩弥、岩田裕臣（ともに川口）、丸山智史（山陽）らがいる。ＳＧは１５、１９年ＳＳ王座決定戦、１６年オールスター、１８、１９年オートＧＰ、１８、１９年日本選手権と合わせて８度目の制覇。ＧＩ１３Ｖ、ＧＩＩ６Ｖ。通算５６６勝、６０Ｖ。１６３センチ、５３キロ。血液型Ｏ。

　山陽オートの『ＧＩ第５５回スピード王決定戦』は２０日、第１２Ｒで優勝戦（優勝賞金３００万円）が行われ、木村武之（４３）＝浜松２６期＝が０メートルオープンの３枠からトップの飛び出しを決め、８周回を逃げ切って快勝。大会３度目、通算１６度目のＧＩ制覇を果たした。鈴木圭一郎が２着に入り、青山周平は３着に敗れた。

　◆木村武之「きつかった。１コーナーでかぶされそうになったけど、持ちこたえられた。（鈴木圭が猛追して）ずっとプレッシャーがかかっていたが、インを大事に走っていれば抜かれないだろうと思っていた。８周戦になるのを想定して微調整して、エンジンの状態は良かった。今年はＳＳ（スーパースター王座決定戦）には乗れないけど、一生懸命やって来年はＳＳに出られればいいですね」

　飯塚オートの『ＧＩＩオーバルチャンピオンカップ』（優勝賞金１６０万円）は９日、第１２Ｒで優勝戦が行われ、鈴木圭一郎（２６）＝浜松３２期＝がオープンの５枠からトップの飛び出しを決め、８周回を逃げて完勝。自己最高タイムを更新する３秒２９５をたたき出し、大会初＆通算３度目のＧＩＩ制覇を果たした。２着は早川清太郎、３着には滝下隼平が入った。

　鈴木圭一郎「うれしい。それ以外ないです。準決勝はフロントに違和感があって大きく走れなかったので、反省点しかなかったけど、優勝戦はフロントタイヤが見つかって、ずっと大きく走ることができた。仕上がりは完璧でした。今までで一番のタイムが出せて最高です。このいい流れで年末のＳＳ（スーパースター王座決定戦、２７～３１日、川口）まで、しっかりやり続けます」

　浜松オートの『サンケイスポーツ杯・ＧＩ第６２回秋のスピード王決定戦』は２３日、第１２Ｒで優勝戦（優勝賞金３００万円）が行われ、鈴木圭一郎（２５）＝浜松３２期＝が、ゴール寸前で高橋貢を強襲して僅差かわし、大会３連覇を達成。通算１２度目のＧＩ制覇を果たした。

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　劇的な勝利だった。最後の直線、前を走るのは王者・高橋、必死に追うのは鈴木圭。「ゴールした瞬間は届いていないと思ったので喜べなかった。１０周欲しいと思った」。それでも、写真判定の結果、僅差の勝負を制したのは、外から差した鈴木圭だった。

　「朝練習から接地感が出ていた。試走も手応えがあって、『これで負けたらどうしよう』っていうぐらいの、いい動きでした」。３日目終了後の部品交換で、納得のマシンに仕上げてのＶだ。

　「このあとＧＩＩ、ＧＩと続くけど、年末のスーパースターを見据えながら整備を考えたい」

　節目の通算５００勝に加えて新婚初Ｖ、そして大会３連覇と記憶に残る開催となった今回を経て、圭一郎がさらに勢いを加速させる。（佐藤雄二）

　川口オートの『ＳＧ第５２回日本選手権オートレース』は３日、第１２Ｒで優勝戦（１着賞金１７００万円）が争われ、元ＳＭＡＰの森且行（４６）＝川口２５期＝が悲願のＳＧ初制覇。１９９７年７月のデビューから２４年目、４度目のＳＧファイナルで“オートレース日本一”の称号を手に入れた。２着は金子大輔、３着は高橋貢。試走一番時計で圧倒的な人気を集めた鈴木圭一郎は、荒尾聡（妨害）とともに落車した。

　

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　ついに夢が実現した。６周４角で先頭に躍り出た森が、金子の追撃を振り切って歓喜のゴール。ＳＧ４度目の優出、それも日本選手権というビッグタイトルを獲得した。

　「まだ実感は湧かないです。見せ場をつくるには、トップか２番手に出るしかないと思っていた。最後まで（スタートの）練習をして、自信はありました」

　この日も８Ｒの発走前まで練習した成果が出て、スタートタイミングは０１。７枠から２番手に飛び出す速攻だった。道中で荒尾にさばかれて３番手に後退したが、「抜かれてからは切り替えて、滑らせないように走りました」と冷静さを保った。

　そんな森に運が味方する。先頭争いをしていた荒尾と鈴木圭が６周３角で接触して落車。一躍、先頭に立った。「最後の２周は滑ってむちゃくちゃなコースを走っていたけど、一番欲しかったタイトルが取れた」。デビュー２４年目で初のＳＧ制覇に興奮を隠さない。

　幼少の頃、父に連れられて憧れたオートレーサーへの道。華やかな芸能界からの転身は大きな話題を呼んだ。人気と実力を兼ね備え、ＧＩも２度優勝したが、ＳＧには縁がなかった。「４０歳を超えたあたりから（ＳＧ制覇は）『絶対に無理だろう』と思っていたけど、諦めてはいなかった」。新人にも負けないほど整備と練習に取り組む姿勢は今も変わらない。約４キロも減量して臨んだ地元ＳＧで「絶対日本一になる」という信念が結実し、感極まるシーンもあった。

　「やっと“約束”が果たせた。昔の仲間たちに伝えたい」

　エールを交わし合った元ＳＭＡＰのメンバーにも喜びを伝えた。実力日本一を決める一戦を制した森は、年末のスーパースター王座決定戦（１２月２７～３１日、川口）のトライアル進出も決定した。

　「１つだけじゃなく２つ、３つ（ＳＧを）取りたい。今まで通りに練習と整備をやり続けます」

　冷静さを取り戻し、次なる目標を口にした。芸能界のスーパースターからオートレース界のスーパースターへ。これからも、森はひたむきに大好きなオートレースと向き合う。（佐藤雄二）

■森且行（もり・かつゆき）　１９７４（昭和４９）年２月１９日生まれ、４６歳。東京都足立区出身。９７年６月に２５期生として選手登録され、同期には永井大介、若井友和（ともに川口）らがいる。ＳＧ優勝は今回が初。ＧＩは２Ｖ、ＧＩＩ３Ｖ。通算６７６勝、３２Ｖ。１７７センチ、５９キロ。血液型Ｂ。

　山陽オートの『ＧＩＩ若獅子杯争奪戦』は１８日、第１２Ｒで優勝戦（Ｖ賞金１６０万円）が行われ、鋭い飛び出しを決めた丸山智史（３３）＝山陽３１期＝が７周３角で先頭に立って快勝。大会、ＧＩＩともに初制覇を果たした。

　２０線からトップで飛び出した丸山が、着実に前団を捕まえ、鈴木圭と青山を寄せ付けなかった。

　「勝因はＳ。先頭に立ってからあと１周は、“誰も来ないで”と思いながら走っていました」

　待望のグレードレース初制覇。「（丹村）飛竜さんが調子悪かったし、地元のＳ級として頑張らなきゃいけんと思っていました。地元で勝てたのがうれしい」。しかし、浮かれる様子はない。「少しでも青山と圭一郎に近づきたい。もっとうまくなりたいだけ」とさらなる進化を誓っていた。（佐藤雄二）

　浜松オートの『ＧＩＩウィナーズカップ』は４日、第１２Ｒで優勝戦（Ｖ賞金１６０万円）が行われ、木村武之（４３）＝浜松２６期＝が速攻を決めてＶ。大会初制覇を飾るとともに、通算１２度目のＧＩＩ優勝を飾った。

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　１０メートル・オープンのスタートは５番手だった木村が、展開を突いて素早くインに潜り込む巧みなレース運びを披露。「スタートは（佐藤）貴也に出られたけど、うまくインで我慢して展開を作れた」。３周１角で先頭に立って佐藤貴也との争いを制した。

　「後半ペースが落ちて、最後は際どかったけど、勝ててよかった。地元の浜松で優勝できたことが、（レースの）グレードに関係なくうれしい」。いつもは冷静な男が熱く語る。「これからＳＧとか大きなレースがありますけど、次の浜松普通開催（８～１０日）でまずは頑張りたい」。グレードレース戦線での活躍を誓いつつ、ひたむきに仕事に向かい合う。（佐藤雄二）

　山陽オートの『特別ＧＩ共同通信社杯プレミアムカップ』は２３日、第１２Ｒで優勝戦（１着賞金６００万円）が行われ、早川清太郎（３８）＝伊勢崎２９期＝が全国ランクＮＯ．１の青山周平を７周１角でさばき、大会初制覇を完全Ｖで達成。通算８度目のＧＩ優勝を飾り、年末に行われるスーパースター王座決定戦トライアル出場へのポイント１０点を獲得した。人気の青山は２着に敗れ、３着には篠原睦が入った。

　◆早川清太郎「今回は１２Ｒを走っていなかったのでエンジンは未知数だったけど、ヘッド回りの調整でうまく合わせられた。２周目くらいまでは青山選手に離されたけど、だんだんと付いていけるようになったので、チャンスがあれば、と思っていた。（７周１角は）ちょうどタイミングが合ったので、思い切り行きました。いつも負けている青山選手に勝てて、年末の開催（ＳＳ王座決定戦）にもつながったと思うので、正直うれしいです」

　伊勢崎オートの『ＧＩ第２７回ムーンライトチャンピオンカップ』は１３日、第１２Ｒで優勝戦（Ｖ賞金３００万円）が行われ、小林瑞季（２９）＝川口３２期＝がトップの飛び出しを決めて、８周回先頭を譲らずに逃げ切り。大会＆ＧＩともに初Ｖを飾った。２着は吉田恵輔が入り、人気の青山周平は吉田に抜き返されて３着に敗れた。

　◆小林瑞季「まだ信じられないけど、うれしいです。前のレースを見ていても、Ｓで勝負が決まると思っていました。トップスタートだったので、ここでチャンスをものにできなかったら、一生取れないと思い、懸命に走りました。人生で一番長く感じた２分でした。今節は目標だったＧＩ優出ができ、優勝という最高の成績を残せました。まぐれと思われないように、これからも集中して頑張ります。次の山陽プレミアムカップ（特別ＧＩ、１９～２３日）でも、やる気、元気、瑞季で真剣勝負します」

　川口オートの『ＧＩ第４４回キューポラ杯』は３０日、第１２Ｒで優勝戦（Ｖ賞金３００万円）が行われ、鋭く追い上げた早川清太郎（３８）＝伊勢崎２９期＝が８周１角で先頭に立って快勝。大会初Ｖを飾るとともに、通算７度目のＧＩ制覇を果たした。速攻で展開を作った中村友和が２着。３着には木村武之が入り、人気の鈴木圭一郎は４着に敗れた。

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　早川が１０メートル・オープンのスタート６番手から周回ごとに着実に追い上げ、最終１角で逃げる中村友を捕まえて快勝した。

　「やっと取れました。キューポラ杯は過去に２着が３度あり、悔しい思いをしてきたので、取れてうれしいです。他場のＧＩは初めて勝てたので、地元で勝つのとは違う格別な思いがありますね」。いつもは冷静な男が、興奮を隠さずに勝利の喜びを語る。

　今年はここまで仕上げに苦労していたが、「部品を換えて今節は初日からいい感じで、フィーリングが良かった。自分さえミスしなければ、チャンスはあると思っていました」と立て直しに成功。ファイナルでも「なるべくタイヤを使わないように、滑らせないように走りました。前の人が滑らせたりしていたので、先頭に立てた」と落ち着きはらった攻めが際立った。

　「あとはもう一つ上のタイトルを勝てるように、頑張ります」

　復調した早川が待望のＳＧ制覇を誓い、これからも誠実に仕事に向き合う。（佐藤雄二）

　伊勢崎オートのナイターＳＧ『第２４回オートレースグランプリ』は、１５日の第１２Ｒで優勝戦が争われ、６周１角で先頭を奪い返した伊藤信夫（４７）＝浜松２４期＝が大会３度目、ＳＧは２００７年の全日本選抜以来、１３年ぶり５度目となるＶを達成。賞金１３００万円を獲得し、年末に川口で開催されるスーパースター王座決定戦トライアルの出場権を７年ぶりに手にした。有吉辰也は惜しくも２着。２３年ぶりのＳＧ単独最重ハンＶを狙った青山周平は３着に敗れ、大会Ｖ３を逃した。

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　ベテランが久々の美酒に酔った。１周３角で先頭に立った伊藤が、５周３角で差し返してきた有吉を６周１角で再逆転し、レース後半は独走。２００７年の全日本選抜（川口）以来、約１３年ぶり、通算５度目のＳＧ制覇を果たした。

　「取れちゃいましたね。まだ、ふわっとしちゃっています」

　デビューから２５年が経過した熟練の巧者も、さすがに興奮を隠し切れない。しかし、レース運びはクールだった。「途中で有吉君にやられちゃったんですけど、冷静になれて抜き返せた。そこからまたペースを上げられた。地元で良かったタイヤのおかげです」と満面の笑みだ。

　今年ここまで３Ｖと復調が著しい。その背景には謙虚な姿勢があった。タイヤやマフラーが換わり、レースのスタイルも変化。「昔のままでは駄目だ」と若手のレースを見て学び、乗り方やフォームを変えた。

　実績におごらず、時代に沿うことを意識。「結果が出たのが何よりもうれしい」。努力が実を結び、ビッグタイトルを手にした喜びにあふれたが「（青山）周平君なんかは、あの位置（スーパーハンデ）で走っているんだからすごい。きょうは勝たせもらったけど、並んで勝てるレベルじゃないので」と謙虚さは忘れない。その気持ちがまた今後のタイトル獲得につながるはずだ。

　「スタートも勝負どころで勝負できたのが大きい。今まで良くなかった夏場にこういう結果が出せたので、ホッとしています。とりあえず、次の目標は考えられない。今はこの喜びに浸りたい」

　３・２８４秒のレコードタイムを持つ日本最速レーサーが見せた鮮やかな復活劇。今後もＳＧ戦線で活躍していくに違いない。（佐藤雄二）

■伊藤信夫（いとう・のぶお）　１９７２（昭和４７）年９月１７日生まれ、４７歳。静岡県出身。９５年登録の第２４期生で、同期には浜野淳（山陽）、山田真弘（川口）らがいる。オートＧＰは９９年、２００３年に続く３度目の制覇で、０２年オールスター、０７年全日本選抜を合わせてＳＧは５度目のＶ。ＧＩは７Ｖ、ＧＩＩ９Ｖ。通算１０１６勝、８６Ｖ。１７０センチ、５２キロ。血液型Ｂ。

★３着青山３連覇逃す…大会３連覇＆２３年ぶりのＳＧ単独最重ハンＶを狙った青山周平（伊勢崎）は、７車の１０メートル後方から追撃及ばず３着に敗れた。「１０周では足りなかった。あと２周あれば…」と悔しがったが、「車は自分が一番強めだと思えた」と仕上がりは万全だった様子。「序盤でうまく立ち回れなかった反省はあるけど、これだけ走れたら上出来でしょう」。敗れはしたが真夏のＳＧをスーパーハンデで戦い抜き、やり切った表情だった。

【レースを終えて…】
◆有吉（２着）「命綱のＳが行けた。１回は（差しに）いかないとと思った」
◆永井（４着）「有吉君のところはチャンスがあったけど、伸び負けていた」
◆佐藤貴（５着）「試走は半端なく良かったが、レースの時間は重くなっていた」
◆内山高（６着）「自分なりにやれることをやっていった。いい勉強になった」
◆高橋貢（７着）「エンジンが早めにいっぱいになり、まともに走れなくなった」
◆金子（８着）「リングを換えたが重くて進まない。戦える機ではなかった」

　地元エースが貫禄の走りでＶ－。飯塚オートの『ＧＩ第６３回ダイヤモンドレース』は２６日、第１２Ｒで優勝戦（Ｖ賞金３００万円）が行われ、好ダッシュを決めた荒尾聡（３９）＝飯塚２７期＝が５周１角で先頭に立って押し切り快勝。２００６年以来、２度目の大会Ｖを飾るとともに、通算１０度目のＧＩ制覇を果たした。イン先手から粘った中尾貴志が２着。３着には岩見貴史が入った。

　◆荒尾聡「スタートを決めて、１周３角でうまく潜り込めたのが勝因です。必ず勝つ気持ちで来ていた。エンジンは準決勝のままで、評判のいいタイヤに換えた。今回はいっぱいのお客さんの中で勝てたのがうれしいです。（４月の当地）オールスターは優勝できたけど、無観客だったので。このあとは山陽の普通開催があるけど、（８月１１日開幕の伊勢崎）オートＧＰへ弾みがつきました」

　山陽オートの『ＧＩＩ第４回山陽王座防衛戦』（優勝賞金１６０万円）は１２日、第１２Ｒで優勝戦が行われ、有吉辰也（４４）＝飯塚２５期＝が速攻を決めて押し切り圧勝。大会初＆通算７度目のＧＩＩ優勝を飾った。２着には角南一如、３着には岩見貴史が入った。

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　有吉が１０線の外めから好スタート。２周２角で先頭に立つと後続を引き離す一方で、ぶっちぎりのゴールを駆け抜けた。

　「スタートはそこまで切れなかったけれど、うまく展開が作れた。車は準決勝よりも感じが良かったので、晴れでも楽しみのある仕上がりでした」。機力の上積みに成功して表情も緩む。

　前回のＧＩ令和グランドＣＣが準Ｖ、そして今回のＧＩＩは優勝。「いい流れが来ていますね。地元でＧＩダイヤモンドレースも控えているし、一走一走、いい着が取れるように頑張るだけ」。あくまで自然体なスタイルは変わらずに、これからも白星を積み重ねる。（佐藤雄二）

　全国ランクＮＯ・１が貫禄のＶ－。川口オートの『ＧＩＩ川口記念』は２８日、第１２Ｒで優勝戦（Ｖ賞金１６０万円）が行われ、青山周平（３５）＝伊勢崎３１期＝が永井大介とのデッドヒートを制してＶ。スーパーハンデを見事に克服し、大会初＆通算６度目のＧＩＩ優勝を飾った。２着は永井、３着には若井友和が入った。

　◆青山周平「（スーパーハンデのＶは）とても信じられない。一生思い出に残るレースだった。スタートから集中して、行けるところを見定めていた。先頭に立ってからも、永井さんが意地でも抜いてくると思ったので警戒していた。エンジンは最高でした。次回からはようやくお客さんを入れてのレースになるので、一生懸命頑張ります」

　山陽オートの『ＧＩ第１回令和グランドチャンピオンカップ』（優勝賞金３００万円）は１７日、第１２Ｒで優勝戦が行われ、長田恭徳（２５）＝山陽３２期＝が速攻を決めて押し切りＶ。ＧＩ初優出制覇と通算１００勝をダブルで達成した。

　

◇

　１０線トップの飛び出しを決めた長田が、１周３角で迷いなく飛び込むと、そのまま先頭を譲らず、ゴールを駆け抜けた。

　「びっくりですね。スタートは目いっぱい切った。無心で走れた」。２０１３年７月にデビュー。これまで僅か優勝１回の新鋭が、初のＧＩファイナルでいきなりチャンスをものにした。

　「グレードレースを取れると思っていなかったけど、機とタイヤを作って、展開を作れば逃げ切れることが分かった。少し自信になった。これからは記念レースをいっぱい取りたい」

　栄えある初代覇者に輝いたイケメンレーサーは「令和では山陽の顔になれるように。先輩たちに負けないように頑張ります」とさらなる飛躍を誓っていた。（渡辺寿輔）

　浜松オートの『ＧＩ開場６４周年記念ゴールデンレース』（優勝賞金３００万円）は３１日、第１２Ｒで優勝戦が行われ、鈴木圭一郎（２５）＝浜松３２期＝が速攻を決めてＶ。２０１６年以来、４年ぶり２度目の大会制覇を果たすとともに、通算１１度目のＧＩ優勝を飾った。２着は青山周平、３着には松山茂靖が入った。

◇　◇

　１０線から一気に飛び出した鈴木圭が２周１角で先頭に立ち、独走に持ち込んだ。

　「スタートは今節の中で一番切れた。クラッチ一式を換えて、あんなに切れるとは思わなかった」

　ここ一番で会心のスタートを決めて、青山との２強対決を制した。

　「晴れのエンジンじゃなかったけど、ペースは良かった。自分らしく大きなコースを走れた。優勝戦でこんなにスカッと乗れたのは久しぶりです」

　雨上がりの不安定走路で、破格の上がりタイム３秒３２８をマークした。これで川口普通開催、前節の当地普通開催に続いて３場所連続Ｖを達成。新車を投入した前節は優勝を飾りながら、今節は『カルマ３Ｋ』に乗り戻ったのが正解だった。

　「最近の中では出来過ぎです。この流れを崩さず、どこまでもいいリズムでいきたい」

　今期は３年ぶりにＳ－１から陥落した圭一郎だが、勢いをさらに加速させて反撃モードに突入する。（渡辺寿輔）

　伊勢崎オートの『ＧＩＩ稲妻賞』は１７日、第１２Ｒで優勝戦が行われ、青山周平（３５）＝伊勢崎３１期＝が５周１角で先頭に立ち押し切りＶ。大会連覇を飾るとともに、通算５度目のＧＩＩ優勝を飾った。なお、高橋貢は落車となった。

　◆青山周平「スタートはよく切れた。道中審議になったのは反省しなくちゃいけないが、何とか先頭に立てた。最近はずっと安定した感じなので、この状態を崩したくない。無観客開催が続いてさみしいですが、画面越しに思いが伝わるように走りたい」

　飯塚オートのナイターＳＧ『第３９回オールスターオートレース』は、２９日の第１２Ｒで優勝戦が争われ、荒尾聡（３８）＝飯塚２７期＝が昨年に続く連覇で大会３度目のＶを達成。通算４度目＆地元走路では初となるＳＧ制覇を飾り、賞金１３００万円と年末に川口で開催されるスーパースター王座決定戦の出場権を獲得した。ＳＧ３連続Ｖを狙った青山周平は追い上げ届かず２着。３着には佐藤摩弥を競り落とした篠原睦が入った。

　　　　　　　　　

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　ついに悲願成就だ。昨年の浜松大会を雨で制した荒尾が、晴れのナイターで大会連覇を達成。地元飯塚のＳＧは初制覇で、通算では４度目となるＳＧタイトルを獲得した。

　「地元ＳＧを一番取りたかった。飯塚でオートを見て育ったので、ここで取れたのが念願です」

　ウイニングランではバイクの上に立ち上がり、大きく両拳を突き上げて喜びを爆発。勝利者インタビューでは、涙をこらえきれなかった。

　「試走から手応えがあった。先頭に立てば抜かれない自信があった。エンジンは百点満点でした」

　いつもはスタートで先行して押し切るのが必勝パターン。しかし、この大一番は５、６番手のスタートから力強くさばき切った。

　「こんな状況で前回の覇者で飯塚だし、いろいろなプレッシャーを感じながら走って、そのプレッシャーと戦って勝てたのは意味がある」

　精神面の充実が、ここ一番での結果につながったのは間違いない。

　大会史上初のナイター開催は新型コロナ感染拡大防止のため、ＳＧ初の無観客で実施。「地元ファンの歓声がなかったのはさみしかったです。でも、ＴＶの前で歓声を挙げている人はいると思うので。一人でも喜んでいる人がいれば幸せです」。熱い走りが画面を通じて届いたはずだ。

　「ＳＧを勝ったあとが大事なので、勝ったあとに情けないレースをしないように」と気持ちを引き締めていた。（渡辺寿輔）